私の鳥飼育の理念は
ありのまま、本能のままに

自然界での本来の姿を尊重して
自然体で生きて欲しい

野生の鳥達の生態は、私達が彼等と共存してゆく上での有益なヒントを教えてくれると思っていますセキセイインコ黄

元々野生動物が好きな私にとって、こういうテーマで記事を書ける事は本当に嬉しいし、読者様の心に響く記事を書ける様、日々邁進していきます。

野鳥の生態シリーズは定期的に更新します。

記念すべき第1回目はセキセイインコ

野生のセキセイインコの生態

(credit:Paul Williams/REX/Shutterstock)

オーストラリア内陸部の乾燥地帯。

おびただしい数のセキセイインコが一斉に飛び立つと、まるで大粒の雨がアスファルトを打ち付けるかの様な羽音が轟く。

真昼の気温が時に50℃にも及ぶこの大地で、彼等がもっぱら朝や夕に採餌、採水するのは生きる知恵と言えるだろう。

(credit:Paul Williams)

一羽が飛び立てば、全個体が大空へ舞い上がる。
巨大な龍がうねるかの如く一糸乱れぬその飛翔は、まるで群れ全体がひとつの生命体であるかの様な錯覚をもたらす。

気温と湿度が安定しない大陸で、彼等は常に餌と水を求めて大移動を繰り返す使命を背負っている。
雨の降る場所、そこが彼等の楽園だ。
雨が降れば食糧となる種子が一斉に実り、水場が豊富に生成される。水は彼等の繁栄に欠かせないモノである。

野生動物が生きる為に必要なモノは、強さ、賢さ。そしてそれは同時に、見る者を魅了する美しさでもある。

(credit:BBC Paul Williams)

セキセイインコを知る上で、彼等が常に命を狙われる立場にある事を忘れてはならない。
統制のとれた群れの飛翔は、天敵がターゲットを定める目を眩ます事に効果的だ。しかし、群れの流れを外れた個体は恰好の餌食となってしまう。

群れを成し、群れに準ずる事、それこそが生き残る条件なのである。
彼等の本能は野生・飼養に関わらず、その遺伝子に深く根付いているに違いない。

(credit:Don Gadden/www.ardea.com)

彼等の食糧は種子が80%、アカシアやユーカリの葉が15%、残りの5%は虫等のタンパク質や岩石等から塩分を摂取していると言われる。


恵の雨が大陸を潤し餌水資源にゆとりが出来ると、彼等は繁殖体制に入る。

雌にアプローチする数羽の雄達がパートナーに選ばれる為の条件は、健康で頑強な肉体を有する事だ。
健康な個体は陽射しを浴びると、羽根がキラキラと輝く。
頑強な肉体が勝敗を分ける雄同士の争いでは、時に片方が命を落とす事もあるが、より強い遺伝子を後世に繋げる為には致し方ない出来事とも言える。


餌と水を求めて大移動を繰り返し、天敵の脅威をかいくぐり、繁殖の競争を勝ち抜いた逞しい肉体。
選ばれし遺伝子が繋いだ次世代の命がまた群れに加わる事で、彼等はより強く、賢く、美しくこれから先も進化を続けてゆくのだろう。

REN.