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トリジローのTHE BEATLES全曲解説 & My Best Ranking

THE BEATLESファン歴は、約半世紀にて、また、研究し続けて、早40年の、トリジローと申します。

まだ、誰も成し得ていない、全213曲+のランキングと解説を、同時に、そして独自に掲載していきます。

これぞ、究極のTHE BEATLES解説にも挑みます。

★141位

【I'm A Loser】

<BEATLES FOR SALE>1964.12/4=2:30=

 

アルバム「Beatles For Sale」2曲目で、2曲続けてイントロなしのジョンの渋い声からスタートする楽曲。

しかも、いきなり“僕は負け犬さ”である。

 

BEATLES…というか、ジョン自身が認めるように、ボブ・ディランの影響を反映した最初の楽曲である。

翌年のフォークロックの流行に向けて、フォークとロックを少しずつ近づけていった流れを作った曲かも知れない。

ただ、楽曲自体は、さほどディランの影響は見受けられない。

内省的な歌詞の最初とも言える曲で、ジョンは、“僕の中の一部は自分が負け犬だと思っている。でも他の一部では、全能の神だと思っているんだ”、と発言があるように、この曲への思い入れが感じられる。

ちなみに、この曲がレコーディングされた1964年8月14日の時には、まだジョンとボブ・ディランは出会っていない。BEATLESとディランが出会うのは、レコーディングから2週間後の8月28日の事である。

 

録音は、1964年8月14日に行なわれ、同日には“Mr.Monnlight”や“Leave My Kitten Alone”(アウトテイク)」も録音された。

8テイクでレコーディングがは完了した。

(ちなみに、この録音から約2週間後に、ジョンはディランと初対面している)

 

1回のテイクでVoとリズムギターをレコーディングし、後からハーモニカをオーバーダブしている。

生演奏でジョンは、ハーモニカ・ホルダーを首にかけ、J-160Eを演奏しながら歌ったのだが、この曲を唯一に、それ以降はないので貴重な曲でもあります。

新たなキーボード(後のシンセも)の登場や、メンバー以外の演奏もあったりとしたことが、その理由でしょう。

 

ジョンは、初の12弦アコースティックギターを弾いている。

コードは、G→Dsus4→Fadd9と進む。つまり、全部、Gの音を押さえている。

ジョージのギターは、テンションコードを上手く使った弾き方だ。何か好きだなぁ、癖になる。

ポールのベースは、4ビートで、ちょっと跳ねるような弾き方をしているのだが、これがなんとも聴いていて心地よい響きである。

ポールは時折、意表を突くような感じで4ビートを奏でるが、この曲もそのセンスの良さがキラリと光っている。

 

ポールは後年、この曲について、”ジョンは、僕は負け犬だなんて、当時にしては勇気がいるよね“と語っている。

 

内面を晒すジョン、でも、カッコいい!

 

 

 

 

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★142位

【Cry Baby Cry】

<THE BEATLES>1968.11/22=3:01=

 

少し暗い感じの独特の雰囲気のある曲で、ジョンらしい曲でもある。

 

ジョージ・マーティンも参加して、とてもまとまりのある演奏になっているが、レコーディングは険悪なムードになり、メンバー同士の喧嘩もあったようなのだ。

おまけに、エンジニア達にも傲慢さが向けられ、ジェフ・エメリックが嫌気がさしてしまい、スタジオを出ていってしまった。

エメリックはその後半年間、BEATLESとの仕事を拒否したのである。

そういう思い出があるせいか、ジョンはこの曲を“くだらない曲だ”と後に語っている。

発言はジョンらしいなとは思うのだが、楽曲は充分に素晴らしい曲なのである。

 

キーは、G。

コード進行は、BEATLESお得意のクリシェが印象的だ。

ピアノもジョンが弾いている。

しかし、もう1台聞こえるピアノは恐らくポールだと思う。

途中から入るポールのベースの入り方は、そう来るかというくらい尋常ではない。

そこからは、ピアノと呼応するかのようなクリシェの下降コードで、しかも、同じ繰り返しのない見事なベースプレイである。

リンゴの、ハイハットからのタム~シンバル打ちがめちゃくちゃ心地良い!

