五十嵐元財務副大臣インタビュー⑫「黒田日銀総裁は国が得するインフレを起こそうとしている」 | 絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

五十嵐元財務副大臣インタビュー⑫「黒田日銀総裁は国が得するインフレを起こそうとしている」

 五十嵐文彦元財務副大臣インタビュー。
ーー今、何が起きているのか? これから何が起きるのか?--⑫

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1銭も貯金のない世帯が4人に1人では財政破綻できない

鳥巣
 こういう言い方は「縁起でもない」と言われるかもしれませんが、日本って今タイトロープの上をずっと歩いている感じがします。
五十嵐
 東京直下型はいつ来てもおかしくないでしょう。それから東南海ーー近いんじゃないかなと思う。ちょっと怖い。
鳥巣
 それが財政を含めると連鎖的にですね。ま、ま・・ついでにじゃないですけど、万万が一(金利が)ハネた時、「いっそ3~4年我慢すれば」と・・。日本はやり直す。「もういっちょ」と当時自民党の林芳正さんにインタビューした時もそう言ってました。

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五十嵐
 ま、日本人は我慢強いからですけど。いわゆる弱者。その時に、おカネを持っている方たち、資産を持っている方たちはいいけども。弱者は持たないですよ。今でも1銭も貯金のない世帯っていうのは、かなりになると思いますよ。全く貯金のない世帯が4人に1人くらいはいる。
鳥巣
 それを考えると、とにかくハネられない。ハネられないとなると・・。
五十嵐
 だって財政に余裕がないと何も出来ないですよ。政府が何かしてくれるというのがないと。


税収弾性値がなく人口減少で経済成長をするはずがない

鳥巣
 だからストックがすごく気になるんですよ。今の日銀の量的緩和は時間伸ばしなんですか?
五十嵐
 日銀の政策はね。僕はかなりヤバいと思いますね。あんなに日銀のバランスシートを膨らませたら何かの時に対応できない。
鳥巣
 いや、だから・・時々国会で民主党の前原さんとか「財政ファイナンスだ」みたいな事をおっしゃってた。

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当然、言葉の意味が分かっておっしゃったんでしょう。
五十嵐
 前から前原氏にはそういうところがありますよね。
鳥巣
 「そういうところがある」とはどういう意味ですか?
五十嵐
 要するに「財政で面倒みちゃえばいい」と。政調会長をやってた時かなーーなんか無茶苦茶な事を言いましたよ。
鳥巣
 じゃ今の日銀総裁みたいな感じ。
五十嵐
 そうですね。結構乱暴な事を言ってました。

【鳥巣注】
<国債を増発する場合に、これまでのように市中消化が出来ないかもしれないから、日銀に買わせますというだけの話だ。日本銀行が関わりを持たせられたら、その政策はすべて金融政策であるかのように言うのは間違っている。増発される国債の消化を日銀に手伝わせるということは、典型的な赤字財政のマネタイゼーションであり、財政規律の喪失を意味するという危険を伴うといわざるを得ない。>(『東洋経済』6月18日号ー池尾和人・慶応大教授)



鳥巣
 でも、ああいう政策を採るという事は、つまり、簡単に言っちゃえば”ギャンブル”。
五十嵐
 ええ。そうです。
鳥巣
 ギャンブルをやる意味は何なんですか。普通のやり方は、経済を発展させて、税収を増やして・・。
五十嵐
 昔と違って、税収弾性値がないですから。それから人口減少になって、そんなに経済成長をするはずがないですから。

黒田日銀総裁は国が得するインフレを起こそうとしている

鳥巣
 それかーーいわゆる前原さんがおっしゃったように「これは財政ファイナンスだ」という事なのか。ふつうは、あれは厳密に言うとタブーですよねえ。
五十嵐
 もちろん、そうです。
鳥巣
 国会議員の方が言うのは・・。
五十嵐
 ま、今の立場で言ってるのかもしれない。分からない・・。

鳥巣
 まあ、元々IMFなんかが予想していたのが2019年なんですよね。ファイナンスできなくなるというのが。近い事は近い。まあ、これがファイナンスしていって。最初は「1年」と言っていたのが「2年」「3年」・・。ただ、あんまりやっていくと・・。
五十嵐
 そうです。要するにうまくインフレをコントロールできれば、国は得する訳です。国は、借金王ですから。だけど、コントロール出来なくなる可能性がある。そこを見るか。黒田さんは、ちょっとインフレが起きれば日本はベストだと思ってる。
インフレを起こそうとしている。「行き過ぎないようにコントロールする自信がある」と言っている。


無理に「インフレを起こそうとする」のはギャンブルです


五十嵐
 でも我々から見ると、「それはギャンブルだ」。だって他所の国は、インフレのコントロールでみんな苦しんでいて数値目標を立てている訳です。ターゲティングをやっている。日本は上げるためのターゲッティングーーという変わった事をやっている。それはコントロール出来ていない。上げようとしても上がらない訳だから。今度は本格的に上がり始めた時には下げるのも大変な訳です。それなのに、黒田日銀総裁がなぜ自信を持っているのか分からない。

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庶民にとって少し上下するくらいのデフレはむしろ好ましい

五十嵐
 僕はほんのちょっとのデフレというのは実は庶民にとってーー問題は庶民にとってですよーー良い訳です。物価は安い訳ですから。安定している訳ですから。0・何%のデフレなんて安定している方だと思いますよ。徐々に下げ幅が大きくなってくるのはデフレスパイラルです。歯止めが効かなくなる。悪循環。そうじゃなくて、ほんの少し上下しながらのデフレというのは、むしろ好ましいーーと僕は思う。
 通貨の番人が日銀なんだから。通貨が安定しているということは良い事だと思うんですよ。年率2%、3%のインフレを続けることが良い事だと思っているのが安倍さんで、それに沿っているのが黒田さん。それは逆に庶民にとっては大変なこと。年率3%では、すぐ物価が倍になるという事ですから。3%複利で上がって行ったら大変な事ですから。それは逆に危ないし、その間にむしろ国債金利の方もはね上がる可能性の方が高い。
 基本的な金利+物価上昇率が金利ですから、金利の方が高くなる訳です。基本的にはーーそれは大変な事だと思います。だから、それはね国家経済でギャンブルしちゃいけないと思います。


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