この街は明確に棲み分けがされている。

 森や山は妖怪などの魑魅魍魎の世界。太古からの理に住まう者が居付き、ドライアドなど植物系は不要な枝や害虫駆除、ゴミ掃除や害のある植物の撤去、病気治療を引き換えに山のものを人里に下ろさず、外来のものの訪問や新入を伝えて共生している。

 人里のは知性ある人間以外の種族と人間の区域、中間区域に別れて暮らしていた。

 幼鳥の住処はまだここが集落だった時からこの山の異界の中である。

 人間の童話におむすびころりんや雀のお宿などがある様、世界は意外と異界への境界が軽率に溢れており、鳥の住み着いた領域もそう言った場所である。

 とは言っても規模は狭く、例えるなら人間の学校の校庭ぐらいだろうか。

 真ん中に昔話に出てきそうな家、外には井戸と畑、その周りはひたすら森。

 家の中には集めた宝物が綺麗にコレクションあるが、畑は野菜や野草、花々が気まぐれに植えられては忘れられ、ワイルドに入り乱れて育ってるので、道がある草原と言えなくもない。

「うん、大根が食べれそうだ」

 どてかぼちゃ並にワイルド育ちの野菜を収穫する。

 ハーブは虫除けになったり、野菜の成長を助けることもあるので、この謎バランスの畑は必要最低限しかいじらないことにしている。

 少なくなった薬草をついでに積みかけて、手を止めた。

ーーそうか、これが効くものはもう居ないのか。

 効能のある種族がまた知り合いから居なくなった事実への感傷ごと視界から薬草を消すと、これはあの子が好きだったな、と別の野草に手を伸ばす。

 人間がアルバムで繋がりを振り返るなら、この庭の植物が鳥にとっては思い出のアルバムのようなものなのだろう。

「さて、取りすぎてしまった。今日は岩紅月荘の奴らに振舞って、一部を持ち帰って夕飯に回すぞ」

「はーい!」

 ちゃっかりたべたかったのか、かぼちゃを掲げて返事をする劣に苦笑いして、異界の外を目指した。