西の聖地 追憶の池原ダム (セブンティーンの夏) | 月刊!俺のつり!

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釣り股旅で想い出創り
実は俺なんておこがましい
歳を重ねると俺が俺がなど必要が無い事に気づく
自身を戒めるための俺になってきました
主役は魚、魚に感謝です

バス釣りの"聖地"が"芦ノ湖"だったころ、熊野の山奥深く"池原ダム"というダムがあり、色々な団体や釣り雑誌やメーカーのPRや活動でバス釣りが注目され"西の聖地"となるにはそう時間を要しなかったと思います

 

(高1の夏AnglingNo.1の則さんin池原&七色の写真に魅せられました)

 

私にとって池原ダムの歴史は魚や人間や釣りの概念が何かをプリミティブな点から考えられる良いモデルでした

 

 

日本銀行券や人の心のフローが変化していき何かにおさまっていく様が垣間見えます

 

(昭和63年フロリダ?ブラック放流!)

 

(凄いな~伊丹空港で通関…西山さんが駆けつけている)

 

西の聖地の主役はバスなのにビジネス優先の人間が主役になっていく様を見て来たような気がします

 

 

さて私事ですが池原ダムに訪れた時の話です…

ダラダラ長い話なので…不快と感じたらすみません

 

池原ダムには過去に三度訪れたことがあります

一度目は1984年昭和59年…

セブンテイーンの夏…

 

(誰も居ない湖♪)
 

当時浅く付き合っていた同級生のOくん…

保守的で慎重派かつ出不精な私とは異なりOくんは活発で文武両道で女性にも人気がありました

学校帰りに食事をしながらバス釣りの話をしていたと思います
「お前ゴムボートもってるんや、池原ダムに行こう池原…俺の連れ2人と一緒に4人で行こう!」
と言うのです


池原には友人の親に連れて行ってもらった事があるらしく、ゴムボートに3,4人乗りしてポイントで揉めたり針が体に刺さったり大変らしかった…

私がゴムボートを持っているので、友人のゴムボートと合わせて2艇…2人乗りが出来る!と言う考えに至ったのだろう


「いいけど…前向きに検討するわ!」

カウンターで有耶無耶な返事したのですが…

O君は行くものと決めつけてノリノリに…面倒だなと思いました
結局行くわけですが…

公共交通機関を利用して池原に向かいます

堺市から大阪市内に出てO君の友人A君とI君と合流し近鉄線で大和八木へ、そこから新宮行のバスに乗りました
竿8本、ゴムボート2艇、テント2張、クーラーボックス、+個々の荷物…電車やバスでの占有率はすさまじかったです

 

国道169号で大台越え…

今の様にショートカットのトンネルなど無い時代で時刻表で確認したら当時3時間かかっていた様で…

車中では少々不安になり、来るんではなかった~と思っていたと思います


宿泊は下北山スポーツ公園キャンプ場…

ダムサイト下なので徒歩でスロープまでは遠すぎる話をし始め…

 

 

O君と友人A君とI君、お三方に車中で言われました。

「ゴムボート重たいからダムサイトに隠しておこう…誰もパクれへんって…」
バスが池原ダム停留場に着くと運転手と交渉して少し長く止まってもらいボートのみ植栽に隠しに行きました

 

 

当時の私には非常にダイナミックな作戦に感じ…彼らの運転手との交渉力に感心した思い出があります

 

キャンプ場にチェックインしてテントの設営…焼肉です
炭火で焼いた肉が美味しくて、野外では弁当かカップラーメンとと言う概念が塗り替えられます

I君とA君はワンダーフォーゲル部で野外活動に長けていて色々面白い話が聞けたと思います

自身は子供の野遊びからアウトドアに変貌していく感覚を彼らから感じ取っていました


このお三方のお陰で池原まで来ることが出来…

バスに乗車時の来るんではなかった~とう言う感情が消えていました

食事を終えて日も傾き涼しくなる頃釣りに行く事に…

途中ダムサイトに隠したボートをピックアップ…

5.9km…1時間ちょっと歩いたのかな…遠いです
 

 

夕まずめ、巨大な池原ダムにゴムボートを出しました

当時は猛スピードで行き来するバスボートなど無く引き波に揉まれる恐怖も無く…

3から5メートルの底が見える高い透明度…立木一本一本についている大きなバスに感動していました
…楽釣と思ったらそんなに甘くはなかった
結局ワームで一つだけでした😀

