先月、復職した僕は、いち障害者として職務に専念して、「見えない障害」と言われる「高次脳機能障害」の当事者として、まちづくりのマスタープラン改定(案)の概要についての住民懇談会に参加してきました。


 残念ながら、東日本大震災の苦い経験を活かすようなものではなく、高齢者や障害者への配慮がなされたものではありませんでした。


 あたかも、健常者が考えた健常者のためのまちづくりの懇談会だったので、その旨記載した意見書を提出しました。


 これは、僕が書いた意見書なので、個人情報保護法に抵触する箇所は修正しましたが、僕の意見書は、以下のとおりです。




  「まちづくりマスタープラン改定(案)の概要」への意見





 私は、約3年前の通勤途中、信号無視の大型車に轢かれ、高次脳機能障害等、その他いろいろな障害を受けた障害者となりましたが、1月1日付けで復職した職員です。


公務災害の事故後、約3年で復職できた私は、知事さんから、「障害を持たなければ気付かない視点を職務に生かし、市民のために活躍してください。」と期待されています。

私は、障害者の気持ちをまちづくりに生かすため、先日の懇談会に参加させていただきましたが、このマスタープランの概要版を用いた説明には納得いかず、職員ですが住民ですので、発言させていただきました。

開会の挨拶や、担当職員さんからも、「東日本大震災で浮き彫りになった課題等への対応が必要」と今回の改定が必要だと説明されました。

しかし、その課題とは、震災や津波など、想定される災害に対応していなかった「まちづくり」の弱さです。これを「想定外」で片付けられたのでは、被災者たちは、救われません。

また、そのまちづくりの弱さに被害を受けたのは健常者だけではなく、高齢者や障害者などの社会的弱者たちです。

それなのに、まちづくりマスタープランの上位計画にはいくつも記載されている「障害者」の文字が、このマスタープラン概要版には、全く記載されていませんし、説明もありませんでした。

私の発言に対する職員さんからの回答は、「概要版に記載されていなくても、マスタープランそのものには、障害者のことや関係条例などが記載されています」とのことでした。

しかし、障害者は、この懇談会に来たくても来れない人はたくさんいるでしょうし、そんなにぶ厚いマスタープランを読むことができない人がたくさんいます。いったい何のための概要版なのでしょうか?高齢者や障害者を全く無視したような、「健常者のためのまちづくり」にしか見えないというのは言い過ぎでしょうか。

私の前に質問した方も、「交通事故でたくさんの方が亡くなっている」と今後改めるべきことを発言されていたので、同じように発言がたくさん出るものと思っていましたが、たくさんご出席された自治会長さんたちからの発言がなかったのに、それ以上の発言はできなかったんだと思います。

 今回の懇談会は、誰でも発言できるような状況ではなかったため、今後は改めるべきかと思います。

 

長くなりましたが、上位計画を基にするのなら、高齢者や障害者などの社会的弱者が住み続けたくなるまち、訪れたくなるまちを目標にするべく、概要版にこそ記載するべきです。これが、いち障害者の気持ちです



 意見書は以上のとおりです。

 この意見書を受理した担当部局がどのように対応するかはわかりませんが、同じ自治体ですが、他部局の対応を見てみたいと思います。