やきとり職人として | 虜

Dreamer

僕が店にいることを知り、来てくださるお客様がいる。

逆に、僕がいないと来てくださらないということでもある。

電話をかけてきて

僕がいないとわかると「またにします」と

露骨に言われることもあるらしい。

(その時僕はいないからそういう電話を受けたことがない)

お客様は口をそろえてこう言ってくださる。

「店長が焼くとやっぱり味が違う」

 

僕には師匠がいない。

独学でやきとりを学んだが

それをハンデにしたくなくて習得に必死だった。

散々屈辱を味わってきたけど、

美味しい鶏肉を仕入れさせてくださる業者様に報いるために、

また、

希少な土佐備長炭を

安定して仕入れさせてくださる業者様に報いるために、

一流のやきとり職人になると決めてやってきた。

その「気持ち」が僕を動かしてくれた。

だから僕は気持ちを大切に生きている。

 

やがて

僕は僕なりの方法で素材の旨みを引き出せるようになった。

その日の鶏肉の状態によって

また

その日使用する炭の状態によって

火入れの方法を変える。

そんなことが出来るようになったのもつい最近のこと。

でも

「これでいい」と思ってはいなくて

さらに腕を上げることを考えて毎日焼き場に立つ。

そうすることでもっとお客様に喜んでもらえると思うし

何よりモチベーションが上がる。

 

ニコニコと焼いているように見えて

手元は真剣。

日々挑戦を続けている。

 

はっきり言う。

火入れ(焼き)では誰にも負けない自信がある。

 

「鶏小幸のとりは美味しい」と言ってもらえることも嬉しいけど

「鶏小幸の焼き加減が最高」と

火入れの技術を楽しみに来てくださるお客様が増えたら

もっと嬉しい。

 

相手がお子様だろうが僕は手を抜かない。

 

注文時に焼き加減も注文する人がいるけど

まずは黙って僕の火入れを味わってからにしてもらいたい。

 

今日も上を目指して焼き場に立つ。

 

おおきに。