はじめに以下の文章は ペットバードレポート誌に掲載された
記事を著者の許可を得て再投稿したものです。
2000年の記事なので、内容が現状に合わない箇所もあるかも
しれませんが、何とぞご了承願います。

(クルマサカオウム@NPO法人TSUBASA)
Touched by an Angel
(天使がくれた感動)
Sam Foster(サム・フォスター)
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ある夕べのこと、夫と私が台所で夕食の支度をしていて、
インカは居間で遊んでいました。インカからは私たちの
姿を見ることは出来ましたが、充分に近い距離ではない
と感じたのだと思います。階段を3段よじのぼり、私た
ちが立っている場所までわざわざ歩いてきました。
私は彼女を見て言いました。「インカ、今は抱き上げて
あげられないの、私は両手が汚れているから。パパはス
トーブでお料理しているし。」彼女の顔にうかんだ当惑
の表情を、私は決して忘れないでしょう。そして彼女は
戸棚の隅のところまでずっと歩いてゆき、顔を戸におし
つけたまま立っていました。まるで学校で「隅で立って
いなさい」と命じられた子供のように。
数分たつと、彼女は片足を持ち上げて、両目を閉じまし
た。この時から、私たち二人が台所にいるときに注意を
引きたくなると、いつでもこういった事をしたのでした。
就寝時間は午後7時ぴったりで、インカは夏でも冬でも
時間どおりに寝ました。これは彼女が決めたことです。
いつも6時ごろに私たちと一緒に夕食をとり、6時半ま
でにはソファーで夫か私に抱かれながらくちばしをゴリ
ゴリこすり始めました。
無礼にも誰かが何かの理由で時計を気にしていないと、
きっかり午後7時に、彼女は6つの階段を上がって寝室
のほうに歩いて行くのでした。寝室のドア近くの床のう
えに立って待ち、私たちのどちらかが彼女を抱き上げて
怠慢な両親であることを存分にお詫びして、無事に寝場
所に入れてもらうのでした。
インカが私たちのところにくる前に、私たちはオースト
ラリアのオウムを既に5年間育ててきましたが、オウム
が有する賢さと感情の深さ、そしてヒトを受容すること
について、ずっと驚嘆させられてきました。今でも驚嘆
しつづけています。
インカは私たちにとって新しい1小節であり、希有で特
別な生きものとの交流についてその重要性というよりむ
しろ必要性を彼女が肯定的に教えてくれました。私たち
が新しい挑戦を受入れ、生き方と心を新しい経験にオー
プンにすれば... そうすれば天使が感動を与えてくれるか
もしれません。
(おわり)
(TSUBASA初公開:2000年)
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