 

 

バスを手にして「来て良かった…」と言ったのではないかと思います…

同船していたO君んはその言葉を聞き私の機嫌が良くなったので安心していたのを覚えています

 

釣りを終えボートはスロープにほったらかしてキャンプ場に戻るわけですが…
そこでお三方が話してます。

「あのバス釣りの兄ちゃんたちの車で送って行ってもらおう…」
へ?ヒッチハイク?初めての経験です…やはりこのお三方の生命力は違う…

乗せて頂いたのは東京からバス釣りに来ている学生さんでした
学生さんは車の中で私たちに質問して来ました

「君たち、僕たちは何処の大学生か知ってる?…」

何と言う質問でしょう…学歴社会を感じる質問でした

 

2日目です

朝は3時起きでまた長い距離を歩いてスロープに向かいます

10時くらいまでは釣りをしましたが…釣れたのかどこをどう釣ったのか記憶はなく

ただ圧倒的な自然に感動していて湖上に浮いているだけだった様な気がします

暑いし一旦キャンプ場に昼寝をしに戻る事に…

夕まずめ再び長い距離をスロープまで歩くのが辛いのでダムサイト際の波止場にボートを係留しキャンプ場に戻ります


昼寝をして14時位…
風呂代わりに川で泳いで汗を流そうと言う事になりました

 

 

池郷川…上流には民家も畑も無いので水はかなり良いです

ヤッホー状態でしたが急に夕立が…
それでも雨に打たれながらギャハギャハ言いながら泳ぎます
全ての熱とストレスが流れて行きます

この夕立が今回の釣行の締めくくりである夕まずめの釣りに大きく影響するとは…



明日は朝からかたずけて帰阪するのでこの夕まずめの釣りで最後です

急こう配で未舗装ですがダムサイトに上がる良い道があったのでそれを利用しダムサイト際の波止場に着きます…

 

 

ビックリです、ゴムボートに夕立により雨水がかなり溜まってます

私は拾った空き缶で丁寧に水を汲んで排水していく事にしました

しかしまた…お三方が話してます。

「あんな缶で汲んでたら釣りの時間無くなるわ!ひっくり返そうぜ!」
彼らは3人がかりでI君の水が溜まって重くなったボートを陸にあげてます

私はそれを横目に見ながらコツコツ水をくみ上げます

お三方が…ボートをひっくり返します

「せーの!」

「バコン!」

恐ろしい破裂音がダムの壁際を響き渡りました

パンクです…万事休す

 

私が提案します

「あーあ、どうする、船出せないね…一人乗れるから交代で乗ってよ」

そこでI君は言いました。

「いや、コツコツ水をくむお前を馬鹿にしたのでバチが当たったんだと思う」

「一人で沢山釣って来てくれ」
「俺たちは岸から釣るから良いよ」

 

ドラスティックな私は…

「あっそう」


朝方確認したバスの群れがいたところにノーシンカーワームを投入し独り爆釣侍を決めました

5,6匹連続で釣って…最後はジャンプ一発で外れました

その夕陽に照らされたジャンプしたバスは今までで最も美しいものとして映像が脳裏に残っています


満足したので波止場に戻りました

お三方が…

「釣れた?」

私は…

「釣れた…俺はもういいから今からみんなで行ってきたら…」

お三方は…

「もう良いよ…終わろう」

 

 

 

帰りお三方は近鉄電車の車内で2週間後に青蓮寺ダムに行く計画を立てていて…私に

「お前も行く?」

私は…

「いやもう良いよ、もう満足」

気が乗らなかったのは聖地では無かったからだったと思います

O君から数日後電話があり…

「青蓮寺いくからゴムボート貸して…」

私は…

「パンクさせるなよ!」

青蓮寺ダムでは3人とも100匹以上は釣ったらしいが…
何とも思わなかった
 

池原ダム…釣りよりも珍道中ばかりが思い出される不思議な湖…

セブンティーンの夏…池原での忘れえぬ一匹はジャンプで外れたバス…

全てはO君やそのお友達I君とA君のお陰です

 

古くからバス釣りをしている方々にとって聖地での一匹というのはやはり格別なものだろう…

私もそう思います

…ピロテン様へ😀