鳥巣清典の時事コラム401「石原都知事『名優』自認『やるなら悪役』」
石原都知事「名優」自認「やるなら悪役」
2012年4月11日(水)16時21分配信 日刊スポーツ
石原慎太郎東京都知事(79)が11日、都内で、国民新党前代表の亀井静香氏(75)が主導する都知事を党首とする新党結成について聞かれ「俺も待望している。もう歳だからな」と結成をせかすような発言をした。
この日、自身が製作総指揮・原作・脚本を手掛ける映画「青木ケ原」(来年春公開予定、新城卓監督)の製作発表会見に出席。都知事役で出演することも明かした。役者として演技することの感想を聞かれ「(自分は)名優ですよ(笑い)。これだけ世間をたぶらかせているのだから。周りをキョロキョロ、ソワソワさせて楽しいよな。やるなら悪役、石原慎太郎だよ」と冗舌だった。
映画の原作は、さまざまな形で死んでゆく人々の生きざまを描いた短編集「生死刻々」に収められた一遍。山梨・青木ケ原樹海を舞台に、悲恋に散った男女の軌跡を描き、人と人の絆の不思議さ、命の大切さを訴えた作品。勝野洋と前田亜季が主演、石原知事の強い要望で津川雅彦も名もない寺住職役で出演。3月31日にクランクイン、4月末にアップする予定。
石原知事「政治はもう少しで辞めると思うが」 原作脚本映画「青木ヶ原」制作発表で発言
2012.4.11 16:49 [産経ニュース]
石原慎太郎東京都知事が製作総指揮、原作、脚本を担当する映画「青木ヶ原」(新城卓監督)の制作発表会見が11日、東京・芝公園のホテルで開かれた。石原知事は「久しぶりの自作の映画化で心ときめいている」と話す一方、「政治はもう少しで辞めると思うが小説はずっと続ける」などと語る一幕もあった。
毎年多数の自殺者が見つかる富士山北西の青木ヶ原樹海が舞台。自殺をテーマに40代の男(矢柴俊博さん)と20代の女(前田亜季さん)が病気に苦しみながらも貫いた純愛を通じ、絆や命を描く。石原知事もワンシーン出るといい「自分は名優ですよ、これだけ世間をたぶらかしているんだから。石原慎太郎という悪役をやりたい」。
新党に関する質問は「亀井(静香前国民新党代表)に聞いてくれ。私も待望している。年だからね」とかわしたが、住職を演じる津川雅彦さんに「橋下徹大阪市長、安倍晋三元首相と組み日本を建て直してほしい」と言われると、「余計なこと言うな」と苦笑いしていた。
津川さんとは、自身が原作脚本の映画「狂った果実」(昭和31年)で、弟の裕次郎さんと並んで主演に抜擢した縁がある。
来春公開予定。遺体捜索に関わる村議に勝野洋さん、医師役で石原知事の次男、良純さんらも出演。新城監督とは特攻隊を描いた「僕は君のためにこそ死ににいく」(平成19年)に続くコンビとなる。
【鳥巣注】
原作となる『生死刻々』のレビューには、以下のようなものがある。
①
短篇・『青木ヶ原』
掌編集・『わが人生の時の生と死』
連作掌編・『ブラック・リング』
掌編集・『生死刻々』
短篇・『生き残りの水兵』
死者との邂逅を描く短篇『青木ヶ原』冒頭は文藝春秋サイトにて試読可能。
著者の最高水準というわけではないが、興味のある方は是非。
続く『わが人生の時の生と死』は、
実質『わが人生の時の時』『~時の会話』から連なる掌編集の続編。
(『わが人生の時の人々』は聞き書き+短篇の為除外)
私感では特に掌編で世界最高峰の資質を示す著者だが、
『キジムナーは必ず来る』『傭兵になった男』『幻覚』といった歴代屈指の名編が並ぶ。
わけても動物園の飼育係と獣を題に取った『ライオンと若い女』を著者のベストに推したい。
『エベレスト』はモデルとなった野口健自身による書評もあるので参考までに。
『ブラック・リング』は佳作。
包丁の購入に始まる犯罪が次々に綾を成していく。
『生死刻々』は文字通り生と死を中核に据えた掌編集。
ここでは『おみくじ』『サイパン』『海での出会い』といった粒が揃う。
末尾の掌編『異郷にて』はタイトルからしてヘミングウェイを意識しているが、
異国の地での死刑と人身売買の目撃、それについての畏敬と悪びれ無さがいい。
『生き残りの水兵』は復讐劇。
先の大戦で生き残った水兵たちを襲い、