アコーステックなサウンドと言うこともあるが、リンゴのDrサウンドが強調されているような音作りで、ブラシでのプレイもオーバーダブしていると思われる。

 

そして、ラスト30秒に、何故か、ポールの声で、ポールの曲で、しかも、“I Will”のレコーディング中に、アドリブで録音しておいた曲(Can You Take Me Back)を繋げたのだ。

BEATLESは良くこういう手法を取ってはいるが、この繋ぎは余りの意味のなさに不自然さを感じるのである。

そもそも、さすがにこれは、この演奏も素晴らしい曲を作ったジョン自身が認める訳のなさそうな繋ぎなのだから。

しかし、これには理由があるのだと思う。

この頃、メンバー同士の結び付きも、活動もバラバラになりつつあった彼等が、このWhite Albumをレコーディングし、最終的に2枚組で、選曲も曲順もマーティンとジョンとポールで、24時間かけて決めているのだ。

どういうことかと言うと、この曲の次の曲が、かの問題作“Revolutin9”なのである。

彼等は、この曲とRevolition9の間に、ワンクッション欲しかったのだと思う。

だから、敢えて、ジョンも納得の上で(またはレコーディングの嫌気さで放棄したか?)、ポールのアドリブ曲の一部を繋ぎ合わせたのだと、個人的には思う。

 

 

 

 

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★143位

【Lovely Rita】

<SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND>1967.6/1=2:42=

 

アルバム「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」のA面のサイケデリックな空気を、B面の3曲目から再び再開する曲調である。

元の曲は、恐らくポールがサラッと書いてしまったかのようなメロディである。

しかし、サウンドは非常に凝っていて、というより、真剣に作ったお遊び感というものが前面に出ていて、不思議な音像となって完成に至っていると思う。

創作意欲が有り余って仕方なかった頃のポールの勢いを感じる。

 

歌詞は、元は、ポールかまたは友人が婦人警官に駐車違反で捕まった腹いせから浮かんだ歌詞とも言われているが真意は分からない。

ただ、ポールと言う人の特徴でもあるのだが、それが変化して、駐車違反で捕まった際の婦人警官に惚れてしまう男の話になってしまう。

そういう物語風にしてしまうのがポールの作詞の大きな特徴の1つで、それは現在に至るまで変わらない。

そう、第三者の目で歌詞を書くことも多いのだ。

そこが、ジョンとは決定的に違う部分で、ジョンはこういう歌詞はほぼ書かない。1人称…自分の主観の歌詞がほとんどなのである。

こういう物語風のポールの書く歌詞をジョンは余り好まなかったけれど、2人は実に多くの曲で、曲だけでなく歌詞も共作しているのだから実に面白い。

ちなみに、“Metar Maid”という言葉は、アメリカでは“駐車違反を取り締まる婦人警官”という意味である。英国人のポールはそれを早速、歌詞にしたのである。

 

上記で、サウンドは凝っていると言ったが、ジョージ・マーティンの弾くホンキートンク調のピアノや、ジョンとジョージの印象的過ぎるコーラスとエンディングのサイケなコーラス。

ほぼ8分弾きであるポールのランニングベースは素晴らしい。この人の天才的な作曲センスは間違いなくベースラインにも表れている。この曲のベースはほとんど語られることはないが必聴である。

そして、見落とされがちなのだが、ポールは、マーティンの他に、実はバッキングでピアノも弾いている。

更に、あの余りに印象的なイントロで聞かれるスキャットは、ずっとジョンの声だと思っていたが、これも実はポールなのである。よ~く聴くと分かる。

 

