天使がくれた感動(4) | とり村便り

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埼玉県新座市にある「とり村」の、コンパニオンバードと長く、楽しく暮らすためのお手伝い情報や
おススメ商品・素敵な鳥さんグッズの情報バードラン・イベント情報などの発信ブログです。

こんにちは!! 鳥爺です。

はじめに以下の文章は ペットバードレポート誌に掲載された
記事を著者の許可を得て再投稿したものです。
2000年の記事なので、内容が現状に合わない箇所もあるかも
しれませんが、何とぞご了承願います。

$とり村便り
(クルマサカオウム@NPO法人TSUBASA)

Touched by an Angel
(天使がくれた感動)

Sam Foster(サム・フォスター)

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彼女の小さな身体は長旅でうけたストレスで弱っているうえ大量
に出血してしまい、とても重篤な状態であることは解っていまし
た。私は静かに祈りつつ、もしインカが助かるなら決して手放す
まいと思いました。


長くて永遠に続くのではないかと思われた時間が過ぎ、電話が1
時間半後に鳴りました。医者は骨折箇所に金属のピンを設置して
傷口を縫合したと教えてくれました。彼女はとても弱っているけ
れども、もし朝まで持ちこたえたら、完全に治る可能性があると
言われました。

私たちは翌日の午前8時ちょうどに病院に戻り、手術室に通され
ました。インカは、ヒートランプの隣に置かれた小さなケージの
隅にある止まり木にとまっていました。なんて可哀相な光景でし
ょう。

輸送用の小さなケージに押し込まれていたせいで彼女は汚れてい
て、前夜の傷のせいで羽毛には血液の染みがあり、その顔には
「次は何が起こるの?」という表情が浮かんでいました。


獣医は翼のX線写真を示して、複雑骨折した箇所は翼の付け根付
近であり身体本体の内側に近い箇所だったことを知り、私たちは
とても驚きました。

ケージに引っかかったときに怪我をしたのではないかと考えまし
たが、私たちが見たかぎりは翼をひねってしまった様子は無かっ
たですし、すぐに外してあげることが出来ましたから、それは疑
わしいと思いました。

他に考えられる原因は2つしかなく、輸送当日の早朝に捕まえら
れて箱に入れられた際に怪我をしたか、移動中の小さい箱の中で
怪我をしたかでした。しかし原因は解かりようがありません。


この怯えているクルマサカのヒナをタオル地で中張りしたダンボ
ール箱に入れて、一緒に車で帰路につきました。インカを箱に入
れたままにし、その日はずっと眠っていました。

午後四時に獣医から渡された抗生物質剤の注射をし、スプーンを
つかってフォーミュラを少し食べさせることが出来ました。彼女
がとても弱って無力に見えて、彼女を抱きながら静かに泣きまし
た。助かってくれるかしらと思いながら。


その答えは、翌日の夜明けに解りました。私達は目覚め、インカ
も目をぱっちりと開けて目覚めているのが解りました。

もう一度、フォーミュラを少し食べさせて、発芽させたシードを
与えてみました。午前中それをつついていましたが、まだ疲れて
いる様子だったので、箱の一部を覆ったままにして引続き休める
ようにしておきました。

昼間になり箱に近づいてインカの様子を見ようとしたら、突然、
驚くことがありました。私は飛び上がり、夫に向かって叫びだ
しました。

「彼女が噛んだわ!   強く噛んだわ!」

(つづく)