財務省主計局インタビュー40「『2020年P・Bの黒字化は無理との観測もあるが?』に財務省は」 | 絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

財務省主計局インタビュー40「『2020年P・Bの黒字化は無理との観測もあるが?』に財務省は」

財務省主計局インタビュー⑥。

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「6・5兆円を消費税だけで賄うなら2・3で割ればいい?」

鳥巣
私も最初「プライマリー・バランスの黒字化」の意味を誤解していた時期があった。一般会計の歳入と歳出を均衡化すれば良いと思ってた。そうじゃなかった(苦笑)
財務省
ちょっと複雑です。地方政府も入るし、一部特別会計も入る。
鳥巣
ですから計算のプロセスは、とてもじゃないが一般の方が把握するのは難しい。ゆえに結論の「6・5」を・・。
財務省
夏は「6・2」でした。
鳥巣
増えたんですね。
財務省
これも年末の軽減税率の影響です。0・6兆円ーー”1兆円”と言われていますが、0・4兆円については総合合算制度の見通しで反映済みです。残りの0・6は歳出・歳入なんらかで措置するとしか決まっていません。
鳥巣
軽減税率は、恒久的な減税と考えていい?
財務省
ま、そうですね。基準値をどっちにとるか。10を基準に考えれば減税。8を基準に考えれば一応引き上げになります。
鳥巣
痛税感を考えれば、軽減税率もあるという事でしょうね。

単純に6・5を2・3で割れば済むという問題ではありません


鳥巣
ところで
プライマリー・バランスの黒字化を達成するには「ギャップ(足りない分)は6・5兆円」という事ですが、仮に足りない分「6・5兆円を消費税だけで賄おう」とすると、消費税1%分の2・3兆円で割ればいいんですか?
財務省
単純に割るという事になれば「○%相当」という数字が出てきますよね。
鳥巣
6・5兆円÷2・3兆円(1%あたり)=2・82.「消費税2・8%相当」という事になる。
財務省
「○%相当」という事であれば、数字さえあれば誰でも計算できます。6・5を2・3で割ればいいのかというと、そう簡単なものではありません。仮に10%超の話が出てきたときに、社会保障の充実とセットでどう考えるのか?とか。年金の国庫負担をまた引き上げるのかとか。セット次第というところがあります。
2・3全部が全部収支改善に寄与するのか。2・3の半分の1・15かもしれない。制度設計次第で出てくる数字は相当変化します。
鳥巣
でも、ざっくり言うと。
財務省
(6・5÷2・3)だいたい3%ぐらいに相当します。
鳥巣
そういうふうに考えると、ベテラン国会議員の中には「プライマリー・バランスの黒字化達成はまず無理」と断言する方もいたせいか、「・・消費税3%相当分(で済むの)か」という気にもなるのですが。

財務省
社会保障の一体改革の枠組を例にしてみます。5%引き上げたときには14兆円(14÷5=1%を2・8兆円相当)ともともと考えていました。そのうち収支改善に寄与するのが7・3兆円。仮に2・3兆円×3%で6・9兆円入ってくる事になるかもしれませんが、そのうちどの程度収支改善になるのかは現時点では何とも言えないところがあります。