鳥巣清典の時事コラム908「安倍首相、朴氏と言葉交わしたい」
安倍首相、朴氏と言葉交わしたい
2014年1月22日(水)16時57分配信 共同通信
安倍晋三首相は22日の日本テレビ番組で、スイスで開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)への出席に関し、韓国の朴槿恵大統領と会った場合、言葉を交わしたいとの意向を示した。
同時に「この条件をのまなければ対話をしないということではなく、胸襟を開いて話し合うことが大切だ」と強調した。
【鳥巣注】
切ない、ラブコールのようにも聞こえます。罵り合った末に、どう仲直りするのでしょうか。それとも・・? お互いの表情が、見ものですね。
韓国大統領の講演傍聴=会場で尹外相と握手-安倍首相
2014年1月23日(木)0時58分配信 時事通信
大統領は講演で北朝鮮情勢や中国との関係に言及したが、日本については触れなかった。首相はこの後、記者団に「朴大統領はこれからの未来、韓国と世界が進むべき方向について素晴らしい講演をされた」と称賛。その上で「日中韓が世界経済を引っ張っていく立場にあるという観点から話し合うべきだと思う」と述べ、首脳会談を改めて呼び掛けた。
ただ、ダボスでの会談に関しては「機会があれば会いたいが、それぞれ日程が詰まっているから難しい」と語った。
【鳥巣注】
喧嘩するのは簡単ですが、仲直りするのは・・なかなか。ましてや、お互い、国民から注目される中では・・。「仲直り編」第一幕は、やはり誰かシナリオを書いているのでしょうか。女性は「復縁したい」ことをはっきりと口で伝えないと駄目だそうです。安倍首相、がんばって下さい!
【鳥巣注②】
私の知人で、「韓国好き」の男がいて、理由を聞くと「日本人と違って”YES””NО”がはっきりしているところ」と答えたものです。そのことと連想して思い出すシーンがあります。
まだ私が10代か20代の初めの頃に読んだ活字です。劇作家の唐十郎さんが韓国を訪れた時に、詩人・思想家で有名だった金芝河(キム・ジハ・
1941年生まれ)と大ゲンカをする。唐さんは、テーブルを乗り越え突っ込んでいく。酒宴の席は修羅場と化した。でも、取っ組み合いが終わると、何もなかったかのように肩を組み合う。無二の友になる。唐さんも日本人には珍しく「”YES””NО”がはっきりしている」人ですが、男臭さが横溢した印象に残るシーンでした。
今回は、相手が「女性の大統領」ですから、アプローチの仕方にアイデアはありません。あ、そうそう・・松村劭元陸将補が述べていた戦略がありました。「最も効果があるのは、”イン・ダイレクト・アプローチ”だ」と。『間接アプローチ戦略(Indirect approach strategy)』とは正面衝突を避け、間接的に相手を無力化・減衰させる戦略をいい、第一次世界大戦後、リデル・ハートによって提唱されたものです。松村氏は「リデル・ハート」にご執心だったようで、しばしばその名を出していました。
「女性の心」を射るのも、正面作戦を避け、間接的にアプローチしていく。
安倍首相が、観客席で演説を聞き、朴大統領直接ではなく、記者団に<「朴大統領はこれからの未来、韓国と世界が進むべき方向について素晴らしい講演をされた」と称賛。その上で「日中韓が世界経済を引っ張っていく立場にあるという観点から話し合うべきだと思う」と述べ、首脳会談を改めて呼び掛けた。>。それも、ひょっとしたら・・?(拍手)
【鳥巣注③】
リデル・ハートの『間接アプローチ戦略(Indirect approach strategy)』。懐かしい名前を思い出したついでに、「ウィキペディア」を見てみました。
戦争の原則
ハートの説く戦争の原則は、6つの積極的側面と2つの消極的側面から構成される。ハートは、これらの原則を絶対的な原則ではなく、経験則であると留保を入れている。
積極的側面
- 目的を手段に適合させよ
- 目的を常に念頭に置け
- 最小予期線を選択せよ
- 最小抵抗線を利用せよ
- 代替目標のある作戦線を選択せよ
- 状況に対する柔軟性のある、計画および配置を心がけよ
消極的側面
- 敵が防御態勢を整えている間は攻撃するな
- 一度失敗した作戦線で再攻撃をするな
間接アプローチ戦略の理論リデル=ハートはあらゆる時代の戦史を通じて一貫して認められる戦略の原理について考察している。それは敵の不用意に生じて敵を突くことを確実にする間接的な接近を行うことであり、この間接性は心理的に常に必要である。このことは敵の予期する正面に対して接近すれば敵の抵抗は強力となることから容易に理解できる。敵に有効な損害を与えて勝利するためには敵の心理的または物質的なバランスを攪乱することが必要である。間接アプローチとは攪乱の方法論であり、この間接アプローチ戦略はその方法論を体系的な戦略理論として定式化したものである。
リデル=ハートによれば戦略とは政治目的を達成するために軍事的手段を配分・適用する術と捉えられている。そしてさらに国家目的を遂行する政策としての大戦略、軍の総司令官が責任を負う戦争術としての純粋な戦略、最後に戦闘を全般に扱う戦術に区分する。本書では戦略の要素として物的要素としての運動と心的要素としての奇襲があり、これらは相補的な関係にあると述べている。従来の戦略学の議論で重視される物的要素だけでなく心的要素を重視しなければならないとリデル=ハートは強調する。そもそも戦略の目的とは戦略の定義から考えれば軍事的手段と非軍事的手段を選択することであるため、戦闘そのものを求めるのではなく、有利な戦略環境を求めるべきである。
つまり戦略の目的とはより有利な戦略環境を形作るための戦略行動としての攪乱となる。戦略行動の攪乱は敵の物的戦闘力が最も配置されていない最小抵抗線と敵の警戒が最も薄い最小予期線に対する攻撃により行うことができる。効果的な攪乱を行うためには敵の行動の自由を奪うための牽制、つまり我の戦力を分散的に配置することが必要となる。牽制によって攪乱を成功させた後には活用の行動が求められる。つまり得られた戦果をより維持拡大するために追撃などの行動を行うことである。この一連の戦略行動は間接アプローチ戦略と概念化され、リデル=ハートの戦略理論の中心を占めるものとし、また戦略学の研究に新しい視座をもたらした学説として評価されている。