鳥巣清典の時事コラム1561「2020年日本が世界に発信するのは『全てを含んだ社会の有様』」 | 絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

鳥巣清典の時事コラム1561「2020年日本が世界に発信するのは『全てを含んだ社会の有様』」

 リオ五輪ーーNHK日曜討論「リオ五輪から見えたものは」(8月21日)。

陸上男子400mリレーで日本が銀メダル


日本が世界に発信するのは「全てを含んだ社会の有様」


為末大(陸上選手・元オリンピック代表)

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司会
 為末さん、どうでしょう。2020年に日本が世界に発信すべきもの。
為末
 私は日本が抱えている本質的なものは、2020年を過ぎて皆が気づくと思うんですね。どうも高齢化しそうだ、財政もけっこう厳しい。「あれ、何も変わってなかった」という事を気付く。ただ、経済大国から5番10番になったとしても、おそらく不幸せな事ではないと思う。

新しい日本の価値観を示すヒントはパラリンピックにある


 その時に新しい価値観に私たちがならないと、元の価値観で言うと「色んなものがなくなって辛い」というふうに感じるんじゃないか。”新しい日本の価値観って何だろう?”という時に、もっと違う形の存在感の示し方があるんじゃ。それがヒントで見えればいいい。
 私はそれがパラリンピックにあると思っていて。日本が発信していくのは、全てを含んだ社会の有様というものを発信していく1つの形としてパラリンピックは重要じゃないかと思います。


【鳥巣注】

 先日都内で会議。
「2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて」

 そのなかでТ子先生からこんな発言が。
「今の20歳の若者は、産まれた
1995年(平成7年)に阪神淡路大震災が発生。新潟県中越地震が2004年(平成16年)。東日本大震災が2011年(平成23年)。今年2016年(平成28年)の熊本地震を含め、30歳以下は何度も大災害と共に行われた救援活動・ボランティアの有様を見つづけてきた。だから彼らはボランティアという事に対して、本当に純粋に共感するところがある。これが年齢が上にいくと、人助けに対して眉唾とか偽善などと捉えがちだけど、彼らにはそんなところが全くない世代なんです」

 Т子先生は、障害児(全体の7割)+健常児+大人を合体させたミュージカル劇団『ホットジェネレーション』を主宰。私たちの会議でも「インクルーディング」という言葉が出てきました。これは障害教育では「まぜこぜ」を意味します。私はТ子先生からミュージカル劇団が体現している「インクルーディング」、つまりは未来社会を先取りした有様を書籍としてまとめて欲しいとの依頼を受けました。

「『ホットジェネレーション』では、踊りだけでなくアートの科目もあります。踊れない子には踊れる子が教える、お絵描きがうまく出来ない子にはお絵描きができる子が手伝い、協力してひとつの絵を仕上げる。電車で教室を移動する場合も以前は親やヘルパーさんが連れて行っていたのですが、大きくなった健常児が障害児を引率してくれるようになりました」(障害のある娘を通わせる親F子さん)

 養成法は本格的で、自閉症の女性を天使の歌声を奏でるまでに育てたり、健常児では劇団四季のライオンキングや帝劇ミュージカルに出演する子を輩出するなどハイレベル。歌舞伎役者の松本幸四郎氏、タレントのコロッケ氏など芸能界にもファンは多い。品川校、神奈川校、渋谷校、恵比寿校などがあり文部科学省や東京都も注目しています。


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(以上、写真はブログより)

 この先、日本の超高齢化社会においては、「障害児(者)・健常児(者)」というくくりだけではなく、そこに「高齢者」が含まれてきます。認知症や寝たきりなど、いわば心身障害者が増大。日本全体がボランティア社会に変貌しなくてはいけない時代がやってくる。そのときには若者や子どもたちの参加は大いに歓迎されることになる。
「全てを含んだ社会の有様ーーそれはパラリンピックにヒントがあると思います」
 上記の為末氏も未来を見据えているひとりになります。

 元東京都知事の猪瀬直樹氏は、「高齢化社会は、日本の次は中国など先進諸国が続く。そうすると介護型ロボットや文化生活を発展させる人工知能など世界に先駆けて開発する日本に新たな産業のチャンスが訪れる」と発信しています。

 ピンチは、新しい価値観や産業を生み出すチャンス。
 未来世代へのレガシー(遺産)を語る時が来ています。


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PS

 甲子園は、作新学園が優勝。
 解説者の言葉が印象に残りました。
「平和の象徴である甲子園野球大会をいつまでも開催していくことが大事。そして負けること。甲子園で勝ち続けることができるチームは1校だけです。敗けて学ぶことこそ最も大事なんです」