五十嵐元財務副大臣インタビュー⑦「当てにならない年金に国民年金の加入者が激減の危機」 | 絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

五十嵐元財務副大臣インタビュー⑦「当てにならない年金に国民年金の加入者が激減の危機」

 五十嵐文彦・元財務副大臣インタビュー。
ーー今、何が起きているのか? 何が起きようとしているのか?--⑦


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平均寿命までに貰う保険料との差額「確定債務」が450兆



鳥巣
 それと・・・「確定債務」。
五十嵐
 はい・・。
鳥巣
 この「確定債務」の問題というのは、どう考えればいいんですか?
五十嵐
 だから・・かつて確定債務は450兆円とかあったですよね。

鳥巣
 例えば「確定債務」についての専門家の方のお話を調べると、向こう何10年間で計算していく場合とか、計算方法もいろいろあるようなんですが。
五十嵐
 平均寿命まで生きたとして貰っている保険料との差額はいくらかという事です。すると450兆みたいな計算がその当時出てきた訳です。
鳥巣
 少なくとも5年くらい前にはですね。今も変わらない?
五十嵐
 変わらないんじゃないんですかねえ。

【確定債務】

五十嵐 
確定債務とは
支払わなければいけないという額が決まっている支払額。
鳥巣 
その支払わなければいけない方たちと言うのは・・。
五十嵐
要するに今までに支払拠出額と期間が確定している人たちです。
鳥巣 
支払われている人たち。
五十嵐
いや、これから貰う人たちもいるわけですけど。
もう払込み期間が終わっているから、平均寿命まで生きたらいくら支払うかという事が決まっている人。

鳥巣 
たとえば、30年、40年払ってますよ、と。
五十嵐 
そうすると水準が決まるでしょう。
鳥巣  
はい。
五十嵐 
水準が決まって。
いま例えば64歳として、64歳からじゃ平均余命までを仮定してじゃいくら支払うか。
というのを積み上げたら、そらそういうことになる。
それがどんどこ・・。
鳥巣 
その人たちの確定債務が。
五十嵐 
そう。
国にとっては、確定債務。
それはすでに過去債務なんですね。
(*五十嵐文彦2010年インタビューより)

幻の「100年安心」ーー年金給付額の極端な減額が必要に


鳥巣
 で僕が記憶しているのは、先生が「いずれそれがガクッと来る」ー財政的に。これはどういう意味なんですか?
五十嵐
 あの・・年金の計算がちゃんと出来ていない訳です。「100年安心」と言ったけど、実際には出生率ーー高めの出生率ーー将来の労働人口の計算とかが少しずつズレている。そうすると、それでは足りなくなる時期が来て、年金の給付額を極端に減らすか、あるいは2年分の基金の取り崩しが激しくなって余裕がなくなる。そういう時が来かねないという話。全然100年安心ではない。
 それから、もうひとつは経済情勢ですね。マクロ経済スライドで物価がもし上がり始めた時に足きり1%--マクロ経済スライドというのは、物価が上がってもまるまる物価スライドで年金額を増やすのではなくて足きりをする。
鳥巣
 う・・ん。
五十嵐
 それと労働人口が減って給付人口が増えた時、年金額を減らすという仕組みです。年金と貯金で老後を暮していく訳です。そういう余裕のある世代が少なくなってきて、しかも年金が減っていくという事になると、暮らしていけなくなる。そうする事でおカネの支出が増えてきてしまう。


「当てにならない年金」に国民年金の加入者が激減の危機


五十嵐
 要するに勤労世帯の負担がもっと高くならざるを得ない。という事が来てしまいかねないーーという事です。それで勤労世帯への負担が大きくなり過ぎたら、たちまち立ち行かなくなる。いちばん心配なのは、年金が当てにならないと思った途端に税金の未払いーーとくに国民年金の加入者が激減をするという事が起きうる訳です。
 そうすると今度何が起きるかというと、生活保護費がすごく増えてくる。
鳥巣
 みんな生活保護になっちゃいますからね。
五十嵐
 若い世代の生活を少し守ってやらないと不公平感が増して意欲を減退させてしまう。比較的年金所得の高い方だけ年金額を下げることが大事になりますかね。

鳥巣
 与謝野さんの「税と社会保障の一体改革」。あれでいくと国民年金も3万だとか4万だとかになるだろうと。
五十嵐
 はい・・約半分になります。

おカネの余裕のある人からはもっと取っていいいのでは


鳥巣
 天引きも増えていく。
五十嵐
 介護がもたなくなる。介護保険料が高いですよねえ。
鳥巣
 今の7倍くらいかかるだろうという話。
五十嵐
 保険料の設計に無理があるんです。最初はもっと年齢の低い所から保険料を徴収し始める予定だったのが40歳からにしてしまったために介護保険料が高くなってしまった。介護保険料を逆に高い設定にしたものだから、給付がちょっと杜撰になっているんです。一部では手厚すぎる給付があって。それに見合った保険料が逆に取れていない。介護保険料の設計にちょっと無理がある。
鳥巣
 仮に破綻なく行ったとしても、そのへんのバランスが・・。
五十嵐
 団塊の世代がこれから介護を受ける側になってきますから。それは元々難しいですよね。だから今の水準がどうなのか・・。介護保険料の開始年齢を下げるという事は決まっている訳ですから。保険料率を低めにして下げる。給付の方も手厚過ぎる分は、ちゃんと見直していく。両方必要なんじゃないですかね。
 それから、おカネの余裕のある人たちからは、もっと取っていいんじゃないかなと思います。


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