本日は午後から日本弁護士連合会主催の「空き家対策シンポジウム〜全国実態調査を踏まえて〜」@弁護士会館「クレオ」に出席してきました。
地方に比べるとまだ目立ってはいませんが、空き家は増えてきています。法的諸問題、空き家利活用の先進市の教訓、空き家解消のために必要な取組などについて、専門的(法令解釈など)な話が多かったので、頭が混乱してますが…。
「住宅・土地統計調査(2013年)」によると、全国の空き家率は13.5%となっており、急激には増えてないけども「新規着工件数の増加」と「空き家戸数の増加」は、ゆるやかな正の相関関係にあるという。
また、「空き家条例」が全国的に制定ブームとなっており、2012〜2014年のデータをみても激増(条例の81%がこの数年間で制定)という状況です。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」が制定されたものの、実はそれが使いづらいものであることが指摘されていました。空家等調査のための敷地内立ち入りが可能かどうか?や、略式代執行費用の実施後の徴収についてなど、まだまだ課題が多いようです。
空き家対策と景観保全のバランスについても、問題提起がありました。
防災や衛生上の問題がないのに、景観上問題がある場合に、自治体が独自に条例で除去を命じることができるか?
(引用)シンポジウム配布資料より抜粋
<上記に関するメモ>
「景観」となると、人の好みに左右されるので、行政の権力を行使しづらいという判断。
一方、景観上残したい建物が空き家となって壊されるのをどうするのか?という問題にもある。景観法上の景観地区に入ってあるなど一般的に重要視される景観は優先順位があがることもある。…確かに、良いも悪いもその「景観」に関して明文化された根拠がないと「個人の好み」になってしまいます。
▶なぜ、空き家が増えているのか?
空き家法の施行1年を経ての「全国実態調査」(全国自治体調査:1741団体中702団体が回答=40.32%の回答率)が日本弁護士連合会主催で行われましたが、「空き家の発生原因」としては「中古建物よりも新築建物の取得を優先する税制度」が最も多く挙げられていますが、「周辺部から都市部への人口集中を促すような都市政策」を挙げている地方団体も多かったようです。ここは地方・地域によっての実状の差があるのだと認識しています。
パネルディスカッションでは、配布された資料をもとに、以下の論点で整理されていました。
◯過剰な住宅建設
日本の平成28年の着工件数
約100万戸(967,237戸)
・前年比では6.4%増となり、2年連続の増加
・平成28年の持家は292,287戸(前年比3.1%増、3年振りの増加)
・平成28年の貸家は418,543戸(前年比10.5%増、5年連続の増加)
・平成28年の分譲住宅は250,532戸(前年比3.9%増 2年連続の増加)
(引用)配布資料より
(引用)総務省 平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)結果の要約
総務省の資料を見てもわかるとおり、空き家数は820万戸ですから、これを越える住宅が供給されていることになります。
また、無制限に拡大する住宅地、高層マンションの乱立などが具体的に起こっていることとして挙げられていました。ドイツでは「新築」よりも「リフォーム」へ建築投資は重きが置かれています。
・ドイツは建築投資の4分の3がリフォーム
一般リフォームが約2分の1
省エネリフォームが約4分の1
新築には補助なし。省エネリフォームには補助あり
・日本はリフォームが5分の2
新築でも省エネ補助あり。賃貸住宅建築が相続税上有利になっている
(引用)配布資料より
★日本にない施策(これから必要な政策)
①厳格な土地利用規制
②まちの魅力を高めていく取り組み
市街化調整区域の厳格な運用など、アメリカでも成長限界線があり、ドイツ・フランスなどは建物のないところの開発の原則禁止という、住宅のストック管理と土地利用制限を厳格に規定してまちの魅力を維持し続ける取り組みもなされています。
【メモ】
住宅の過剰供給をなんとか阻止する
→住宅産業は経済発展の重要なファクターだったが、この発想の展開が必要
→供給側からすれば、マーケットが求めているからということになる=正当性がある。これをどうするのか?
顕在課題である空き家対策とともに、根本的に空き家を生み出さないための取組の重要性を再認識できたシンポジウムでした。住宅供給(ストック)をどう管理するか(できるか)、が今後の空き家を増やし続けない政策としてとても大切になってきそうです。
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