エコノミストの嶌峰義清氏インタビュー09 「スマート・グリッド」 | 絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

エコノミストの嶌峰義清氏インタビュー09 「スマート・グリッド」

(株)第一生命経済研究所の嶌峰義清・経済調査部主席エコノミストのインタビューの9回目です。


鳥巣 「国のかたち」を論議する上で、「小さな政府」か「大きな政府」か、というのがよくテーマになります。


お話を聞いていると、この国が何で食っていくのか?


何で稼いでいくか?


のほうが優先課題ですね。


嶌峰 政府のサイズは、その次なんです。


やり方として、歳出を増やすというやり方でやるのか、減税という形でやるのかの違いだけであって、何のためにやるのかが違う。


それがちゃんと焦点に向って行っているのであれば、財政赤字か国債発行が膨らんでも、みんなが使っていくと思いますよ。


何のために使っているのか分からないのに、赤字が膨らんでいる、というのが一番マズイ。


鳥巣 選択と集中が必要。


そして何を選択するかが、いちばん重要だと。


嶌峰 確実なのは電気自動車。


動力ですよ。


発電、動力をどう変えていくか。


そのためのインフラも、ぜんぶ変わっていくわけですから。


スマート・グリッドという電気の供給を効率化します。


そのためには、電線をぜんぶ変えないといけない。


ものすごい需要ですよ。


第二次世界大戦から復興してきた時と同じ需要の規模が生まれる。


●用語解説≪スマート・グリッド≫
情報通信技術を活用することによって、電力の需要と供給を常時最適化する、次世代の電力網。
水力・火力など既存の発電施設と風力・太陽光発電など新エネルギーによる分散型電源を制御し、効率・品質・信頼性の高い電力供給システムの構築を目指す。
地球温暖化対策の一つとして各国で取り組みが進められている。
オバマ米国大統領がグリーンニューディール政策の一つとして掲げ、注目を集めた。
(参考文献=大辞泉)


嶌峰 それは、すごいマーケットですから。


その技術を取るか取らないか。


日本の財政も含めた帰趨を決める。


それは多分、5年とかが勝負です。


鳥巣 5年!


嶌峰 この手のものというのは、ある一点を越えると、ものすごく急速に進んでいきます。


需要が生まれるのは、その後。


もちろん、この5年くらいが勝負で、国盗り物語で遊んでいるヒマはないはずなんです。


あるいは、「政治にウンザリ」なんて言っているヒマはないはずなんです。


鳥巣 「5年」というのは、本当に暗示的です。


日本の国家財政破綻も、「5年以内がタイムリミット」という説が有力視されている。


時間がない。


遊んでいるヒマはない。


まさに、その通りですね。


(次回へつづきます)


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