鳥巣清典の時事コラム1619「タンゴの音を取るうえで大切なのはサポーティング・フットです」
とにかく、大の苦手なタンゴを克服しなければいけません。
雑誌掲載の家泉尚樹・朋美組『タンゴをタンゴらしく踊るために、立ち方、ホールド、CBМPなど基本をもう1度見直してみよう』の一部を参考にします。
◆音楽をどのように踊るか
ホールドの立ち方がよくても、音楽の取り方が悪いとタンゴらしくみえません。特に、競技会などでは音楽の取り方は大切となります。
例えばウオークからリンクの音のタイミングを途切れた動きに見えるのはリーディング・フットの音のタイミングで動いているためです。
音を取るうえで大切なのは、サポーティング・フットです。
サポーティング・フットは、体重を支えている足と考えられがちです。そのためサポートする意味で積極的に使う足ではないように思われてしまいます。私たちが英国に留学したときにある先生から「サポーティング・フットは体重を支えるだけでなく、次の足であるリーディング・フットを出すときのために何かのアクションを起こす足。つまりサポートするだけでなく、アクションレッグと考えるべきだ」と教わりました。
これを実際の動きで説明すると、ウオークのそれぞれのSの前に&(エンド)の小さなアクションを入れます。&S&Sと踊るわけです。それをやることで、重みのあるしっかりしたタンゴらしい音に乗った動きになります。
タンゴは音楽あってのダンスであり、芸術だということを忘れないでください。
【鳥巣注】
「なぜかタンゴ音楽のタイミングに乗れない」--この課題解消の一助になればよいのですが。直感として、たいへんに参考になるアドバイスです。踵を意識しているつもりでも、過去にやってきたスポーツがつま先を駆使する事が多かったために、無意識のうちに踵から意識が離れていた。タイミングのずれの原因になっていたふしがある。
「この情報が欲しかったんだ」--そう読者に思わせる取材をしろ。現役時代を思い出しました。
◆立ち方
両足をそろえて立ち、フラットに保ちながら左に8分の1回転し、同時に右足を後ろにスリップさせて立ちます。足を左に8分の1回転させる事で自然と身体も8分の1回転する事になります。無理に上体を左にひねるようにして形を作ってはいけません。
膝を緩めて立つ事に伴う問題は、膝を曲げて踊るというイメージが先行して、上体から力(ボディトーン)がなくなってしまい、スタートでしっかりと見えた身体が1歩出た途端に緩んでしまう事でしょう。ワルツであれば膝を曲げてもライズする動作があるのでボディトーンを作りやすいのですが、タンゴは膝をずっと緩めて同じ高さで踊るため、どうしても上体のトーンが抜けやすくなっています。
また、逆にトーンを作ろうとして膝に緩みがないと踊りが固くなってしまう事もあります。
【鳥巣注】
しばらくタンゴの膝は、上体と同じく固くするものだと誤解していました。逆に膝を緩めた時には、上記にあるように上体のトーンが抜けてしまう。よく分からなくなっていました。それもレッスン中に比べてフリーパーティでの失態が多く??でした。膝や股関節を緩めて踊っている人を疑問視していたのですから冷や汗ものです。
上体にトーンを保つ状態を高める方法としては、膝、股関節を緩めて姿勢を正し、重い物を両手で持って立ち、上体を上に伸ばしているようなイメージを持つ事です。その時に頭を上に伸ばして、シルクハットの中に頭を入れるような気持で立って下さい。このイメージをキープしたまま、簡単なステップで前後左右に動く練習をして下さい。
◆CBМP
CBMPとは、教科書によれば「上体を回転せずに支えの足線上に、またはわずかに超えて前方または後方に置かれた足の位置」と説明されています。
サイドリーディングは、「前進または後足のときにステップする足と同じ側の身体を先行させること」と説明されています。
CBМPは動作を説明する用語ではなく、足のポジションを説明する用語です。タンゴを踊るうえで、この2つの用語はよく使われます。