この曲の一番の聞きどころは、2コーラスの途中から4分音符で入るバックコーラスである。これが非常に美しい。

また、上でも書いた間奏のホンキートンク調のピアノソロは良く楽曲調和している。それとは対照的なのがエンディングで、逆に敢えて調和を壊すような奇妙なアレンジになっている。

そこが面白いと思うし、「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」というアルバムを象徴していると思うのである。

 

ジョンとジョージは、J-160Eを弾いているが、イントロの最期の部分以外は、ほぼ同じコードストロークである。

 

ジョンは、この曲を、

“いかにもポールらしいPop Songだね。彼は小説を書くみたいな感じで歌詞を書くんだよ。僕は秘書や交通婦警のことなんか何も知りはしないよ。自分のことしか書きたくないね”

と、いつもの調子で、この曲を論評している。

 

 

 

 

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★144位

【Dig A Pony】

<LET IT BE>1970.5/8=3:53=

 

ジョンの単独作。

3拍子の曲である。

 

諸説あったが、ルーフトップのライブの音源である。

それにしても、ライブの1発なのにも拘らず演奏が素晴らしい!

心が離れつつあった彼等のこの時期にしては、演奏の一体感も凄く感じられる。

 

元は、ジョンが、ヨーコへの愛を歌った曲だが、そんな曲でも、ポールは見事なデュエットを見せている。

 

プロデューサーのフィル・スペクターは、出だしとラストのコーラスをカットした。

“All I Want Is You”もである。ジョンが1番言いかった歌詞なのではなかったろうか?

『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』に収録された本作の初期のスタジオテイクは、ポールが“All I want is...”と歌った後に、最初のヴァースに入る。

 

リンゴが片手に煙草、片手にドラムスティックを持ち、演奏の準備が出来ていなかったため、他のバンドメンバーに「Hold it!(ちょっと待って!)」と叫ぶところから始まる。

音源では、リンゴが叫んだ後に、ジョンの鼻をかむ音が聞こえる。ジョンらしい(笑)。

 

イントロとラストで聴かれるギターとベースのユニゾンで弾くリフ…というかフレーズは、圧倒的にカッコイイ!

一発ライブで、この寸分狂わぬ、このフレーズの演奏にも驚かされるが、彼等のバンドとしての身に付いている演奏力というものを感じさせる。

 

サビ後の”Because~“の後のリンゴのフィルインが心地良い。決して難しいフレーズでもないのだが、絶妙な間が良いんですよね。リンゴのセンス!

 

キーはメジャーAで、Gbを上手に使ったセンスも素晴らしい。

 

ジョン自身は、後年、この曲を”どうしようもない曲だ“や“ゴミ箱行きのクズ”と言っておりますが、何故だろう?やはり歌詞だろうか。演奏も曲もとても良いのにと思う。

まあ、ジョンという人は、ポールの曲も思い切りけなすけれど、自らの曲もこういう言い方をするので、まあ、そこがジョンらしいんですが。

 

この曲も、爆笑の逸話がある。

例のルーフトップコンサートは、寒かっただけでなく、風も強い日だった。

そこで、マイクに女性用のストッキングを被せることになった。そこで、後に、エンジニアで名を馳せるだけでなく、大物ミュージシャンともなるアラン・パーソンズ(当時は、BEATLESのアシスタント・エンジニアだった)が、ストッキングを買いに行かされた。

店員に、サイズは何にしますか?と聞かれたアラン、何でも良いんだと答えたら、店員に変な目で見られたという話である。

後に、メインエンジニアでPINK FLOYDの「狂気」のサウンドを作り、自らのバンド(プロジェクト)で”Eye In The Sky“などの大ヒットを放つアランの若き日の微笑ましい逸話なのだ。

 

 

 

 

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★145位

【If I Needed Someone(恋をするなら)】

<RUBBER SOUL>1965.12/3=2:21=

 

1966年の日本公演でも披露した、お馴染みのジョージの曲。

実は、ライブで自作曲をジョージが歌うのは、これが最初だったことは意外と知られていない。

(しかも、日本公演では、初日だけ何故か、半音下げで披露しているのだ)

