鳥巣清典の時事コラム1552「リオ五輪『体操男子団体 日本が金メダル 3大会ぶり』」 | 絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

鳥巣清典の時事コラム1552「リオ五輪『体操男子団体 日本が金メダル 3大会ぶり』」

体操男子団体 日本が金メダル 3大会ぶり

リオデジャネイロオリンピック、体操の男子団体で日本はアテネ大会以来、3大会ぶりとなる金メダルを獲得しました。

体操の男子団体の決勝は予選上位の8チームが出場して6種目で各チーム3人の合計得点で争われました。
日本は1種目目のあん馬で最初に演技したエースの内村航平選手が安定した演技を見せ、さらに3種目目の跳馬で内村選手とオリンピック初出場の19歳、白井健三選手が15点台後半の高い得点をマークしました。
4種目目の平行棒では、予選でミスが出た田中佑典選手が本来の美しい演技で15.900の高得点を出すなど演技した3人全員が15点台を出して得点を伸ばしました。
日本が得意とする鉄棒でも落下するなどの大きなミスがなく、3人全員が15点台を出して5種目を終えた時点で初めてトップに立ち、最後の種目のゆかを迎えました。
ゆかでは最初に演技を行った白井選手がみずからの名前の付いた難しい技を決めるなど16.133の高得点をマークしました。そして最後に登場した内村選手がミスのない演技で15.600を出して、日本が合計で274.094の得点で2位のロシア、3位の中国に2点以上の差をつけて金メダルを獲得しました。
この種目での日本の金メダル獲得は、アテネ大会以来、3大会ぶりです。日本は予選ではチームでミスが相次ぎ、4位での決勝進出でしたが、決勝に向けて課題を修正して実力を発揮し、悲願の金メダルを獲得しました。

内村航平選手

内村航平選手は長崎県出身の27歳。オリンピックは3大会連続の代表です。3歳で体操を始め、大学1年生のときにゆかで高難度の宙返りを繰り出して注目を集め、2008年の北京オリンピックでは個人総合で銀メダルを獲得しました。驚異的な空中感覚と着地の強さを持ち、6種目すべてで難度が高い技を美しく正確に行い、抜群の安定感を誇る世界最高のオールラウンダーです。個人総合では、2008年9月以来負けがなく、前回のロンドンオリンピックで金メダルに輝いたほか、世界選手権では前人未到の6連覇を達成するなど圧倒的な強さを見せています。リオデジャネイロオリンピックでは、アテネオリンピック以来、3大会ぶりとなる悲願の団体金メダルとともに、個人総合2連覇、種目別ゆかでの金メダル獲得が期待されています。

6種目すべてで安定した演技を見せたエースの内村選手は、「ここまですごく努力してきたことが金メダルにつながった。このメダルはこれまでの頑張りも加わってとても重く感じる」と笑顔を見せながら話しました。アテネ大会で日本が獲得した団体の金メダルを目標とし続けていたことについて質問されると、「アテネは自分たちの中で超えられていないと思うと同時に、僕たちは僕たちの歴史を作り出すことができたと思う」と話していました。

加藤凌平選手

加藤凌平選手は埼玉県出身の22歳。2大会連続のオリンピック代表です。元日本代表の選手で、現在は所属チームの監督を務める裕之さんを父に持ち、幼い頃からトランポリンなどで培った空中感覚を生かした安定感のある演技が持ち味です。前回のロンドンオリンピックでは、ゆかの実力を評価されてチーム最年少で代表入りし、ほかの選手にミスが相次ぐなか、ミスのない演技を見せて団体の銀メダルに貢献しました。その後は、日本代表に選ばれ続け、3年前の世界選手権では個人総合で内村航平選手に次いで2位となるなど、次世代のエースと期待されています。

