暑さに動物園のマレーグマみたいに
のびてブログさぼってる熊です~
先週10日、ネトラジの
オカルト朗読番組「怪奇夜行」さんに
投稿した「不思議な絵の話」が読まれましたんで
このブログでは再掲ですけど、その話をもう一回
載せまっせ~
「不思議な絵の話」 とりぴー自分は仕事柄、イラストレーターさんとのつきあいがあります。 そんな中のひとり、 仮に鈴木先生と言っときましょうね。 その鈴木先生が体験したお話を今日はご紹介します。 添付しました画像は その鈴木先生がかいた問題の絵を 当時見せてもらってましたから 私が思い出して、記憶でかいたものです。 この絵がこれから話すお話に 大きく関わってきますので。 当時、鈴木先生は東京に唯一残された 路面電車の荒川線の 沿線・・とある廃業した町工場の2階にアトリエを かまえていました。 その町工場の建物は その荒川線のとある 停留所からそんな離れてない商店街の入り口付近に それはありました。 鈴木先生のご自宅は別にあったのですが 先生は結婚して小さな子どもがいましたから 集中するにはアトリエがある方がよかったようです。 それに作業にパソコンを使ってまして、 アトリエ用に なるべく広い部屋を・・・ということで探して借りたのが この、もと町工場の2階だったようなんです。 建物のつくりですが、町工場だったわけですから ま、家2軒分くらいの、やや大きめの建物でして2階建てでした。 1階の工場は廃業して閉鎖してますから入れないようになってます。 2階へは建物の外側にある階段を上がって行くようになってます。 その階段はというと、学校の古い非常階段のように むき出しになっているものではなく、 屋根と壁におおわれた階段でした。 階段下のドアを開けると室内の階段と変わらなく見えましたよ。 その階段を上がるとそこが玄関で すぐわきが部屋の入り口となります。 2階は工場の事務所だったらしい広い部屋と 工場の家族の住居だった部屋がありました。 鈴木先生はその広い部屋をアトリエに 住居用の部屋を寝泊まり用に使ってたんですね。 鈴木先生は当時 月刊のパズル雑誌の仕事をかかえてましたので 締め切りが来る毎月月末にはそのアトリエに泊まり込んでいたんです。 先生以外にこのもと町工場を借りてる人はいませんでしたから ある程度、好きなように使えたようですね。 前置きはここまで ここからがちょっと不思議なお話に はいってゆきます。 鈴木先生がそこにアトリエを設けてから 数ヶ月ぐらい経った頃のことです。 自分はイラストの依頼があるので 初めて先生のアトリエに行きました。 すると驚いたことに 鈴木先生は左腕をケガして包帯で吊っていたんです! 幸いに利き腕は無事なので 「仕事は出来る」っていうんですが、 そりゃそんな姿を見れば どうしてケガしたのか気になりますよね。 もちろん自分も先生に何があったのかを たずねました。 そうしますと 鈴木先生はちょっと照れくさそうな表情を浮かべて 部屋のすみから、額縁にはいった絵を持って来ます。 そして話しだしたのです。 それは 先生がこのアトリエに来てから 最初の泊まり込みのときのことだったそうです。 ふっと毎晩毎晩 同じ夢を見てることに気がついたんですってね。 夢って言っても怖い夢じゃなくて 夢の中で暗い場所に立っていると 向こうから人影がやって来る・・ ただそれだけの夢だったそうです。 その人影・・いや影ってのは普通黒いもんだけど それは逆に他より白くぼんやり明るく見えたそうなんです。 それがカタカタ・・カタカタ・・・変な動きで近寄って来るんだそうです。 先生はそれがどうも最初、子どもに見えたんですってね。 どうしてかと言うと 背が低くて頭が大きくって 動きがやたらとおどけてるように見えたからです。 それが何日かたつうちに ぼんやりと輪郭がわかるようになってきて だんだんに見えてきた物は・・・変な物でした。 頭が不自然に大きく体と手足が不自然に細くて、 目鼻口も髪もまったくなくって・・ただ白いだけの物、 それが走ってるみたいなポーズを崩さずに まさに紙相撲みたいな動きで カタカタ・・カタカタ・・ って寄ってくるんですって。 鈴木先生はもちろん それが夢と気づいてたそうで それ見て夢の中で笑ってたそうです。 