エコノミストの嶌峰義清氏インタビュー11 「世界は国の威信を賭けて戦っている」 | 絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

エコノミストの嶌峰義清氏インタビュー11 「世界は国の威信を賭けて戦っている」

(株)第一生命経済研究所の嶌峰義清・経済調査部主席エコノミストのインタビューの11回目です。


鳥巣 電気自動車については、各メーカーも研究・開発を進めているようですが。


嶌峰 企業は一所懸命に頑張っていると思いますよ。


仲の良い企業同士で組んでもやっている。


でも、そこにかけているお金には限界がある。


こういうものは、お金と人と時間をかけるしかない。


マンパワーも、要するにお金ですから。


鳥巣 私の身内に電器メーカーに勤めているのがいましてね。


法事で会った時に話をしたら、


「もうパナソニックだ、東芝だ、と国内で争っている場合じゃない。


業界の人間はみんな分かっている」と。


私が、


「日本もかつての護送船団方式でやるべきか」と聞いたら、


「軍隊でいい!」と。


裏を返して言えば、相当な危機感を持っている。


嶌峰 面白い話を聞いたんですけどね。


民間さんなんですけど。


研究・開発がすごい重要だということは分かっている。


でも業績は厳しい。


そうすると、いろんな分野、営業とかコスト削減とか言われる。


研究開発だけなぜ聖域なのかと突き上げられる、と。


企業の中だけでそういうのをやらせようとすると、そういうのが出ちゃう。


それじゃあ世界の列強が、国の威信を賭けて動いている時にかなわない。


鳥巣 世界は、競争している。


戦っている。


嶌峰 日本はこの分野では、ものすごいアドバンテージを持っています。


それは見方を変えれば、省エネ、省資源の技術開発を一生懸命にやったのは日本だけなんですよ。


資源がなかったから。


欧米は資源が無尽蔵にあった。


企業の業績を良くするためには、いかに資源を使わないかではなく、いかに人を安く使うか。


そういう経営管理の技術は発達したと思うんです。


だけど、今や電気自動車が金のなる木だと分かった。


今までは努力しない中でこれだけの差。


欧米が本気になった時に、この差が継続できるのか。


鳥巣 中国は、注意する必要はありませんか?


嶌峰 中国は電気自動車を一生懸命に作っていますが、インフラが遅れている。


一番脅威なのは、アメリカです。


ヨーロッパも一生懸命に作っていますが、開発のスピードが遅そう。


フランスは戦略的に動く国ですから、一目置くべきだと思いますが。


鳥巣 日本の研究・開発の進捗状況を調べてみたい。


嶌峰 電池だと、自動車メーカーと電器メーカー。


まつわる資源だと、商社。


技術は、いろんな研究機関がからむ。


同時進行的にスマート・グリッドも含めて、いろんな分野で同じ事をやっていくことが必要になります。


(次回へつづきます)


PS


昨日、若松孝二監督作品『キャタピラー』を新宿の映画館で鑑賞しました。


若松監督は、30年ちかく前にインタビューをしたことがあります。


パワーに衰えなし、スゴイですね。


ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞した寺島しのぶさんの熱演も圧巻でした。


寺島さんの主演映画を都内の3か所の映画館で巡回中。


見逃した作品をこの機会に見ようと思っています。


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