五十嵐元財務副大臣インタビュー⑥「2020年P・B黒字化の国際公約は公式文章から消えた?」 | 絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

五十嵐元財務副大臣インタビュー⑥「2020年P・B黒字化の国際公約は公式文章から消えた?」

 五十嵐文彦・元財務副大臣インタビュー。

ーー今、何が起きているのか? これから何が起きようとしているのか?--⑥

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政治家で「消費税10%」で足りると思う人は1人もいない。

鳥巣
 2020年のプライマリーバランスまであと4年。先ほど「消費税は15%」とおっしゃった。
五十嵐
15%くらいまでは上げざるを得ないだろうとーー想定は。
鳥巣
 その想定は、どこの想定ですか?財務省ですか?
五十嵐
 財務省というより、まあ・・。
鳥巣
 みなさんの?
五十嵐
 政治をやっている者は皆そう思っているーーと思いますよ。未来永劫消費税10%で足りると思っている人は1人もいないと思います。
鳥巣
 あとは、これをいつ頃までにどういう段階で上げていくのか。あるいは必要があるのかというのは・・。
五十嵐
 それは、消費税をそんなに続けては上げられませんから。とにかく10%でしばらく踏みとどまって、どの程度財政が持つのかていうのを見てから、またその時に考えるべきことだと思います。

ーー2025年までに消費税15%だと足りる計算ですか?


鳥巣
 団塊の世代は2025年あたりにピークが来ます。
五十嵐
 そうですね。団塊の世代がいちばん重いというのが今始まったばかり。どんどんピークに向かっていく。
鳥巣
 そのときに医療・介護費用がいちばん膨大になる。
五十嵐
 介護が大変ですよね。医療費と・・。
鳥巣
  何倍増、何倍増という話なんで。その前に何とかしとかなくちゃいけないという事で今いろいろとやっている。まあ・・とにかく、それに合わせて15%--仮に2025年までに消費税15%に到達しておけば何とかできるという計算な訳ですね。
五十嵐
 何とかしなきゃいけないんで・・。
鳥巣
 いや、計算上は。足し算引き算では。
五十嵐
 一定の計算では・・
鳥巣
 だから皆、ある程度安心している訳ですか?
五十嵐
 ・・。
鳥巣
 誰が安心しているか分かりませんけど(苦笑)
五十嵐
 いま安心しているのは、日本の公債費が低金利で助かっているという事ですよね。それは思っている以上に助かっている。

2020年P・B黒字化の国際公約は公式文章から消えた?


鳥巣
 それから確認しておきたい。2020年・・え?先生、公約を当然守るーーという事ではないんですか?
五十嵐
 公式文書からーーどこかに出てくるかと思っていたら消えちゃってますからね。これは政府の正式な資料集ですけども・・。
鳥巣
 2016年2月財務省大臣官房統合政策課が担当した総合政策。
五十嵐
 ここに政府演説とか政策とかみんな入っている訳です。近い将来の政策目標なんか、みんな分かりやすく入っているのかと思ったら入っていない訳ですよ。どっかに書いてあってもよさそうなものだなと思うんです。
鳥巣
 先日財務省主計局に取材しましたが「何も決まってません」と言っていましたよ(苦笑)。ざっくりとした目標だけは決まっている。半年ごとに見直していく。細かく言えば学校の統廃合とか・・。
五十嵐
 今まで隠し持っていた政府系の資産・・要らなくなった政府系の機関も売り飛ばしたり、みんなやっちゃったでしょ。株ももうほとんど無いですしね。

GPIF
の年金積立金は2年分を残し取り崩して給付に使う

鳥巣
 あ! 今日先生にお会いした時にぜひ確認しておきたいなと思ったのは、GPIF(=年金積立金管理運用独立行政法人)先生とお会いした時には、120~130兆円ありました。その時に「あと6年後には、一応なくなる事が決まっております」という事をおっしゃって。あれは、どういう意味だったんですか?
五十嵐
 徐々に減らして行って、2年分くらいのところまで給付に使っちゃうと。
鳥巣
 「2年分」くらい残すという意味。
五十嵐
 そうそう。政府が長年抱え込んでいる事はできない。また、かつての事業団みたいに悪い事をしちゃうから。最低限のものしか持たない。

年金積立は2年分+危機管理分だけを持っていればいい


鳥巣
 「2年分」は、いくら位になったんですか?
五十嵐
 え~っと。いま1年でいくらですか・・40~50兆じゃないですかね。だから80兆とか100兆とか・・あとは取り崩していくという事になったと思います。ただ毎年、入ってくる保険料分がある。要するに危機管理分だけ持っていればいいんであって。そんなに長いスパンで抱え込んでいく必要はないという事になった。全く、その余裕もないしという事で。

【鳥巣注】
 2016年文藝春秋7月号で年金積立金管理運用独立行政法人の高橋典広・理事長はこう答えている。「GPIFの運用資産は約140兆円、各国の公的年金機関の中で資産規模は世界第1位です」と答え、五十嵐氏の認識とは異なる。さらに「現在委託している会社は37社・76ファンド。かつては日本の金融機関がほとんどでしたが、いまはいわゆる外資系が全体の6割を占めます。以前は、国内債券が6割を占めていましたが、2014年10月に大幅な見直しが行われました。いまは国内債券37・76%、国内株式23・35%、外国債券13・50%、外国株式22・82%、残りが短期資産2・57%(2015年12月末時点)です」。

鳥巣
 先生は当時「何かあったら、そっち(年金)のポケットから借りて来るんだ」みたいなお話をなさってた。万が一の時は・・と。その財布はまだ在る訳ですね?
五十嵐
 なくなった訳ではないと思います。2年分くらいは・・。
鳥巣
 在るだろうと・・はは。なるほど。GEIFはいつも120とか130あったんで。
五十嵐
 いや、もっと在ったと思いますよ。かなり在った。
鳥巣
 一時は200兆とかあったのが150兆とかになって来ました。
五十嵐
 たしか「2年分」と記憶してますが、2年分くらいを残してあとは取り崩していこうという事になった。そうでないと年金が維持できないでしょう。料率を上げなくてはいけなくなる。それを込みで計算がしてある。5年ごとの財政再計算ですから。年金はーー。

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PS
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