そういう経緯があるのか?1991年の来日公演でも、ジョージはこの曲を披露している。

 

イントロは裏拍から入る、ジョージの特徴的な出だしだ。

全体的にも、裏のリズムを感じさせる曲でもある。

裏からの入りリズムだと、人間じは突っ込み気味のリズムに聞こえるのだが、Aメロ2回めからの3部コーラスが重厚な感じを出していて、走り気味に聞こえる(あくまで聞こえる、であるが)ビートに適度なブレーキ効果をもたらしているようなバランス感覚を感じるのです。

 

何といっても、ジョージの12弦ギターの響きが耳に残る。

ああ、ジョージだなあという気持ちにさせてくれますね。

 

曲自体も、憂鬱な雰囲気を持つRUBBER SOULというアルバムの中で、1番POPさを感じさせる曲調でもある。

それが、ポールでもジョンでもなく、ジョージの曲というのも面白い。

 

コーラスが、この曲の特徴的な印象を持っていると思うが、実はシンプルで、3声の美しいコーラスワークのみである。

ポールのベースは、1つの特徴的なフレーズを繰り返すのだが、これがなかなか癖になる。

後期のポールは、自分の曲以外だと激しく暴れまくる頻度が高くなるが、特にジョージの曲は特に自由度が増す。ここでは、その原型みたいなものも感じますね。

もう1つ。ポールのベースは、ベースの5フレットにカポを付けていたという説がある。実際、Aの低音がずっと鳴りながら、他のフレーズを弾いてるのだ。ダブルトラッキング出来る時代ではまだないので、実際、この曲かどうかの確証はないが、アルバム「RUBBER SOUL」時に、5カポを付けたままベースを抱えるポールの写真が残っているのである。

 

個人的な想像だが、ジョージは、ライブを念頭に置いて、この曲を書いたのではないかと思う(I Need Youの再現は難しそうだし)。

シングル曲にはならないので、The Holliesに提供し、シングルとして発表するが(演奏がイマイチで)20位止まり。ライブ披露は、それもあったのかも知れない。

 

面白い話がある。

ポールは良く、BEACH BOYSのブライアン・ウィルソンと影響し合い、片やが何か曲やアルバムを作ると影響され、次の独自のサウンドを作っていたりしたことの関係性は有名である。

実は、ジョージも似たようなことがあり、元々、THE BIRDSのロジャー・マッギンが、映画「A HARD DAY’S NIGHT」でジョージの弾くリッケンバッカーの12弦ギターに衝撃を受け、自らも購入し、その12弦でフォークロックサウンドを確立していく。そして、THE BIRDSの発表した“The Bells of Rhymney”と“She Don’t Care About Time”にジョージが逆に影響を受け、書いた曲が、この曲なのである。

 

 

 

 

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★146位

【Octopus's Garden】

<ABBEY ROAD>1969.9/26=2:49=

 

Octopus's Gardenは、リンゴがBEATLES時代に作詞作曲した2曲のうちの1曲である。

1曲目は“Don't Pass Me By”でありますが、それに比べれば遥かに洗練された曲で、ある意味、真のデビュー作とも言える逸品である。

 

そもそもは、「WHITE ALBUM」製作中に、BEATLESをやめると出て行ってしまい(結果、戻りますが…)、家族でサルディニアの海でバカンス中に、船長から聞いたタコの話がきっかけになっている。

船長が言うには、タコは、石や光るものを集めて来て、綺麗な庭のような巣を作るといったものだった。正に、この歌詞そのものである。

 

曲は、いたってシンプル。

でも、メンバー同士がギスギスした時代に、一抹の清涼剤な曲調には、むしろ、ホッとする温かみがある。

 

使われているコードも、E、C#m、A、B7、B だけである。ほぼほぼ循環3コード。

これでも、ジョージが、7thやマイナーコードに変換し、要所でテンションコードも加えて、10くらいのコードを使っているのだ。
リンゴは、こういたジョージの作り込みの出来に、自分が天才になったような気分になったと懐柔している。