加藤選手は、最後の種目のゆかでエースの内村航平選手の前に演技したことを振り返り、「内村選手につなげられる演技ができてよかった。金メダルは本当に重くて歴史を作れたのかなと思う。この舞台で演技ができて幸せだった」と話していました。

白井健三選手

白井健三選手は神奈川県出身の19歳、大学2年生で初めてのオリンピック代表です。両親が指導者、2人の兄も選手という体操一家に育ち、得意のひねりを生かし、5年前、中学3年生で出場した全日本種目別選手権のゆかで、内村航平選手に次ぐ2位となり、一躍、脚光を浴びました。その後は、抜群の跳躍力とひねりのスピードを武器に世界トップレベルのひねりの技を身につけ、3年前に日本史上最年少の17歳で出場した世界選手権では、ゆかで優勝しました。去年は、世界選手権のゆかで圧倒的な力を見せて2回目の優勝を果たし、団体ではもう1つの得意種目、跳馬でも高得点をマークして優勝に貢献しました。白井選手はこれまでに、ゆかで3つ、跳馬で1つの合わせて4つで、自分の名前がついた技を持っています。今回の代表選考では、力をつけている平行棒などでも得点を伸ばし、個人総合で争う全日本選手権で内村選手に次ぐ2位に入るなど、総合力の成長も印象づけました。大舞台での勝負強さには定評があり、初のオリンピックでは、団体のゆかと跳馬での高得点だけでなく、種目別のゆかの金メダルも期待されています。

ゆかで16点台の高い得点を出した白井健三選手は、「力が入り過ぎずにいい演技ができたのはチームのみんなのおかげだと思う。人生でいちばん心臓に悪い日と言っても過言ではなかったが、間違いなくいちばん幸せな日になったと思う。残る個人総合や種目別で日本の勢いが落ちないようにしていきたい」と話していました。

田中佑典選手

田中佑典選手は和歌山県出身の26歳。2大会連続のオリンピック代表です。体操一家に育ち、ロンドンオリンピックでは、兄の和仁選手、姉の理恵さんと共に、きょうだい3人全員が代表に選ばれました。手の先から足の先まで、まっすぐに伸びた美しい姿勢が持ち味で、平行棒と鉄棒を得意としています。ロンドンオリンピックの男子団体で銀メダルを獲得したあとは、6種目の総合力に磨きをかけ、おととしの世界選手権では、個人総合で3位に入りました。エースの内村航平選手と加藤凌平選手に続いて、複数の種目で団体に貢献することが期待されます。

予選でミスをした4種目目の平行棒で、正確な演技を見せて15.900の高得点を出した田中選手は、「自分はオリンピックで活躍するために頑張ってきたんだということをもう1度考えて、吹っ切れた状態で決勝に臨んだ。言うことない演技ができたと思う。日本に帰ってからいろんな人に金メダルを見てもらいたい」と涙をにじませながら話していました。

山室光史選手

山室光史選手は茨城県出身の27歳。2大会連続のオリンピック代表です。日本チームの弱点であるつり輪に加え跳馬も得意とし、総合力に優れ、高校3年生のときの全国高校総体では同学年の内村航平選手を抑えて個人総合で優勝しました。初めてのオリンピックだった前回のロンドン大会では、団体決勝の跳馬で着地に失敗して左足の指を骨折するアクシデントがありました。その後はけがに苦しみましたが、去年夏のアジア選手権でつり輪で優勝したほか、平行棒ではG難度の新技を成功させ、「ヤマムロ」と名付けられました。団体では、最も得意とするつり輪に加えて、複数種目での活躍が期待されます。

決勝で、あん馬とつり輪の演技を行った山室選手は、「自分が最初の種目のあん馬でミスをして、その後は応援の声を出すしかありませんでしたが、チームがいいムードで盛り上がり金メダルを取れて、みんなに感謝しています」と振り返りました。金メダル獲得については、「あまり実感が湧いていませんが、ただただ、よかったなと思います」と笑顔で話していました。

