それは小さい時分から言い聞かされていたこと。
「湖だけは入っては行けないよ。足が溶けて無くなってしまうからね」
「ええー、しっぽは?!」
「残るよ」
「なんでー?!」
魚系人の一族は特定の水場の出入りを禁止される。
うちの一族は湖だった。
「お風呂は入れるし、どうせならしっぽが無くなればいいのに……ほんとになくなるのかなぁ?」
歩行できる足があるのについてる立派な尾は邪魔でしかなく、海やプールも強制的に泳ぐ筋肉が衰えないようにと行かされる。
泳ぐとなると今度は人間の足が邪魔になるけれど、どちらが無くすなら?と問われれば断然魚の尾だと答えたい。
足のない魚形人外たちもせかいにはいるが、地上の猿系人がつくる娯楽は耐水防水は自分たちの生活防水が基本で、余程売れる自信が無いと他種族展開してくれないので、魚系人としてうまれられたならもうさっさと退化するなら魚の部位であれ! と願うのは若者の常である。
「校外学習お前どっち?」
俗に言う臨海学校、林間学校の季節。学生たちは種族のタブーに沿わないコースへ旅行にでるか、こっそりタブーを押して怖いもの見たさに自分の種族の禁足地を思い出に見納めに行くか(その場合危険なので先生の監視は着く)を選べるのだ。
「海って熱すぎて痛いから山で本でも読むよ。湖行けないし。」
「どっちみち泳がないのか」
「淡水魚系人に海水はキツくてさー」
「それもそうか。」
なんのことは無い学校行事のはずだった。
「見つけた!私の運命のひと!」
過保護だなぁ、なんて思いながら先生と手を繋いで橋の真ん中を歩いていたはずなのに、湖から飛び出してきた女の子に抱きつかれて湖へ吹っ飛んで落ちていく。
バシャン、と聞こえたのは湖に落下した音のはずなのに……目の前で溶けてきえるように無くなった足からその音はしたような気がした
