こんにーちわ。

 
 
暑さのせいか湿度のせいか、腹壊しっぱなしのとりにとろです。
 






ねじ花の季節ももう終わってしまいましたね。初夏の花としてはアジサイよりも好きです。

(別に機械のネジを想起させるからでは無い)
 
 
 



 
さーて、今回ご紹介いたしますのはちょっと珍し目のモデルガン。
 

 
WA製!セキュリティシックスです。


 
 
いまはもう生産していない銃ですし、とにかく各パーツの耐久性が低く多様な故障を魅せる銃として有名な銃なので、現在市場にはあまり出回っていないリボルバーです。
 
 
 
今回のこの個体は、幸運にも今のところジャンクになってしまうような故障や破損はしておらず、依頼内容は故障の予防をして欲しい、というものでした。
 
 
 
 
 
んで、対策を頼まれたパーツはこちら。
 
 
 
エジェクターです。
 
 
 
このエジェクターはいくつか破損要因がありまして、
 
 
 
 
まず上の写真のエジェクターガイド(エジェクターがくるくる回ってしまわないようにするパーツ)に固着してしまい、エジェクターが動かなくなってしまう、という問題です。
 
 
 
固着しても射撃動作には問題は出ません。
ただ、エジェクターを使った薬莢排出は出来なくなりますし、修理しようにもシリンダーを分解するにはこのエジェクターガイドを取り外す必要があり、エジェクターが固着すると分解出来ず、修理不能になってしまいます。
 
 
固着する理由は、このエジェクターとガイドの材質が亜鉛ダイキャストである為、割と簡単に錆びて膨らんでしまい、エジェクターとガイドの隙間が無くなって固まってしまう、というものです。

 

 
 
 
 
と言うわけで、対策は単純。
 
材質を変えるか、隙間をもっと広くして固着しないようにします。
 
 
 
後者は簡単ではあるのですが、あんまりエジェクターがゆるゆるだと出来の悪いモデルガンの様になってしまい面白く無いので、前者に挑戦します。
 
 
 
 
 
また、後者ではもう一つの問題を解決出来ない、という理由もあります。
 
 
 
 
そのもう一つの問題、というのも至極単純な話。
 

 
 
亜鉛ダイキャストなんて脆い材料でクレーンバレルとエジェクターを繋ぐネジなんて作ってしまっているので、このネジ部分が折れてしまうのです。

(見にくいですが、上の写真の筒の中にネジが切ってあるのが見えます)
 

 
 
幸いこの個体はまだ完全に折れてはいませんが、端っこがかなり欠けてきています。
 
 
 
また、エジェクターの頭の部分が折れて外れてしまう、というのもちょくちょく聞くので、強度不足なのは間違い無さそうです。
 
 
 
 
真鍮で作り直しましょう。
 
 
 
 
 
 
まずは採寸してcadデータを作ります。
 
 
 
エジェクターの軸は旋盤とフライス盤で削り出して、ヘッドの部分はcncフライスで削り出す事にしました。
 
 
 
 
 
 
 
 
さて、ここで早速問題発生。
 
 
 
先程強度不足で欠ける、と言ったエジェクターとクレーンバレルを繋ぐネジですが、ネジの種類が特殊すぎてタップが売られていませんでした。
(´・ω・`)
 
 
 
 
M4.5×0.5の左ネジ…
 
 
一応メートル細目ネジの規格上は存在するはずなのですが、あまりにもマイナー過ぎて業者さんに問い合わせても"在庫なし"との事でした。
 
 
 
 
 
 
…流石にタップ作るのはちょっと面倒…
 
 
 
 
なので、ネジ径を変える事で対応します。
 
 

 
 
M4×0.5の左なら売っていたので、購入
 
 
 
このタップで、作った軸にM4×0.5の雌ネジを作製。
 
旋盤で、クレーンバレル側の雄ネジも削ってM4.5からM4にします。
 
 

 
 
 
これで、エジェクターの軸は完成です
 
 
 
 
 
 
 
さて、お次はエジェクターヘッドとエジェクターガイドを作ります。
 
↑切削シミュレーションの様子
 
 
 
後日改めてcncフライスタグで紹介するつもりですが、今回からcadから直接NCデータを書き出せるようになったので、超簡単に2.5軸フライスで立体形状の切削ができるようになりました。
 
 
 
 
これで、ささっとヘッドとガイドを削り出します。
 
 
 
 

 
これで部品は揃いました。
 
 
 

 
作った軸とガイドもぴったりです。
 
 
 
 
あとはヘッドを軸に圧入…するんですが
その前にヘッドの微調整が必要です。
 
 
 
エジェクターは薬莢の排出だけでなく、ハンドと噛み合ってシリンダーを回す、という大事な仕事もありますので、安定した動作の為に細かい調整が必須となります。
 
 

 
 
あまりリボルバーの調整に普段から慣れていない事もあり、躓きつつも調整完了。
 
 
 
 
また、ついでに根元の折れやすいハンドも合わせてアルミ製で作り直してあります。
 
 

 
軸とハンド本体を別に作って、圧入で軸をはめ込んで作製。
 
 
 
 
 
これで必要なパーツは全て揃いました!
 
あとは塗装だけ。
 
 
 
 
軸は摺動性重視で塗らず、ヘッドのみ塗装。
 
 
 
 
 
塗装も終わったら、組み立てて…
 
 
 
 
 

 
 
 
完成!
 
 
 
 
 
 
 
今回は結構たくさんパーツを作りましたが、意外と時間はそれ程は掛かりませんでした。
 
 
とはいえウチの貧弱なcncフライスさんでは1パーツ作るのに1〜2時間はかかってしまいますが…
 
 
 
まあ、練習重ねてもっと精密な部品をより短時間で作れるよう、勉強していくことにします。
 
 
 
 
多分次回か、その次辺りでcad付属のcamを使ったNCデータの作り方と、そのメリットについてお話しします。
 
 
 
 
 
いや、ホント便利なのでびっくりしました。
 
 
 
今回も実はいくつかのパーツは試作してから、修正点を探し、正式パーツを作る、という手順で作っているのですが、cad 付属のcamを使う事でその作業を大幅に短縮する事が出来ました。
 
 
 
今後、より複雑なパーツを削る練習もしていきます。
 
 
 
 
 
 
さて、だいぶ本筋から外れてしまいましたが、今回はここまで。
 
 
 
 
 
今回もご覧頂き有難うございました〜
 
 
ではまた
ヾ(@^▽^@)ノ