鳥巣清典の時事コラム47「福島第一原発3号機との戦い」 | 絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

鳥巣清典の時事コラム47「福島第一原発3号機との戦い」

「3号機が原子炉格納容器の圧力の限界3・84気圧に一時近づく」

日本経済新聞(3月21日朝刊)は、こう報じています。
<東京電力福島第一原子力発電所3号機は20日、原子炉格納容器の圧力が上昇し、一時設計上の上限に近づいた。
東電によると圧力は20日午前7時3・4気圧まで上がり設計上の上限圧力の3・84気圧に近づいたが、午後4時に2・9圧に下がった。
格納容器が壊れると大量の放射性物質が外部に出かねないため、水蒸気を逃がして減圧し破損を防ぐ必要がある。
水蒸気を水に通せば放射性物質を薄められるが、容器の状態によっては直接大気中に出さざるを得ない>


「3号機の使用済み核燃料プールに連続13時間半2千㌧以上を放水」

<一方、東京消防庁などの緊急消防援助隊は19日から20日にかけて3号機の使用済み核燃料プールに連続13時間半、2千㌧以上を放水。同日午後9時半から再び放水した。約6時間、1000㌧程度を見込む。
また防衛省・自衛隊は20日午前、過熱が懸念される4号機の使用済み燃料プールに消防車11両から約1時間20分、計約80㌧を放水した。午後も再び約80㌧の予定で放水した。
東電は2号機に外部電源を接続する作業を完了。20日午後3時46分に配電装置で受電を確認した。ポンプや冷却システムが正常に動くか確認作業をしている。
防衛省は周辺のがれき撤去のため、放射線を防御できる陸上自衛隊の74式戦車2両を現地に派遣する>

「格納容器上部は128度で、使用済み核燃料貯蔵プールは62度」

読売新聞( 2011年3月21日(月)0時26分)は、以下の様に報じました。
<防衛省は20日夜、東京電力福島原子力発電所1~6号機の表面温度について、陸自ヘリが測定した結果を公表した。
3号機の格納容器上部は128度で、使用済み核燃料貯蔵プールは62度。ほかの5基は、24~58度だった。北沢防衛相は「すべて安心していただける数値だ」と述べた。>

「原発との死闘は、まるでもぐら叩き」

「3号機」が焦点。
になっているようです。
 米紙ニューヨーク・タイムズが「同時に複数の原子炉がトラブルを抱えた事故例を知らない」と驚愕したように、最も危険な号機は刻々と変化。
「いったい何号機がいちばんヤバイのか?」
時々、混乱しかねません。
不謹慎な表現かもしれませんが、まるで「もぐら叩き」。
敵は叩いても叩いても、息を吹き返しては顔を出す。
ゾンビを相手にしているかのようです。
死者は死にません。
永遠の火とは、死の灰を降らせることなく燃え尽きはしないものなのでしょうか。
これがゲームなら、電源を引き抜いてでもゲームオーバーにしたいところです。
でも、これは現実!・・?


「大災害を前にした時こそ真の国民性が現れる。冷静さは驚くばかり」

内心はハラハラ、ドキドキ。
でも日本人は、外国人のようには感情表現を露わにはしません。
と言っても、外国紙によって、その違いを知るのですが。
あの中国でさえ、
<大災害を前にした時こそ、真の国民性が現れる。日本を襲った未曽有の大地震と津波。それに対する中国人と日本人の反応の差はあまりにも歴然としている。日本人の冷静さには驚くばかり。命を失うかもしれないという恐怖の中、整然と秩序を保っている。四川大地震の時は生徒を見捨てて真っ先に逃げた教師が国中から批判を浴びたが、そんな輩はもちろんいなかった。一方、中国では隣国の震災から6日後、放射能漏れの恐怖からパニックが発生。食塩に被曝予防効果があるとのデマが広がり、買い占め現象が起きた。>

「日本のメディアも真実のみを淡々と伝えることを使命に」

<日本のメディアも国民の恐怖をあおるような報道はせず、真実のみを淡々と伝えることを使命としていた。それが国や国民に対する責任である、と。一方、中国の新聞やネットが報じる震災のニュースはやたらとセンセーショナルで恐怖をあおるような内容ばかり。まるで血の匂いを嗅ぎつけたハイエナのように、あることないことを我先にと興奮気味に報じている。>

「日本人は『冷静なオオカミ』、中国人は『やたらと動き回る羊』」

<日本人の団結力にも感心させられた。その反対に中国人の自己中心ぶりは情けない。日本人は四の五の言わず黙ってやるべきことをやるが、中国人はまず大々的にスローガンを打ち立ててからでないと動けない。日本人は「冷静なオオカミ」、中国人は「やたらと動き回る羊」といったところか。>

「再び戦火を交えても日本人には勝てるとは思わないほうが良い」

<今回の震災が起こるまで、中国人はもう少しまともな民族だと思っていた。筆者は決して外国崇拝者ではないが、今回ばかりは中国人と日本人の民度の差をまざまざと見せつけられた気がする。万が一、両国が再び戦火を交えることになったら…。我々は日本人に勝てるなどと思わない方が良いかもしれない。>
(2011年3月11日、東日本大震災で日本人の民度の高さに驚いた中国人ブロガーが、「中国人と日本人の差」と題した記事を中国のブログサイト・鳳凰博報に掲載)

「原子炉建屋が吹き飛ぶほどの爆発が起きても遠慮しながら報じる」

アメリカの日本人評はこうだ。
<日本の大新聞やテレビは、原子炉格納容器が損傷したり、建屋が吹き飛ぶほどの爆発が起きたりしても、遠慮しながら報じている。どんなに深刻な状況をリポートしても、結論は楽観的だ。「放射線量は下がった」「人体に影響はない」と取り繕うことを忘れない。>
(米ワシントン・ポスト)
改めて、日本民族とは何なんだろう?

