財務省主計局インタビュー38「日本は社会サービスは便益が高く・負担が少ない」 | 絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

財務省主計局インタビュー38「日本は社会サービスは便益が高く・負担が少ない」

 財務省主計局インタビュー④

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日本は社会サービスは便益が高く・負担が少ない

鳥巣
次に、いちばんの問題である社会保障ですが。
財務省
社会保障は、この骨太のなかでは検討項目になっています。例えば昨年末に諮問会議で決定したものですが、44個検討課題を並べております。全部をとは期待はしていませんが。44の項目について、例えば、この時期に”実施するなり検討を開始しするなり”というーーいわゆる改革工程表ーーを作成。引き続き平成28年度中にどんどん具体化していく事になります。
社会保障で44項目、他の地方や文教などでおよそ80項目あります。まずは、これが全てとは思いませんし、これをやれば全部ОKだとは思いませんが、掲げられている80項目を着実に進めていく事が必要です。
鳥巣
私も60歳代半ばになってきて、お付き合いする方には70歳を超えたり、後期高齢者も多くなってきました。やっぱり社会保障が削られていく事に不安を持っている。しかしプライマリー・バランスを黒字化する事においては、避けては通れない部分もある。どういうふうに、みなさんに理解して頂くか。


「日本はギリシア、スペイン、ポルトガルに近い」


財務省
財務省で使っている資料があります。他の国との比較で言うならば、実態はこうです。社会サービスを受けている。高い・低い。どれだけ負担をしているか。高い・低い。日本というのはサービスへの負担は低い。一方で受けている便益は高い。45度の斜め線からは、日本はいちばん逸脱している位置にあります。これを他の国並みにしようとすると、動かさなくてはいけない。
鳥巣
ちょっと資料の図を見た感じでは、最近話題のギリシア、スペイン、ポルトガルなど”やばい国”が日本の近くにありますね。
財務省
アイルランドも近くにあります。
財務省
それらの国々よりむしろ、距離的に離れている(=負担が少ない)のが日本。
鳥巣
この図で言える事は、スペイン、ポルトガルよりは・・。
財務省
サービスは多いが、負担は少ない。これが実態。色々ご意見はあるとは思いますが、これを見て皆さんがどう思われるかどうか。啓蒙ーーとまでは申しませんが、重要ではないかと思います。

 
国民負担率は50%上限で現在43・4%(昨年の予算ベース)

 鳥巣
私の著書『絶対に受けたい授業「国家財政破綻」』には、5年前の数字が並んでいます。

絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

新しい数字を把握しておきたい。現在の国民負担率は、何%になっていますか。
財務省
新しい予算を踏まえたものは、現在作業中です。なので去年の予算ベースのものとなりますが、日本は43・4%です。
鳥巣
5年前は・・。
財務省
当時はたぶん40%弱だったのでは。4年前だと40・5%でした。
鳥巣
当時は民主党政権で五十嵐財務副大臣は、国民負担率の上限をちょっと高めに、55%と言ったんです。

「五十嵐財務副大臣」の画像検索結果

財務省の方が「それは誰が言われたのですか」と聞かれたので「五十嵐財務副大臣です」。すると「財務省としての上限は、それよりも5%くらい低い」と言われました。つまり、50%が上限でヨーロッパを参考にしているとおっしゃっていました。
財務省
現在更新作業中ですが、日本は主要国33か国中27番目。低い・高いーー色々議論はあると思いますが、実態はこういう感じになっています。長期的なトレンドとしては微増傾向が続いています。

 

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【国民負担率ーー2011年5月の財務省主計局インタビュー】

 

鳥巣 
国民負担率1パーセントは、いくらに相当するんですか?

財務省
「国民負担率」とは、個人だけでなく企業も含みます。

個人なら手取りの前、

企業なら営業利益。

その中から税金や社会保険料などどれくらい負担できるか。

そういうイメージです。

その合計。

1パーセントは、3・5兆円に相当します。

鳥巣 
現在は国民負担率がおよそ40パーセント。

55パーセントまで上げれば、15パーセント増。

金額に置き換えれば(3・5兆円×15パーセント)=52・5兆円。

今より52・5兆円の増収になる。

財務省 
機械的に計算すればそうなります。

鳥巣 
いっぽう社会保障関係の給付105・5兆円から社会保険料収入58・7兆円を差し引くと46・8兆円。

これが不足分。

ぴったり、枠内に収まる。

国民負担率を55パーセントまで上げれば、現在の社会保障費だけは借金しなくてもまかなえる。

財務省 
その”55パーセント”という数字はどこから?

鳥巣 
五十嵐財務副大臣から聞いた(*参考=2011年4月12日。「五十嵐財務副大臣インタビュー」06)。

第二臨調の時に論議されて出て来た数字という。

日本人の負担率としては限界だろうと。

第二次臨時行政調査会
1981年に発足し、鈴木善幸内閣が掲げた「増税なき財政再建」を達成すべく、行財政改革についての審議を行った。会長を務めた土光敏夫の名前から「土光臨調」とも呼ばれる。

「土光敏夫」の画像検索結果


財務省 
私たちは上限”50パーセント”を基準に話をしています。

第二臨調の当時、ヨーロッパの国民負担率が50パーセントだった。

日本はそれより下を考える。

その後、紆余曲折はありましたけど、50パーセントが今日まで上限の基準になっています。

ですから、55パーセントというのは、副大臣個人のお考えだと思われます。

鳥巣 
50パーセントでは負担率10パーセント増。

(3・5兆円×10パーセント)=35兆円にしかならない。

不足分の46・8兆円を税収でまかなえない。

それでじゃないかな

 

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