鳥巣清典の時事コラム1485「菅官房長官④『日中韓はまさに隣国、常に緊密な連携を取るのが大事』」 | 絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

鳥巣清典の時事コラム1485「菅官房長官④『日中韓はまさに隣国、常に緊密な連携を取るのが大事』」

『時事放談』(TBS系・10月25日朝6時~)④。ゲストに、菅 義偉(すが よしひで)官房長官と増田寛也氏。

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御厨(司会)
 そして、やにわに南シナ海が緊迫です。この中、来週の日曜日には、日本と中国と韓国の首脳会談です。
出水(司会)
 総理、中央アジアなどを歴訪。安倍総理は現在中央アジアなどを歴訪。安倍総理は現在、モンゴルと中央アジアの計6カ国を歴訪中です。来週日曜日には、日中韓首脳会談。安倍総理はこの他、日中、日韓それぞれとも会談を予定しています。そしてトルコでのG20首脳会議、フィリッピンでのAPEC首脳会議、その後マレーシアでのASEN首脳会議と外交日程がまさに目白押し。
 日中韓に関してはこちら。<アメリカ軍 人工島12カイリ内へ。南シナ海派遣決断。アメリカオバマ政権が、中国が南シナ海で埋め立てた人工島の近くにアメリカ軍の艦船や航空機を近く派遣す決断をしたという報道です。そして、<韓国の中国傾斜にクギ。日韓歴史問題解決望む>アメリカオバマ大統領は、韓国朴大統領との会談で、韓国の中国接近に懸念を表明。中国の南シナ海問題などで共同歩調を取るように求め、さらに日韓の歴史認識問題についても解決を要請です。
 一方でこちら。<英中蜜月。5兆円商談。両首脳、原発出資など合意> 中国習国家主席は、国賓としてイギリスを訪問し、異例の歓待を受ける中、中国製原発建設で合意するなど様々な動きを見せています。

御厨
 やにわに中国南シナ海の埋め立ての近くにアメリカの艦船が出ていくという事で中国との間で緊張が増してきている。菅さんは、どうご覧に?

 この事はまだ決定した訳ではないと思います。ただ、日本は米国とは緊密な連携をしていますので、そこはきっちりと連携をしながら情報収集に努めている。
増田
 こないだの9月の末に習近平さんアメリカに行ったが、ローマ法王と重なったりして、必ずしもその前に行った時ほど蜜月の感じではなかったと聞いている。でもイギリスはイギリスで非常に商談がどんどん進んでいる。かなり遠くの国同士は、それぞれの思惑で近づいたり離れたりがあると思うのですが。日中韓は隣同士で変えられない所ですから、個別でバイでやるべきだし、欧米とは違った関係があるという事を常にわきまえて。緊密に首脳同士が会う方向でやってもらいたい。とにかく”会う”ということが重要。
御厨
 そういう中で、李克強首相との会談。ポイントは何でしょう。「南京」「世界記憶遺産の登録問題をめぐる」ことなどがある。

 何といっても経済だと思いますね。日本と中国との間は戦略的互恵関係。安倍総理と習国家主席との間で合意しています。そういう中で今、中国の経済は世界2番目になった。ここの影響は日本だけでなくて、途上国を含めて大きな影響がある。やはり経済が中心になるだろうと思います。
御厨
 今回は日韓の首脳会談もある。韓国とは「従軍慰安婦問題」があり、長い間首脳会談が開かれなかった。

 ここはまだ最終調整。中国ともそうなのですが。近いがゆえに色んな問題がある。そういう問題があるがゆえに首脳同士が会って胸襟を開いて話し合うことが大事だと思っています。そういうことを期待したいと思っています。
増田
 隣が北朝鮮があるだけに日韓関係はものすごく大事。しかし残念ながら、今お話しなさったように何かあるといちばん対立する関係に今ある。特に政治の面だけでなく文化の面にまで及んでいる。今までバイで会談していない訳なので、それをそれぞれが国民に見せるということですね。遅いのですが、それをやって、少しでも近づけていくしかない。
御厨
 日中韓首脳会談では、どんな働きかけに?

 この3カ国は、まさに隣国。常に緊密に連携を取っていく。このことが極めて大事。これは3カ国だけでなくて周辺の国々との平和と安定に大きな影響があるので、そこはしっかり連携を取っていく。
増田
 全くそうですね。特に北朝鮮という非常に不安定要素を抱えている中での日中韓。そういうことも含めて、きちんと北朝鮮には見せていく。
御厨
 近いがゆえに難しいということで、やっぱり「会う」ことが大事。

 大事だと思います。政府とすれば、「常に対話の窓はオープン」。

御厨
 経済問題。

 安倍政権が誕生してアベノミクスという3本の矢を打ち出したときに。結果として1本目と2本目の矢は成功だ。こういう評価があった。でも3本目の矢は見えない。失敗じゃないかとこう言われていました。私は3本目の矢として、いちばん高くて遠くて滞空時間の長い矢というのはTPPだという話をずっとしていました。ですから、ТPP大筋合意が出来ましたので、ここを何とか実行に移すようにしたいと思います。


