女海賊【アン・ボニー(Anne Bonny)】
キャラコ・ジャックことジャック・ラカムの恋人、女海賊アン・ボニーの出生については、海賊につい
ての最古に近い貴重な文献、「イギリス海賊史」チャールズ・ジョンソン船長著(別名ダニエル・デフォ
ー)の中に,詳細なストーリーがあるが、当のアン・ボニーが当時、ポートロイヤルの刑務所から失踪し
ているので、関係者の話で組み立てているらしいのですが、歴史家ダニエル・デフォーのフィクションが
含まれているという、うわさなので、まあまあの所で理解という事ですか。ゴシップはいつの時代にも、
尾ひれが付き易い。
アンは、イギリスの裕福な弁護士の私生児として生まれたらしい。アン・ボニーについては、女海賊だ
ったという事で、「あばずれ」の烙印がつきまとっている。弁護士が妻に出生を隠す為、アンには男の格
好をさせたがったらしい。女中との情事が妻にばれて、弁護士は別居、アンと女中をつれ北米へ旅立つ。
アン・ボニーは男の子のような格好をさせてたせいか、気性が激しく、男勝りで、美しいががっちりし
た体格の女の子だったそうだ。
父親は、やがてキャロライナで農園経営で成功して、裕福な土地の名士となる。アンには、良家の師弟
との縁談を薦め、幸福を願うが、アン・ボニーはとんでもないお転婆で、海に憧れ、港町で海賊をやめた
名も無い水夫と結婚する。(ちょっとここは、エリザベスのシチュエイションと似てますね。)
父は激怒、娘を勘当する。二人は、お金が乏しく、やがて美しいニュー・プロビデンス島(バハマ、ナ
ッソー)に移って、飲み屋を経営する。
アンはまだ若く奔放な、気性の激しい女性だったらしい。そこで、アンは運命の人、美男の海賊船長、
ジャック・ラカムと出会う。二人は激しい恋に落ち、離婚を許されないアンは、恋人ラカムと駆け落ちし
て、自ら憧れの海賊船に乗り込み、女海賊となる。伊達男ラカム船長は、ついに船だけでなく女性も掻っ
攫ってしまったのだ。
二人は海賊船の上で、さぞかし「甘~い」蜜月を楽しんだ事だろう。
(詳しい内容については、「ジャック・ラカム」のページを参照にして下さい。)
最終的には皆捕まって、最愛の恋人ラカム船長も悲しいかな、絞首台の露と消える運命が待っていたの
だが、乗組員の証言では、アン・ボニーはいつも男の服を着て、男と同じように戦い、働いたという。
彼女はマストにも登るし、カトラスで男以上に勇敢に戦った。もう一人の女海賊メアリー・リードも腕
っ節がそうとう強く、二人はいつもいっしょに戦ったという。
ドレスを脱いだ二人の女海賊の存在に、当時の人々はぶったまげたそうである。
このアン・ボニーは、特に「あばずれ」だの何だの不評が多いが、裕福な家の出身で、ワガママなお嬢
様だったのだろうか?言葉も海賊仲間と同じくらい乱暴だったとか・・恋人ラカムの最後にも、「男らし
く戦わないから・・」なんて捨て台詞。それも、本人が牢獄から誰かの助け(裕福な父親)で忽然と消え
たので、本当の所は解らない。当時はなんせ、男の格好をしてるだけで、「あばずれ」と言われた時代だ
し。事実は歴史の闇の中という訳です。
海賊達はお尋ね者だったので、素性を隠している人が多いし、名前も偽名が多いという。アンとか、メ
アリーにしろ、どこでもいる名前だ。
アン・ボニーが唯のアバスレか、お転婆娘かもう知る良しもない事だが、彼女が新しい時代の先駆者的
考えの持ち主で、いつもドレスを着て着飾った人形のような生き方を捨て、女性も男性に混じって、男性
のように仕事をしたいという、新しい時代の幕開けの最初の人となったのかも知れない。
とにかく、アン・ボニーもメアリー・リードも、又常識に囚われず女性を船に乗せたシャレ男ジャッ
ク・ラカム船長も時代先取りの精神も持ち主だとも言えるかもしれませんね。
たかが海賊されど海賊、新しい時代の裂け目で、現れた身分を越えて成功を目指した人達は、けしてク
ズな盗賊だけの者じゃなかったなあと、私は勝手に思っていますのですよ。