以上の運動をしていると気づく事があります。それはCBМPについては足先の方向と身体の方向が違うということです。教本を見ると、タンゴにおいてはダイレクション(動く方向)とアライメント(ステップが終わった時点での足の向き)が分かれて書かれています。
他の種目と違ってタンゴではこういう動作が生まれやすいので、必然的にダイレクションとアライメントを分けて書かなくてはいけない部分が出てくるということが分かります。
そしてもうひとつタンゴの場合、このCBМPにおいては中間バランスを意識して、サイドリーディングはCBМPより少しステップした足に乗る動作をし、そしてなるべく後ろ足を出すのを時間が許す限り遅らせることです。感覚としては、床に張り付いている感じです。それとライズ&フォールがないので、そんなに大きくステップできないということです。
実際のウオークでは、1歩目がCBМPに出て、2歩目がサイド・リーディングとなります。2歩目では後ろの足をできるだけ残しておいて、次の足を出してください。
◇ウオーク
ウオークだと、どうしても最初はCBМPで、あとサイドリードですので右側だけで行ってーー間違うとPPで「おーっ!」というふうに取られる動きになりやすい。ですのでファイブステップの入り口と同じように左に腕、左サイドが後退する感じで前進します。感覚的には、左サイドを引いて、引いてという感覚になります。
そしてこの時、直線ではなく少しカーブをする形で行って下さい。左側を少しバックしながら、少しカーブ。
【鳥巣注】
「左に8分の1回転」+「膝、股関節を緩ませる」+「後ろ足を出すのを時間が許す限り遅らせる(⇒2歩目のサイドリーディングでは後の足をできるだけ残す)」+「音を取るのに大切なのはリーディング・フットではなくサポーティング・フット」+「左サイドを引いて、引いてという感じで前進」
--これらをトータルに満たす技術は、並大抵ではありません。それでも理論の理解においては前進できた感じがします。部屋でタンゴの曲をかけながらステップを踏むと、以前と比べ飛躍的にリズムが合うようになってきました。「音を取るのに大切なのはリーディング・フットではなくサポーティング・フット」ーーこの指導が効いた感じがします。
◆ホールド
他のスイングダンスに比べて、その形がコンパクトなことです。そのため男子の右手は女子の背骨を超えるように組みます。しかしコンパクトである事にこだわりすぎて、2人が詰まって見えるようではいけません。肘と肘はあくまでもワイドさを保ち、その中でコンパクトなホールドをしてください。そして肘を張っていても、男子の右手は女子の背骨を超えて、少し低いところにあります。
◆ボディコンタクト
タンゴのコンタクトを考えるうえで大切なことは、組んだときの2人のポジションです。クローズド・ポジションとプロムナード・ポジションの2つがあります。
クローズド・ポジションは、タンゴの1番元になる大切なポジションです。クローズド・ポジションでは、男子のボディの右の線と女子の右の線がコンタクトします。
ですからクローズド・ポジションになると、男子のボディの右側が別の人から見えるような形になります。女子も左の腕が見える状態となります。
そして、そのとき大切な事はネックの位置です。2人のトップが狭くならないように、ネックは互いに相手の肩の線よりも外にあるようにします。男子であれば、首の骨の位置が女子の肩の線よりも外にあるようにして下さい。
クローズド・ポジションと同じようにプロムナード・ポジションもタンゴでは大切なポジションです。プロムナード・ポジションでは、男子の右の線と女子の左の線がコンタクトします。そして、男女が少しVの字に開くような形となります。
プロムナード・ポジションの原則は「あくまでも『クローズド・ポジション』を意識しつつ、男女が同一方向に動きやすくなるポジションであると考えてください。ですから男女が開き過ぎてもいけないし、逆にくっつき過ぎてもいけません。これでは互いに同じ進行方向に動きづらくなってしまいます。
コンタクトした2人の圧力は、それぞれですので、お互いが安心して踊れる圧力を見つけてください。これは各々自分の立っている足の中で見つけてください。
