五十嵐元財務副大臣インタビュー⑧「政府が所得の再配分をうまくやらないと暴力を生む」 | 絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

五十嵐元財務副大臣インタビュー⑧「政府が所得の再配分をうまくやらないと暴力を生む」

五十嵐文彦元財務副大臣インタビュー。
ーー今、何が起きているのか? これから何が起きようとしているのか?--⑧

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マイナンバーカードの狙いは実際の年収の把握


五十嵐
 収入の多い高齢者は、介護保険を使っても3割負担。1割負担、2割負担、3割負担とある訳ですけども。最高で3割負担なんですけども、現役世代よりも年収が多い人たちがいますから。その人たちは医療費、もう少し多めに取ってもいいんじゃないかと思います。
鳥巣
 あの・・マイナンバーカード。聞くところによると2021年くらいにーーあれは義務付けになるんですか?銀行口座の・・。
五十嵐
 要するに、銀行口座の名寄せが出来るようにする訳です。色んな通帳を持っている人たちがいて。分散して資産の把握を逃れている人たちがいます。銀行だけでなくて株の配当とか。実際の年収はどれくらいあるのかというのを取引ごとに記録を残させる。それで出来るようになる訳です。
鳥巣
 2021年だったですか。
五十嵐
 徐々に拡大していくと思います。

基本的には徴収の不公正をなくし、給付にも使うことに


鳥巣
 あれは最終的には何を狙ってるんですか?
五十嵐
 基本的には、徴収の不公平性をなくす。それから給付にも使います。
鳥巣
 当初心配されたのは、それでフライトするのではないか・・という。話題の「パナマ文書」ではないですけど(苦笑)。日本人はあまりやらないですか?
五十嵐
 いや、それはやってるでしょ。やってる人は、かなりやってると思います。だけど国内にある金融機関を経由して受け取れば、みんな押さえられる事になるんじゃないですかね。直接行って現金でといっても、そんなに大量には持ち込めない。空港でチェックを受けちゃいますから。国内にある外国銀行も含めて支店の金融機関を通じて送金されたものについては把握が出来る。

政府が所得の再配分をうまくやらないと暴力を生む


鳥巣
 いま国際協力も進んでいきそうな感じではありますけども・・。段々共産党さんの考え方に近づいてきている感じもしますが。
五十嵐
 あ、あの・・国際金融経済、資本主義は結果的には単一政府、世界単一政府が理想になる訳です。だからロックフェラーなんかは、ソ連に援助していた訳ですよ。国際金融資本というのは、個別の政府は要らない。1つのマーケットになった方がより儲かる訳です。そういう意味では、国際金融帝国みたいなのが彼らにとっては理想になる。それは、ある意味で共産主義に似ている。共産主義ではないんだけど、儲けを第1に考えているとしたら、そういう事だと思います。
鳥巣
 ま、そこまで行かなくとも、共産党さんはやっぱり「持っている人から多く頂こうじゃないか」と。それを再配分しようじゃないかという考え方でしょ。税制はそうなっていかざるを得ないのでは。
五十嵐
 それは資本主義国でも民主主義国でも、それはそうですよね。所得の再配分機能が重要な政府機能ですから。それをやらないと色んな不満が出てきて、逆に暴力が生じかねない。日本は逆に言うと、再配分が十分に行っていない国になりつつある。今までは最も社会主義に近い民主主義、資本主義国であったのが段々格差が拡大してきてですね。ジ二係数がアメリカ並みに大きくなってきた。

【ジニ係数】
 
主に社会における所得分配の不平等さを測る指標。


米の政治家が強欲資本主義の味方をし過ぎてきた

五十嵐
 日本は再配分が十分に機能しない国になって来ている。
鳥巣
 本来は日本人の体質から考えてみて、ある程度社会主義的なーーというか平等なのがみんな好きな訳です。ただアメリカさんと付き合っている限りは、向こうの影響を受ける。それにしても、極端ですよね。
五十嵐
 いまアメリカが、サンダースが猛烈な勢いでクリントンを追い上げている。それはアメリカの今までの主流派の政治家たちがあまりにも国際的な強欲資本主義の味方をし過ぎてきた。という事に対する猛烈な批判が湧きあがっている。
 要するに、格差が我慢できないほどにーーさすがのアメリカでさえーー大きくなってきた。一部のスポーツ選手や芸能人がものすごいーー20億、何100億というーー収入を得る。それからIТの企業の役員が一方的に儲かる。それから金融機関が一方的に儲かっていて、しかも政治すら支配している。共和党であれ民主党であれ、名だたる政治家たちの最大のスポンサーはやっぱり金融機関。
 その金融機関がリーマンショックを受けてもーー例えばゴールドマン・サックスが象徴ですけどーーいち早く救済される訳ですよ。リーマン・ブラザースは破綻させられたけど、その次にAIGがアウトになった。AIGはゴールドマンの傘下というか、AIGをそのままリーマンのように処理するとゴールドマンが負の遺産として窮地に陥る程背負っていた。そこを救済するためにAIGを助けた。そしてゴールドマンを助けた。
 その背景には、財務長官が歴代ゴールドマン・サックスから出ているという癒着関係がある。そういう癒着関係がある。それが段々見え見えになってきた訳です。色んなショックが起きたけれど結局ロックフェラー系かゴールドマンサックス系は皆助かっているやないかという話が出てくる。

 共和党にしたってトランプがハチャメチャなのにあそこまで力を伸ばしてくるのは共和党の主流派がやっぱり公平な政治をしていない。いう見方があるから今こういう状態になっている。アメリカの国際金融資本と強欲資本主義というのは今やっぱり岐路に立っている。サンダースなんか「社会主義者」と言っている訳ですから。そこが表れている。


日本も急に格差が広がり特に若い人はみんな貧しい


五十嵐
 アメリカはプアホワイトと言うけれど、もともとが格差社会というのはある。日本みたいに比較的平等に近かったところからこんなに差がある方向に急激に移ったーーとくに若い人たちはみんな貧しい。親が金持ちでない限り、みんな貧しい。という状態というのは行き過ぎが早く来ていると思います。
 若い人たちの収入は、ほんとにヒドイと思います。
鳥巣
 先生は今、大学の先生をやってらっしゃる。
五十嵐
 皆アルバイトしています。相当なアルバイトをしないと今、大学生ですら十分に暮らしていけない。
鳥巣
 仕送りも昔に比べてだいぶ減ったとか。
五十嵐
 だと思います。要するに親の格差が大きいというところに来て増幅されているという感じです。例えばうちの娘なんかでも一応上場企業に勤めて4年目ですけどね。残業がないと手取りすごく低い。4年目で26歳で手取り20万円いかない。今の人たち、ある意味で可哀そうだと思う。それでもまだ、うちは正規社員で上場企業だけど、そうでない人たちがいっぱいいる訳でしょ。生活はすごく厳しいと思います。
 一方で裕福な人たちの子どもたちは自分の自宅で暮らし、親に食べさせてもらって、自分の給料は全部遊ぶ金で使える。その格差は非常に大きくなってきている。地域格差も広がっていて、都内に住めるかどうかで全然違う。私は埼玉にいましたけど、小中学校の公教育でも、埼玉県より都内の方が質が高い。例えば難病になった時の難病の指定の範囲が雲泥の差。健康診断等への補助も都内は非常に手厚い。
 それから税金もーー例えば健康保険税なども所沢とか狭山・入間は高いんです。あらゆる所で自治体の技量の違いと住む人の所得の違いが大きいと思います。

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PS
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