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PS

アメリカ軍の艦艇 中国の人工島に接近か
NHK10月27日


 複数の欧米メディアは、南シナ海で人工島を造成し主権の主張を強める中国に対し、これを認めない立場を取るアメリカ政府が、人工島から12海里以内で軍の艦艇を航行させることをオバマ大統領が決断したと報じました。「ウォール・ストリート・ジャーナル」はアメリカ軍の艦艇が12海里以内に入ったと報じており、今後、米中間の緊張が高まることが予想されます。
 これは26日、アメリカの有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」やロイター通信、AP通信などが報じたものです。
 それによりますと、南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島で中国が浅瀬を埋め立てて人工島を造成していることに対し、アメリカのオバマ大統領が、アメリカ軍の艦艇を人工島から12海里=22キロの海域の中に入って航行させることを決断したということです。
 このうち「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、アメリカ軍の艦艇がすでに12海里以内に入ったと伝えています。
 12海里は沿岸国の領海と認められる範囲で、中国政府は人工島周辺の主権の主張を強めていますが、アメリカ政府はこれを認めない立場を明確にするため、軍の艦艇の派遣を検討してきました。
 アメリカ政府は、人工島は国際法上、領海の基点とはならないため、軍の艦艇を近づけても問題はないとしていますが、これまで中国側は主権の侵害に当たるとして批判してきました。
 アメリカ政府は今のところ、報道の確認を避けていますが、実行されれば中国の強い反発は必至で、米中間の緊張が高まることが予想されます。

「米軍の作戦 コメント控えたい」

 菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、「米軍による作戦の一つ一つについて、コメントすることは控えたい。そのうえで申し上げれば、南シナ海における大規模な埋め立て、拠点構築等、さらには現状を変更して緊張を高める一方的な行動は国際社会の共通の懸念事項だ。わが国としては、開かれた平和で自由な海を守るために、国際社会が連携していくことは極めて大事なことだと考えている」と述べました。
 また、菅官房長官は、「日本政府としてアメリカ軍の今回の行動を支持するのか」という質問に対して「アメリカがどういう作戦をしているかということについては、コメントすることは控えたい。ただ、日米間では緊密な情報交換を行っている」と述べました。
 さらに、記者団が「アメリカ軍の艦艇が、中国が造成した人工島から12海里以内に入ったことを日本政府として確認しているのか」と質問したのに対しては、「コメントは控えたい。ただ、緊密な情報交換は行っている」と述べるにとどめました。

PS②
中国が南シナ海への米駆逐艦派遣に抗議

米国は人工島警戒を定例化へ


ニューズウィーク10月28日

中国が「領海」と主張する海域内に米艦を派遣した件で、米国防当局者は27日、南シナ海での警戒活動頻度を増やす見通しを示す一方、中国は同艦に警告したうえで米国大使に抗議したことを明らかにした。

 米国は26日、ミサイル駆逐艦「ラッセン」を南シナ海で中国が造成した人工島から12カイリ(約22キロ)内の中国が「領海」と主張する海域に派遣。これは中国の領有権主張に対する米国の最も重大な挑戦を意味しており、中国の怒りを買うことは必至とみられていた。

 今回の派遣で米国側は、平和、秩序、安全を害さない限り、他国の領海を通行できる(無害通航)権利を行使したとみられている。同国はこうした活動を定例化する考えだ。国防当局者は「この種の行動を挑発と捉えるべきでない」と述べた。次回の活動時期は明らかにしなかった。

 当局者は「われわれは世界国家で、法的に認められた地域で、活動できるようにしておく必要がある」と説明。「だからこうした任務を実行しているのだ」と話した。

 また、中国の船舶が約6週間前、米アリューシャン列島の12カイリ内を通航したほか、各国船舶も頻繁に通っていると指摘。「仮に無害通航ができなければ、通航に法外な費用がかかり、難しくなる」と語った。

 当局者によると、今回の米海軍ミサイル駆逐艦「ラッセン」派遣時、中国の艦船が安全な距離を確保しながら追跡したが、トラブルはなかったと説明した。

 ラッセンはスビ礁付近を航行したが、ミスチーフ礁付近は通航しなかったと説明。フィリピンとベトナムが領有を主張する岩礁の12カイリ内も通航したという。

 スビ礁とミスチーフ礁はともに、中国が2014年に大規模な埋め立てプロジェクトを始める前まで、満潮時は海面下に沈んでいた。

 国連海洋法条約の下では、これまで海面下に沈んでいた岩礁の上に人工島を造成した場合、周囲に12カイリの領海を設定できないとされている。

中国側は激しい抗議

 一方、中国外務省は27日、米艦の動きを監視、追跡した上で警告したことを明らかにした。

中国外務省は声明で「中国の抗議を真摯に受け止め、過ちを即刻是正し、中国の主権と安全保障上の利益を脅かすような危険もしくは挑発的な行動をとらないよう、中国は米国に対して強く要求する」とした。

 張業遂・筆頭外務次官は同日、米国のボーカス駐中国大使を呼び出し、米駆逐艦派遣は「極めて無責任」だと抗議した。

 外務省はこれより前に、中国政府の許可なく、米艦が「不法に」南沙(英語名スプラトリー)諸島にある人工島付近の海域に進入したと批判していた。

 同省の陸慷・報道局長は定例会見で、米国が同海域の緊張を高めることをやめなければ、中国は「関連能力を増強」せざるを得ないとの結論に至るかもしれないと語った。

 陸氏は、具体的には言及せず、そのような事態にはならないことを望んでいると述べるにとどめたが、同氏の発言は中国が南シナ海で軍事的プレゼンスを一段と強める可能性を示唆している。

 一部の専門家は、同海域で米国が定期的に活動することに中国は抵抗するとみており、中国海軍が米艦船を包囲し阻止しようとする可能性を指摘。そうなれば事態がエスカレートするリスクが高まるとしている。

 一方、南京大学中国南海研究協同創新センターの朱鋒主任は、最終的に米国と対立することは避けたいため、今回の米艦派遣に対する中国政府の反応は限定的との見方を示した。「言葉での応酬が続くだろうが、実際の行動は自制の兆候を示すものになると期待している」と朱氏は語った。