鳥巣清典の時事コラム1599「国民に苦い薬を飲ませるのは政治家はいちばん嫌がる」 | 絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

鳥巣清典の時事コラム1599「国民に苦い薬を飲ませるのは政治家はいちばん嫌がる」

『時事放談』(ТBS系)5月15日放送のゲストにジェラルド・カーティス・コロンビア大学名誉教授と仙谷由人 ・元内閣官房長官。


<強気黒田流に試練ーー株価急落に円高>


御厨貴(司会)
 
2週間後に迫ったサミット。日本はこんな様子です。


出水麻衣(TBSアナウンサー)


 「消費税増税サミット後に判断」安倍総理は来年4月の消費税増税についてG7として協調し、どんなメッセージを出していくべきか議論したいとし伊勢志摩サミットでの議論を踏まえて判断する考えを表明しました。そして<増税判断飛び交う観測>消費増税の判断時期などをめぐって与党内からさまざまな意見が出ています。
 そして<消費増税再び延期なら国債再び格下げ連鎖も>記事では来年4月の消費税増税を再び延期した場合、欧州の主要格付け会社は財政再建に遅れが出るとみなし、すでに中国や韓国の下にある国債の格付けをさらに格下げする可能性があるとしています。
 消費増税見送り論の背景はこちら。<強気黒田流に試練>ここにきて発表された3月の消費者支出や消費者物価指数はマイナス。この間日銀は追加の金融緩和を見送り、黒田バズーカ―を期待していた市場では売りが集中、株価は急落。円相場も円高が急速に進みました。
 そして追い打ちをかけたのがこちら。<為替政策監視>アメリカ財務省はこのほど輸出を増やそうと自国通貨のレートを安くする政策を行っていないかどうかをチェックする監視対象国に中国などと共に日本を指定し、さらに日本は円高・株安を招きました。
御厨
 さあ、アベノミクスが3年を超えました。仙石さんはこの経済の現状をどうご覧になっているか。当初の盛り上がりをみれば、すっかり景気が良くなっていたはずなんですが・・。

日銀も錯乱しているとしか思えない(仙石氏)


仙石

 
「仙谷由人」の画像検索結果

 黒田バズーカ―砲第2弾、第3弾と、最初はそういう戦力の逐次投入はやらないという事を公言していた人が逐次投入をやってですね。それも効果が無いと。そして新アベノミクスーー新3本の矢ですか。これはだけど目標を言っている。最初のアベノミクスは手段の方を言っている訳ですね。金融緩和で2%とか。だからこの頃、錯乱しているとしか僕は思えないですね、日銀も。
 もう少し言えば事実に基づいて、株価が上がった時に実質的に上がった消費支出がどのくらい伸びたのか。あるいは雇用者の報酬がどのくらい伸びてないのか伸びているのか。この事をちゃんと経済学者もエコノミストもメディアも検証して物を言わないですね。株式だけが上下行って、あるいは為替レートが上下行って。企業の業績は多少上へ行ったり下へ行ったりしているのですが。この事で何か裸踊りを踊っているみたいなですね。ほんと今なってると思うんですよ。
 中小企業なり、人口のそれこそ80%、90%を占める人の実態生活がいったいどうなってきたのか。良くなってきたのか、それでも現状維持で留まっているのか。悪くなっているのか。この事の方が大事な訳で。それを数字で再検証して貰いたいですね。

日本の財政危機が近づいてくる(カーティス氏)


御厨
 カーティスさんは、どうでしょう。
カーティス

 
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 まず安倍総理も黒田さんも期待していた消費が増えない。ですから消費も増えない、会社の投資も増えない。インフレ率はとても2%にならない。だから、もっと政府のおカネで刺激をしよう。もしかしたら消費税を先送りする。あるいは先送りしなくても、秋の大胆な補正予算ーー9兆円のような数字が出てくる。
 そうしたら一時的には景気は良くなりますよね。そのカネをばら撒けば。しかし、それを使ってしまったら、また戻るでしょ。だから長期的にみれば、日本の財政危機が近づいてくるという事じゃないですか。だから短期的な事ばかり考えて、いま日本経済を刺激して。しかし基本的な構造的な事ーー高齢化、少子化に十分力を入れないでどうやってこの国の成長を高めるかに返事がないままにおカネばかりをばら撒けば良いとは思いません。
 どうも補正予算で公共事業よりも個人に直接おカネを渡しますよね。これは一種のヘリコプターマネーですよ。ヘリコプターマネーはけっこう副作用があって危険だと僕は思ってますね。
 国民に苦い薬を飲ませるのは、ほんとに政治家としてはいちばん嫌がるんですよね。


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PS

 早朝からテニスの錦織VSジョコビッチを観戦。世界チャンピオンに対して6-2、4-6、6-7の大熱戦。”無敵”といわれる相手には技術より、とにかく我慢して絶対に最後まであきらめないこと。この試合での錦織はそのタフな精神を見せてくれて、勝つ以上に何か崇高なものを感じました。