また生き残りが襲わざるをえなかった何者かを描破する。
読み易さ、また濃密さを鑑みて、後期石原慎太郎の入門に最適。
気に入った方は最新長篇『火の島』も是非。
②
掌編というものを初めて読んだ。
小説というよりは「つぶやき」に近いのでどんどん読める。テンポがいい。話し言葉の歯切れがいい。
「青木ヶ原」死体と日々隣り合わせのリアルさを感じる。
「ライオンと若い女」漫画か?生と死はとなりあわせ、というテーマならこれはちょっと荒唐無稽。
「ブラックリング」最近の事件をつなぎ合わせているだけ・・・?なぜこれを描いたのか。読後感に重みもなければ感動もない。
「生き残りの水兵」石原氏の年代の男の人、戦争を経験した人ってこういう考えをする人もいるんだ、ということがわかった。この本の中では唯一、息が吹き込まれた小説と感じました。沈没した艦隊、海の中に沈んでいく人々の様子、ホームレス狩りにあっさり殺されてしまう戦友。
生死をドライに突き放して捉えているところは面白いし生死を超えた「何か」の存在を描こうとしている、と感じましたが、描き方が薄く、残念でした。戦争体験については短いながらもリアルに伝わってきました。その点で星ひとつ。
③
おもしろくありません。
駄作もいいところです。
3/11に起きた東北地方太平洋沖地震に対しての
石原慎太郎氏の言葉↓
「日本人は津波をうまく利用して我欲を1回洗い落とす必要がある。やっぱり天罰だと思う」
公共の電波でこんなふざけた発言をするような愚かな人間、人の生と死を軽んじる人間が生死刻々などというタイトルをもって作品を出すことが頭がおかしかった。
面白いわけがない。
福島に家族がいる私は絶対に奴を許さない。
【鳥巣注】
一方で、石原氏には『再生』という著書もある。
レビューをひとつだけ紹介させてもらう。
①
50に近くなりますが、本というもので初めて号泣。不覚にも娘二人の前でほとばしる涙を止められなかった。
ヨブ記にも共通する人間の不条理と、その不条理ゆえのもろくて深い人間の存在の意味。
また、以前から疑問だった芥川、太宰、川端の自殺についての言及とそれを超える一つの解が提示されています。
洗練された文章と相まって、人間の存在意義について現実的な側面から考えさせられ、今も余韻が深く脈を打っています
さらに、『老いてこそ人生』がある。
こちらも、レビューをひとつ。
①
石原慎太郎氏の本は、初めて読んだ。
こんなに文章がうまいとは、驚いた。
石原氏は元気者で、いろんなことをやっている。
ヨット、ゴルフ、酒、けんか。
そしていろんな病気も、抱えてきた。
いろんな治療も、受けている。
断食の話は、興味ぶかかった。
私も、宿便を出してみたいものだ。
病気の中で、政治家を目指したとあった。
なるほど。
人気作家からなぜ転職したのか、わかった。
また、4人いる息子の話も面白い。
死に向かって、老いに向かって、じたばたとするいろんな話。
おもしろかった。
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PS①
「石原新党」5月末に 亀井氏、「民主分裂も」
2012.4.11 00:20 [産経ニュース]
国民新党を離党した亀井静香氏は10日夜のインターネット番組で、石原慎太郎東京都知事を党首にする新党について「5月末にはできる」と述べた。
消費税増税関連法案に関しては「民主党は(分裂して)衆院でも過半数を割る可能性がある。同党から40~50人は出てくる」との見通しも示した。
PS②
再び、「孤独死」が報じられている。
63歳男性孤独死、3カ月後発見
2012年4月11日(水)12時21分配信 共同通信
茨城県守谷市で、生活保護を受けていた一人暮らしの無職男性(63)が自宅で病死していたことが11日、市への取材で分かった。死後3カ月が経過していたとみられる。市によると、男性は平屋の借家に暮らしていた。地区の民生委員が9日、生活保護の受給内容の変更通知を渡すために訪問したが応答がなく、10日に市に安否確認を要請。市職員が同日、室内で倒れている男性を発見した。死因は心不全の可能性が高い。