筆者・渡辺正次郎(作家・政治ジャーナリスト)。音楽専門誌の編集長の傍ら、藤圭子など多くの歌手を発掘。その後、政界に転身。二・二六事件の時に岡田啓介首相を救出、また、わが国の戦争終結に尽力した故・迫水久常 参 議院議員の秘書などを務める。現在は作家・政治ジャーナリストとして執筆の傍ら、政治家のブレーン、選挙参謀として活躍中。『この国の恥ずかしい人々』、 『田中角栄の遺したもの』、『こんな政治家は辞職せよ!』(以上、日本文芸社)など著書多数。なお、この4月12日よりHP=「NEWS TODAY・政界、財界、官界一刀両断!!」 を再開(有料。ここをクリックしても料金は取られません)。

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 コロムビアレコードは何年かごとに、ちあきなおみ(横写真)のアルバムを発売する。その度に2万~3万枚が完売するという。それだけ人気が根強い証拠だろう。音源を持つレコード会社にとって定期的に宝を生む卵のようなものだ。
 私の手元の「ちあきなおみ大全集』(横写真)には、レコード大賞を受賞した『喝采』『矢切の渡し』『紅とんぼ』『赤い花』『帰れないんだよ』『星の流れに』『ネオン川』『さだめ川』など36曲が収録されている。
『喝采』は文句なく素晴しいし、何度聴いても『矢切の渡し』は細川たかしなど太刀打ちできない歌唱力を感じる。
 細川たかしが属していたプロダクションが彼に歌わせたくて、ちあきなおみにこの歌を歌わせなくした、という噂を耳にしたことがある(こうしたこともちあきなおみ引退の一つの原因とも言われる)。
 裏を取ったわけではないが、その心理が分からないでもない。
同じ曲を一週違いでテレビ等で歌えば、細川の歌唱力のなさ(“矢切の渡し”に限って言えば)は歴然としているのだから。
さて、話を戻そう。
 数日後、
「先生、津軽洋子さんに紹介していただきました瀬川(=ちあきなおみ)と申します。娘を連れて参りました」
と、髪をアップにした40代半ばと思える女性が訪ねてきた。ほうっと思った。色の白いなかなか艶っぽい美人だったからだ。
 母親と名乗る女性の後ろから、肩まで長い髪にウェーブのかかった真っ白いスーツの女の子、いや、女の子より少し大人になった女性が、
「初めまして、瀬川美恵子です。どうぞよろしくお願いいたします」
と、少しハスキーな声で挨拶をした。


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