 

ジョージが作曲のアドバイスをしているが(映画LET IT BEでそのシーンがあるのだが、大好きなシーンだ)、ジョージは完成した曲を”ラブリーな曲“と称賛している。

それもそのはず、ジョージ自身も、成長ぶりには驚いただろうし、しかも、しっかりとビートルソングになっていることも特筆である。

そういうこともあり、ジョージの仕事ぶりも素晴らしい。イントロや曲の随所でオブリガード的に入るギターのフレーズが、この曲を引き締めているのは間違いない。

 

この曲自体、海の曲ということも加味してか、Yellow Submarine(ポール作)のPart2的な曲ではあるが、しっかり、リンゴがそれを引き継いでもいる。

ポールも惜しみなく、この曲には力を注いでいたという。

まあ、何せ、この曲は、名曲だらけの名盤中の名盤「Abbey Road」に収録されているのだから。

 

のほほんとした曲調とは裏腹に、意外や演奏はそう簡単ではないようで、ジョージの複雑なギターや、凝ったコーラスワークは、多くのカヴァー者が難しい曲と言っている。

ジョンは、アルペジオ(ドノヴァンに習った)を弾き、コーラスはポールとジョージのみ。ピアノはポール。

 

32回録音され、最終テイクとなるテイク32が、オーバー・ダビング用のマスターに採用。

このテイク数を見ても、リンゴの曲だからと力を抜くことなく、他のメンバーが総力を挙げてレコーディングしていたことが伺えますね。

 

ピリピリした緊張関係にあったビートルズ末期の、優しい救いの1曲と言ったら、言い過ぎだろうか?

 

 

 

 

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★147位

【Blue Jay Way】

<MAGICAL MYSTERY TOUR>1967.11/27=3:54=

 

BEATLES楽曲の中でも、もっともサイケデリックな色彩を放つジョージの曲。

そして、1度、ハマると抜け出せないサウンドでもある。

 

ジョージは、LAのブルージェイウェイの自宅で、夕食を共にしようとデレク・テイラーの到着を待っていたが、なかなか来ないことに不安と少しの苛立ちがあったお陰で、この曲が生まれたという。

本来はシンプルな小曲だったものが、ビートルズのスタジオワーク全盛期の色合いで、エキゾチックで神秘的な曲と発展していったのだ。

そういう訳なのか、ここにはインド音楽の要素はまったくない。ジョージが1番、インド音楽にどっぷりだった頃にも関わらずだ。

 

ジョージ自身は、ハモンドオルガンしか演奏はしていない。

そこに、Voを伝記的に二重分離するADTと、逆回転のコーラス等の、当時の彼等の集大成的な程のギミックが使われている。

 

凝ったサウンドの割に録音自体は簡素で、3日で済ませていて、演奏はたった1テイクのみで、そこの、リダクションとVoを入れ、チェロとタンバリンを入れて終了。

しかしながら、サウンドが複雑な故に、ミックスには相当の時間を要したようだ。モノで17つ、ステレオで5つ作られた。

更に、そこから、ベストなものを編集して、まとめあげた。

 

基本的には、Cのルートのみで構成されていて、Cdim―Cdim-Cb5―C6-C7-C7+と、全部がこの順ではないが変化している。

しかし、ジョージは後に、“I Want To Tell You”や“(I Want You(She's So Heavy)”と同じように、EとFを同時に弾く変わった曲と発言しているので、Tomorrow Never Knowsの1コードのように単調感を敢えては出さずに、不協和音的にしているのだろう。

でも、このサウンドで溶け込んでしまっているので、曲を聴いただけでは分からないよね。

 