【鳥巣注】
今後はステップに取り入れたときの理論が課題です。
雑誌掲載の家泉尚樹・朋美組『タンゴをタンゴらしく踊るために、立ち方、ホールド、CBМPなど基本をもう1度見直してみよう』の一部を参考にします。
◆音楽をどのように踊るか
ホールドの立ち方がよくても、音楽の取り方が悪いとタンゴらしくみえません。特に、競技会などでは音楽の取り方は大切となります。
例えばウオークからリンクの音のタイミングを途切れた動きに見えるのはリーディング・フットの音のタイミングで動いているためです。
音を取るうえで大切なのは、サポーティング・フットです。
サポーティング・フットは、体重を支えている足と考えられがちです。そのためサポートする意味で積極的に使う足ではないように思われてしまいます。私たちが英国に留学したときにある先生から「サポーティング・フットは体重を支えるだけでなく、次の足であるリーディング・フットを出すときのために何かのアクションを起こす足。つまりサポートするだけでなく、アクションレッグと考えるべきだ」と教わりました。
これを実際の動きで説明すると、ウオークのそれぞれのSの前に&(エンド)の小さなアクションを入れます。&S&Sと踊るわけです。それをやることで、重みのあるしっかりしたタンゴらしい音に乗った動きになります。
タンゴは音楽あってのダンスであり、芸術だということを忘れないでください。
【鳥巣注】
「なぜかタンゴ音楽のタイミングに乗れない」--この課題解消の一助になればよいのですが。直感として、たいへんに参考になるアドバイスです。踵を意識しているつもりでも、過去にやってきたスポーツがつま先を駆使する事が多かったために、無意識のうちに踵から意識が離れていた。タイミングのずれの原因になっていたふしがある。
「この情報が欲しかったんだ」--そう読者に思わせる取材をしろ。現役時代を思い出しました。
◆立ち方
両足をそろえて立ち、フラットに保ちながら左に8分の1回転し、同時に右足を後ろにスリップさせて立ちます。足を左に8分の1回転させる事で自然と身体も8分の1回転する事になります。無理に上体を左にひねるようにして形を作ってはいけません。
膝を緩めて立つ事に伴う問題は、膝を曲げて踊るというイメージが先行して、上体から力(ボディトーン)がなくなってしまい、スタートでしっかりと見えた身体が1歩出た途端に緩んでしまう事でしょう。ワルツであれば膝を曲げてもライズする動作があるのでボディトーンを作りやすいのですが、タンゴは膝をずっと緩めて同じ高さで踊るため、どうしても上体のトーンが抜けやすくなっています。
また、逆にトーンを作ろうとして膝に緩みがないと踊りが固くなってしまう事もあります。
【鳥巣注】
しばらくタンゴの膝は、上体と同じく固くするものだと誤解していました。逆に膝を緩めた時には、上記にあるように上体のトーンが抜けてしまう。よく分からなくなっていました。それもレッスン中に比べてフリーパーティでの失態が多く??でした。膝や股関節を緩めて踊っている人を疑問視していたのですから冷や汗ものです。
上体にトーンを保つ状態を高める方法としては、膝、股関節を緩めて姿勢を正し、重い物を両手で持って立ち、上体を上に伸ばしているようなイメージを持つ事です。その時に頭を上に伸ばして、シルクハットの中に頭を入れるような気持で立って下さい。このイメージをキープしたまま、簡単なステップで前後左右に動く練習をして下さい。
◆CBМP
CBMPとは、教科書によれば「上体を回転せずに支えの足線上に、またはわずかに超えて前方または後方に置かれた足の位置」と説明されています。
サイドリーディングは、「前進または後足のときにステップする足と同じ側の身体を先行させること」と説明されています。
CBМPは動作を説明する用語ではなく、足のポジションを説明する用語です。タンゴを踊るうえで、この2つの用語はよく使われます。
以上の運動をしていると気づく事があります。それはCBМPについては足先の方向と身体の方向が違うということです。教本を見ると、タンゴにおいてはダイレクション(動く方向)とアライメント(ステップが終わった時点での足の向き)が分かれて書かれています。