「日本人の冷静さは、サムライ精神? 農民の諦観?」

商店街でも聞いてみました。
「どうして日本人は、世界がおどろくほど忍耐強いんだろう?」
私は和菓子屋の女性経営者(30代)に聞いてみました。
「どうしてかなあ?」
首をひねったままでした。
実際の所、そんなに驚かれる事なのかと日本人自身が驚いている。
剣道師範の大学の先生(60代)は、
「サムライ精神ですよ。
侍はじたばたしない」。
商店街のオシムさん(70代)は首を傾げました。
「諦観(ていかん)。
我々日本人は大半が農民出身だからね。
諦めがね。
いまだに、士農工商はありますから」
ぽつりと言ったのでした。

「日本に来て最も目立つのは、コミュニケーションと忠誠心」

商店街に28歳のアメリカ青年が現れます。
新自由主義の母国に絶望し憧れの“ゴジラの国”日本に来たそうです。
キャピタリズムを憎む彼を、私は「ムーアくん」と呼びます。
現在、茨城の小学校で英語の講師をしている彼、高校、大学で日本語を勉強したそうで流暢にまくしたてます。
「日本に来ていちばん目につくのは、コミュニケーション。
居酒屋、盆踊り、お彼岸。
いろんな機会に、至る所にコミューンがある。
アメリカにはない。
日本のそういう風景を写真に撮っていきたい。
一言で言えば、“忠誠心”が日本にはある」
外国人から「冷静」と見える背景が少し解けてきた気もします。
ちなみに彼は、大震災後に都内に引きこもらず、逆に茨城に留まっているそうです。
オバマ大統領の「80キロ圏外に離れるように」というメッセージを完全無視。
日本への忠誠心の結果が、「大吉」と出ることを心から祈りたいものです。
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「午後3時55分、3号機で黒い煙が発生」

PS①
午後3時55分、「福島一号原発3号機から黒い煙が出ている」とのNHKニュースが流れました。
原子力・安全保安院の広報課に問い合わせしてみました。
鳥巣  何が起こったのか。
保安院 確認中です。
鳥巣  非常事態の時は?
保安院 早期に総理が宣言することになっています。
ただ現在のところ、これ以上悪くなる要素は出て来ないと思える。
鳥巣  最も警戒するのは、大量の使用済み燃料棒か?
保安院  使用済み燃料棒は、全部で数千本ほどあると言われる。
鳥巣  東電は18日、福島第一原発1~6号機(福島県)の使用済み核燃料貯蔵プールの保管状況を公表。全基のプールにある核燃料集合体は計4546本という。
保安院  しかし、水の中にある限りは放射性物質は外には漏れない。
最も懸念するのは、圧力容器の圧力が高まり爆発することだ。
鳥巣  爆発したらどうなる?
保安院  放射性物質が大量に外に出てしまう。
ひとつは爆発したら上昇してふわふわ浮いていく。
もうひとつは、放射線を出して直線に進む。
低い位置で放射線を出したら、低いまんま進む。
高い位置で放射線を出したら、高いまま進む。
そのときにベータ―線とガンマ線が出る。
ベータ―線は、金属で閉じ込められる。
ガンマ線は、コンクリートで閉じ込められる。
鳥巣  爆発を起こした時の放射線物質の量は想定されるのか。
保安院 それは承知はしてない。
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やがて記者会見が行われました。
「煙の発生の原因については不明です。
3号機はまだ電気が通じていない。
漏電やショートで火事を起こしたとは考えにくい。
確認を進めたい」
その後、時事通信は18時17分以下の様に配信しました。
<東京電力は21日、福島第1原発3号機の建屋屋上南東側からやや灰色がかった煙が発生していると現場から同日午後3時55分ごろ連絡があり、作業員をいったん避難させたと発表した。爆発音は確認されておらず、煙は当初より少なくなっているという。
 南東側屋上近くには使用済み核燃料プールがあるが、経済産業省原子力安全・保安院は、発煙後、敷地内の放射線量に特段の変化は見られず、同プール内の核燃料の損傷は考えにくいとしている>

「避難するも残るも苦渋の選択です(福島県いわき市老人保健施設)」

福島県いわき市にある『老人保健施設 うらら苑』の事務局長に話を聞きました。
「地震の影響でまだ断水中なんです。近くの浄水場からトラックで水を運んできています。ガソリンも不足しており市から認可を受け、なんとか優先して回して貰っています。福島一号原発から50キロ離れていて、屋内待機、圏外避難の外にはあるんですが、今日も市の広報車が回って”雨に濡れるな””外出するな””帽子をかぶれ”などと言っております。いくら外からは”大丈夫”と言われても、人間ですから、どうしても自分の身の安全を守ろうとしますよね。24名ほどいた介護職員も14名に減りました。事務職スタッフが応援して、なんとか回しています。避難する者も残る者も苦渋の選択です。避難した職員も涙を流しながら県外に出ていきました。残った職員は気力、体力の限界を迎えつつあります。問題は今後ですよね。先程も福島原発のほうで煙が上がったというニュースが流れていました。万が一逃げなきゃいけない、という事になったら、大変な事になると思います。可能性も考えて県外の施設と、受け入れの有無について問い合わせを始めました。毎日、自分の首を絞めながらやっている感じがします。いいかげん原発の問題は解決して欲しい」