鳥巣清典の時事コラム1557「競泳女子200m平泳ぎ 金藤が金メダル」 | 絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

鳥巣清典の時事コラム1557「競泳女子200m平泳ぎ 金藤が金メダル」

競泳女子200m平泳ぎ 金藤が金メダル

リオデジャネイロオリンピック、競泳の女子200メートル平泳ぎは11日に決勝が行われ、金藤理絵選手が金メダルを獲得しました。この種目の金メダルは、1992年バルセロナ大会の岩崎恭子さん以来です。

女子200メートル平泳ぎで、ことしの世界ランキング1位の記録を持つ金藤選手は、準決勝を全体の2位のタイムで勝ち上がり決勝に出場しました。金藤選手は決勝を、「金藤理恵のステージにしたい」と前半から積極的に飛ばし、2番手で100メートルを折り返すと後半は順調に追い上げて、最後の50メートルで先頭に立ちました。
金藤選手は伸びのある泳ぎでそのままリードを保って、2分20秒30のタイムでフィニッシュし金メダルを獲得しました。
女子200メートル平泳ぎの日本選手の金メダルは、1992年のバルセロナ大会で、当時14歳の中学生で獲得した岩崎恭子さん以来24年ぶりです。

金藤選手「メダルは重たい」

金藤選手は、「メダルは重たいな、と思いました。ずっと金メダルがほしい、と思ってやってきて、でも、どこかタイムも求めていたので、複雑な気持ちだったが、レースの後、加藤コーチに会った時や、表彰式の後に選手団のみんなの顔を見て、頑張ってきてよかったなと心から思った」と、こみ上げる気持ちを抑えるように話しました。
そのうえで、「自分が描いていたレースプランはできなかったが、力を出し尽くすことはできた。きのう準決勝で自分のメニューで行ったウォーミングアップがうまくいかず、きょうの決勝前は加藤コーチのメニューで練習した。最後に加藤コーチを信じ続けたことで金メダルを取ることができた。長い水泳人生の中で何度もチャンスがあったが、やっとメダルを取ることができて、「お待たせしました」という気持ちだ。みんなに金メダルを持って帰りたい」と笑顔を見せていました。

加藤コーチ「背中がすごく強く見えた」

金藤理絵選手を指導する加藤健志コーチは、「きのうの準決勝まで泳ぎが“すかすか”で空回りしていたので、きょうの練習は、25メートルを全力で泳ぎ筋肉にスイッチを入れるよう指示した。理絵は「わかりました」と珍しく素直に受け入れてくれ、やっとキックや腕のかきがよくなった。これで間に合ったと思った。レース直前は、いつもは細かいことを確認するが、オリンピックの決勝では『絶対に負けるな、攻めろ』とだけ指示した」とレースまでのやり取りを明かしました。
そのうえで、「絶好調ではなかったので、レースを見ていて怖かった。ただ、最後の50メートルは、背中がすごく強く見えた。最後の最後に人間はあんなにも変われるのか、というくらい強くなった。スターのタイプではない不器用な理絵が金メダルを取ったことで、人は一生懸命何かをやり遂げると考えられないくらい成長できる、ということを証明できた。本当に感無量です」と熱い口調で話していました。

前半から積極的に泳ぐスタイルに挑戦

金藤選手は広島県出身の27歳。オリンピックは2大会ぶり2回目の出場です。平泳ぎが専門で、身長1メートル75センチの長身を生かしたひとかき、ひとけりの大きな泳ぎで後半に追い上げるレース展開を得意としています。
19歳で初出場した2008年北京オリンピック、200メートル平泳ぎで7位に入賞し、その後、平泳ぎの中心選手に成長しましたが、前回ロンドンオリンピックで代表入りを逃し、その後の3年間も国際大会で結果を残せず、引退を考えた時期もありました。
しかし、去年8月の世界選手権で6位に終わったあと、「このまま引退したら応援する人たちに申し訳ない」と気持ちを入れ替え、ひとかきで水をより多くとらえるフォームに改良したうえで、レースの後半だけでなく前半から積極的に泳ぐスタイルに挑戦してきました。
ことし4月の日本選手権では2分19秒65と、女子200メートル平泳ぎの日本選手で初めて2分20秒を切る好タイムをマークして自信を深め、金メダルを見据えてオリンピックに臨みました。

一時は引退検討 コーチの後押しで復活

金藤選手は、前回ロンドン大会の出場を逃した後、国際大会でも思うような結果を残せず、引退が何度も頭をよぎり、そのたびに大学時代から指導を受ける加藤健志コーチや周囲の人に説得されて現役を続けましたが、金藤選手の中には「やらされている」という義務感がぬぐえませんでした。
しかし、再び引退を覚悟して臨んだ去年8月の世界選手権で、消極的な泳ぎで6位に終わった時、金藤選手は「これが最後のレースになるのは情けない」と、初めて自発的に現役を続けたい気持ちが芽生え、加藤コーチにリオデジャネイロオリンピックでメダルを目指すことを伝えました。
金藤選手と加藤コーチが掲げた目標は「2分18秒台」、つまり、世界新記録での金メダルでした。加藤コーチはこの秘策として、後半型の金藤選手に、前半から積極的に攻めることを授けました。
金藤選手は、トップ選手の中でも多い、1回当たり1万メートル近くを泳ぐ練習を1日3回取り組み、腕のかきを強くするためにフォームを修正したり、上半身のウエイトトレーニングを増やしたりしてきました。
さらに、熱血漢の加藤コーチは、「世界中の誰より自分が前にいても、絶対にバテない自信をつけろ」など、力強い言葉で励まし続け、弱気になりがちな金藤選手の心を鍛えたのです。
金藤選手は、決勝で目標としてきた世界記録には届きませんでしたが、「加藤コーチの顔を見て頑張ってきてよかったと心から思った」と話し、諦めずに競技を続けてつかんだ金メダルを首に提げ、笑顔を見せました。

【鳥巣注】

「脇腹の筋肉をつけるだけで10年間かかった。それ以上に感動したのは、金藤の変わりようだった」(加藤コーチ)

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PS①
 
 中学校の頃に卓球部に所属していた事もあり、今回の水谷準選手の銅メダルは印象的です。準決勝での中国・馬龍との戦いもーーとくに3、4セットはーー見事でした。

卓球男子シングルス 水谷が銅メダル




 
水谷選手が銅メダルを獲得後のインタビューに過去を振り返り「苦しい事ばかりでした。今日後悔するようなら死ぬかもしれないと思った。だから、諦めなかった」。