他の種目と違ってタンゴではこういう動作が生まれやすいので、必然的にダイレクションとアライメントを分けて書かなくてはいけない部分が出てくるということが分かります。
そしてもうひとつタンゴの場合、このCBМPにおいては中間バランスを意識して、サイドリーディングはCBМPより少しステップした足に乗る動作をし、そしてなるべく後ろ足を出すのを時間が許す限り遅らせることです。感覚としては、床に張り付いている感じです。それとライズ&フォールがないので、そんなに大きくステップできないということです。
実際のウオークでは、1歩目がCBМPに出て、2歩目がサイド・リーディングとなります。2歩目では後ろの足をできるだけ残しておいて、次の足を出してください。
◇ウオーク
ウオークだと、どうしても最初はCBМPで、あとサイドリードですので右側だけで行ってーー間違うとPPで「おーっ!」というふうに取られる動きになりやすい。ですのでファイブステップの入り口と同じように左に腕、左サイドが後退する感じで前進します。感覚的には、左サイドを引いて、引いてという感覚になります。
そしてこの時、直線ではなく少しカーブをする形で行って下さい。左側を少しバックしながら、少しカーブ。
【鳥巣注】
「左に8分の1回転」+「膝、股関節を緩ませる」+「後ろ足を出すのを時間が許す限り遅らせる(⇒2歩目のサイドリーディングでは後の足をできるだけ残す)」+「音を取るのに大切なのはリーディング・フットではなくサポーティング・フット」+「左サイドを引いて、引いてという感じで前進」
--これらをトータルに満たす技術は、並大抵ではありません。それでも理論の理解においては前進できた感じがします。部屋でタンゴの曲をかけながらステップを踏むと、以前と比べ飛躍的にリズムが合うようになってきました。「音を取るのに大切なのはリーディング・フットではなくサポーティング・フット」ーーこの指導が効いた感じがします。
◆ホールド
他のスイングダンスに比べて、その形がコンパクトなことです。そのため男子の右手は女子の背骨を超えるように組みます。しかしコンパクトである事にこだわりすぎて、2人が詰まって見えるようではいけません。肘と肘はあくまでもワイドさを保ち、その中でコンパクトなホールドをしてください。そして肘を張っていても、男子の右手は女子の背骨を超えて、少し低いところにあります。
◆ボディコンタクト
タンゴのコンタクトを考えるうえで大切なことは、組んだときの2人のポジションです。クローズド・ポジションとプロムナード・ポジションの2つがあります。
クローズド・ポジションは、タンゴの1番元になる大切なポジションです。クローズド・ポジションでは、男子のボディの右の線と女子の右の線がコンタクトします。
ですからクローズド・ポジションになると、男子のボディの右側が別の人から見えるような形になります。女子も左の腕が見える状態となります。
そして、そのとき大切な事はネックの位置です。2人のトップが狭くならないように、ネックは互いに相手の肩の線よりも外にあるようにします。男子であれば、首の骨の位置が女子の肩の線よりも外にあるようにして下さい。
クローズド・ポジションと同じようにプロムナード・ポジションもタンゴでは大切なポジションです。プロムナード・ポジションでは、男子の右の線と女子の左の線がコンタクトします。そして、男女が少しVの字に開くような形となります。
プロムナード・ポジションの原則は「あくまでも『クローズド・ポジション』を意識しつつ、男女が同一方向に動きやすくなるポジションであると考えてください。ですから男女が開き過ぎてもいけないし、逆にくっつき過ぎてもいけません。これでは互いに同じ進行方向に動きづらくなってしまいます。
コンタクトした2人の圧力は、それぞれですので、お互いが安心して踊れる圧力を見つけてください。これは各々自分の立っている足の中で見つけてください。
【鳥巣注】
今後はステップに取り入れたときの理論が課題です。