う~ん自分でしたら ちょっと気味悪いと思う夢なんですが イラストレーターともなると感覚が少し 違うんでしょうね。 それどころか さすがイラストのプロですから 目が覚めたあとに 夢のそれを思い出して、すぐに絵にかいてみたようです。 それがこの絵です。 鈴木先生は自分でかいた その絵がたいそう気に入ったので 額に入れてアトリエの入り口に飾ろうと・・そう思ったそうです。 入り口いうのは さきほど言ったように階段あがった所にあります。 ああでもない、こうでもないと 先生は絵を飾る位置を考えてましたら、 うん!どうせですから階段あがるときに この絵が見えた方が面白いかなあ~なんて思ったようです。 結局先生は 階段あがった正面の壁に絵を飾ることに決めました。 階段あがりながら その絵が見えるわけです。 絵を飾って そして、それからしばらくたって・・・のある日のこと。 土曜の深夜だったそうです。 鈴木先生は夜遅くにアトリエに戻って来ました。 深夜になってしまったのも 先生は月刊誌の打ち合わせの後、 そこの担当さんとちょっと飲んでたからです。 家に帰るものなんだから こっちに泊っちゃおうと思ったそうですね。 そんな時間、 さすがに商店街も人通りは無く静かでした。 もと町工場は 鈴木先生しか借りてませんから誰もいません。 2階にあがる階段も当然に真っ暗です。 階段下のドアを開け その階段に一歩足をかけたときです それは起きました。 ドドドドドドドドドドドドドドドドドド ものすごい勢いで何かが駆け下りて来たと 思ったそうです。 先生は とっさに左腕で頭をかかえました、 その瞬間に腕に激痛が走ったそうです。 腕に当たったもの・・それは 階段の上に飾っておいたはずの絵でした。 それが 額ごとはずれて階段を転がり落ちて来たんだそうです。 階段下のドアを開けたくらいで 絵がそんなタイミングではずれるでしょうか? そして転がるでしょうか? とにかく先生は 病院直行で何針も縫うケガをおってしまったわけです。 ・・・・というような そんなことが起きたとはつゆ知らず 自分が訪ねて来て・・ で、ここまでの話を聞いたということです。 もちろん自分は 「そんな絵、気味悪いからしまった方がいいですよ・・・」って 忠告しました。 鈴木先生も「そうだねえ」とか 苦笑いして、 その場は終わったんです。 度胸があるのか、無頓着なのか、 左腕の怪我が癒えるや 鈴木先生はそのあと1年くらいは そこにいましたかね・・・ 幸いに、それ以上、 特に変なことは起きなかったようです。 やがて先生も すこしお金もたまったから、新しいアトリエを借りるってことになって、 そこを引っ越すこととなりました。 引っ越すいうことで 鈴木先生が新しいアトリエの住所とかを 自分へ電話で連絡してきました ・・で、先生が 用件がすんだあとに言ったんですよね 「実はあの絵、わかったかも知れない」って。 で、次のことを話しだしました・・・ 先生がアトリエの引っ越し準備をしてたときのことです。 基本住んでたわけじゃないので 使ってなかった場所もたくさんあったのですが、 その中のひとつに押し入れがあったんですってね。 そこをあけたら 中は空だったんですが壁に大きく 子どもの落書きがかいてあったそうです。 おそらくこの家に住んでた 字から判断するに 家族の中の小学生低学年くらいの子でしょう、 引っ越す時に 落書きをしていったようなんです。 「昭和◯年◯月◯日 わすれない」って書いてあったそうです。 引っ越してもここでの生活を 忘れないよって意味でしょう。 微笑ましいような気もしますが。 でも鈴木先生の目は その文字ではなくって その文字といっしょにかかれた絵に 釘づけになっていたそうです。 その文字の横には 文字を書いたのと同じ子がかいたらしい 例の額縁の絵と まったく同じ絵がかいてあったそうです。 子どもがかいた落書きだから 頭が大きくて体や手足が棒みたいな マンガの登場人物みたいな不自然な形だったんですね。 その落書きが なぜ鈴木先生の夢に出て来たのか そしてそれをかいた額縁の絵がなぜ 落ちて転がって来たのかは 先生にも自分にも たぶん誰にもわからないんですけどね。