私には3歳年下の弟(大五郎)がいる。

真面目で融通の効かない頑固な性格の私(姉)と違い、母から溺愛された弟は自己中心的でワガママ、それでいて芯がなく臆病、良く言えば柔軟、悪く言えば軟弱な性格をしている。

性格だけではなく容姿も私は父方、弟は母方に似ているものだから(どこにでもいる名字ということもあり)姉弟と言わなければ周囲から気付かれることはほとんどなかった。

子どもの頃は背が低く痩せていて臆病だった弟が中学生になり突然、身長が伸び始め178cmになり、身体だけでなく態度までデカくなった。ちなみに私の身長は156cm、弟から見下ろされるというのは慣れるまでは奇妙な感じがしたものだ。

その弟が家から数キロ離れた高校に入学した時、自転車通学をするからと母は弟に高価な自転車を買い与えた。ところが弟は、入学からわずか2週間で「やっぱり電車で通学したい」と言い出した。

電車を使うほどの距離ではないこと、高価な自転車を買い与えたばかりということもあって、母は弟に「何故、電車通学がしたいのか?」としつこく問い質した。最初は「坂が多くて疲れるから」(※横浜は坂が多い)「友達が電車通学しているから」等と言葉を濁していた弟だったが、母から「体力がつくから頑張って自転車通学しなさい」と一蹴され、とうとう本音(?)を吐き出した。

「駅の階段を上っている女子高生のパンツが見たいから、電車通学がしたいんだよ!」と。

もしかして弟は馬鹿なのか?と呆れ返った私だったが、それに対する母の答えは斜め上を行くものだった。

「交通費がモッタイナイでしょ!そんなに若い女の子のパンツが見たいのなら、現役短大生のお姉ちゃんのパンツを見せてもらいなさい!さぁ、S子!アンタはお姉ちゃんなんだから、スカートをまくって弟にパンツを見せてあげなさい!」と。

そう言って母は私に、スカートを捲って弟に下着を見せるように強要した。母は時々、こういうトンデモナイことを言い出すから嫌いなのだ。すると弟は即座にこう言った。

「モロ見せは嫌、パンチラが良いんだ!男はチラリズムに興奮するんだよ!そもそも、姉さんのパンツで興奮しろっていうのが無理!オレはデブスでも他の女の子のパンツが見たいんだ!」

「S子は色気ゼロだもんね、お母さんわかるわ〜www大ちゃんもそういうお年頃なのね。そういうことならお金をあげるから、これで定期券を買ってきなさい。」

こうして弟は電車通学をすることになったのだが、しばらくの間、私が超不機嫌だったのは言うまでもない...。