一丸で取った金

体操男子団体の決勝を現地で見守った、アテネオリンピック団体チームのキャプテン、米田功さんは、「前半ミスがあったが、後半の出だしの種目の平行棒で1人目に演技した田中佑典選手が、これまで見た中でもいちばんいい、完ぺきな演技でいい流れを作ってくれた。これまではエースの内村航平選手1人が優れたチームだったが、今回は内村選手を見ながら、それぞれを補う活躍があり、チームが一丸となって取った金メダルだ。内村選手が『団体金メダル』と言い続けてきたことが、チームメイトを引き上げ、結果につながったと思う」と日本の戦いを振り返りました。
また、みずから達成したアテネ大会以来の金メダルに、「自分たちのころより10倍も100倍も難しくなっている技を、やりきったことがすごい。中国の3連覇を阻んで金メダルを奪い返したことに意義があり、4年後の東京ではより高い目標を求められると思うが、そこに向けても大きな弾みになる金メダルだ」と選手の活躍をたたえていました。

すばらしい演技に感謝

アテネオリンピックの体操男子団体決勝で、鉄棒の最終演技者として、金メダルをつかむ着地を決めた冨田洋之さんは、国際体操連盟の技術委員として、現地の会場で団体決勝の運営に携わっていました。
冨田さんは、「選手それぞれが自分の演技に集中していたことが勝因だと思う。ライバルの中国とアメリカが序盤でミスをしたことも、精神的な余裕につながったと思う。ポイントは平行棒で、田中佑典選手と加藤凌平選手が会心の演技をしたことで、金メダルに近づいた印象があった。『すばらしい演技を見せてくれて、ありがとう』と言いたい」とコメントしています。

金メダルの要因

体操男子の日本チームが、団体金メダルを獲得できた最大の要因は、4年前のロンドン大会の失敗を教訓に、チーム一丸となってミスをカバーした総合力にあります。
ロンドン大会では、日本は、内村航平選手に出たミスが連鎖して、ほかの選手にもミスが相次ぐとともに、雰囲気も悪く誰もカバーできず銀メダルに終わりました。
今回の決勝で、日本は、最初のあん馬で2人目の山室光史選手がいきなり落下し、
ロンドン大会を思わせる嫌な雰囲気になりました。

しかし、続く加藤凌平選手が安定した演技ですぐに悪い流れを断ちきりました。
弱点種目のつり輪は3人が安定した演技でつなぎ、3種目めの跳馬で、1人目の加藤選手が大技を決めてから、内村選手と初出場の白井健三選手もいずれも高得点をマークし、いい流れを作りました。

山室選手が「いい雰囲気で演技できたことが勝因だった」と振り返ったように、演技を終えた仲間を笑顔で迎えたり、演技の合間に声を掛け合ったりする姿が目立ちました。

さらに、後半最初の平行棒。予選ではミスのあった田中佑典選手が「練習を信じて思いきりやるだけ」と臨み、日本伝統の足先まで伸びた”美しい体操”を披露しました。
完成度を示すEスコアはこの種目全体トップの9.100、予選より2点余り高い、15.900をマークし、流れを一気に引き寄せました。

このあと、これまで日本を引っ張ってきたエース・内村選手に、平行棒と鉄棒でミスが出ましたが、安定感が持ち味の加藤選手と田中選手でカバーし、日本が首位に立って最後の種目ゆかに向かいました。

ゆかでは、ひねりの天才、19歳の白井健三選手が持ち味を存分に発揮して16点台の驚異的な得点を出して勝利を決定づけ、最後を内村選手が締めくくりました。
ロンドンから4年。出だしのミスにも諦めず、内村選手に頼るどころかむしろフォローしたチーム。メンバーそれぞれが培ってきた“美しい体操”で1つ1つ演技をつないだ総合力こそが12年ぶりの団体金メダル、“体操ニッポン復活”をもたらしたのです。
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