ベースは、さすがのポールもルート弾きのみになっているが、そこは御大、リズムに変化を付けたり、メロをなぞっていて、生きたプレイになっている。

リンゴに至っては、かなり変化に富んだプレイになっている。1番音楽的なプレイをしているのは、実はリンゴだったりする。好きだな、このプレイ。

 

モノラルとステレオではサウンドエフェクトの有無に違いがある。

ステレオには、コーラスを逆回転させたようなサウンドエフェクトが随所に入っているが、モノラルには入っていない。

 

 

 

 

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★148位

【Another Girl】

<HELP!>1965.8/6=2:05=

 

半拍遅れのVoから入る、いかにも初期のポールらしいテンポの良い佳曲。

 

ポールは、チュニジアで休暇中に書き上げた曲で、歌詞の内容は、”新しい彼女が出来たから、僕を諦めなよ“という、勝手な男の歌なのだけど、ポールがPOPに歌ってしまうと、何となく許せちゃうような?(笑)

 

ソロ(リード)ギターもポールが弾いているが、実は、ジョージも10テイク録っているのだけれど、使用されなかった(^^;。

Ticket To Rideのリード以上に、チョーキングやトレモロを多用している。

バッキングはジョンとジョージだが、正直、ジョンの方がキレが良い。2拍4拍は気持ちが良い。さすがは、コードカッティングの鬼!である。

ちなみに、ベーシックトラックは、1テイクのみである。

 

2回目のメロ(A7→G)の部分は、9thの音が入っているのが心地良いし、また、サビに入る部分の"Another girl who will..."から一旦Cメジャーに転調し、サビの終わりで再びAメジャーに戻っている。

この辺りがクールでなかなか渋い。

しかも、ポール必殺の6thが加わっている。

つまり、メロディはポールらしいメロディックさがあるものの、ややブルージー基調なコード進行がと、ポールの細かいギターなどが、辛口な曲調に意識的にしている。

 

そんな訳かどうか、ポール自身は、シングル曲とまではいかないものの、アルバムの繋ぎの曲以上の自信作であると語っている。

しかし、別の言い回しでは、「他にいくつかマシなのがあったから、これは数合わせの曲にしかならなかった。ビートルズのテストは合格したんだけど。やるからには好きにならなくちゃいけなかった」と語っています。

でも、そんな曲も、長年、1度もライブで演奏したことはなかったのですが、遂に、何と2015年に、場所は日本…例の10万円武道館ライブで、遂に初披露したのです。

個人的に、ライブを観たので、感激もひとしおでしたね。 

 

1965年2月15日のレコーディング開始。

2月18日には、第1テイクを元にモノ・ミキシングが行われ、2月23日には、第1テイクを元にステレオ・ミキシングが行われ、完成した。

 

映画「Help! 4人はアイドル」では、ビートルズのメンバーがバハマの観光地ナッソー海岸で歌うシーンで使用されました。

途中でメンバーが互いの楽器を持ち替えて演奏したり、ポールがビキニを着た女性を、ギターに見立てて演奏していましたね。

 

 

 

 

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★149位

【Long, Long, Long】

<THE BEATLES(WHITE ALBUM)>1968.11・22=3:03=

 

ジョージらしい曲調だが、初期~中期のジョージの作風から急激に進化した奥深い曲である。

女性に対する歌詞と思いきや、神の歌とジョージは語っている。

彼の宗教(ヒンズー教)や、神への傾向がはっきりとした形で示されている最初の曲であり、非常に音楽的にも高いレベルの作品だと思う。

 

多種多様な曲調が登場する「White Album」で、かのハードなHelter Skelter(C-⑥)の後に、このイントロが流れてくるので、安堵感というか、ホッとしてしまう曲なのである。

これは、何十年、聴き続けても変わらないなぁ。

アコースティックな美しいワルツ。

 

ジョンは不参加で、ジョージは2本重ねていて、Voもダブルトラックだ。

時折、ポールのハーモニーが入るが、せいぜいその位で、ほとんどジョージの独壇場で録音された曲なのだが、この時代になると、ジョージの独立性も目立ってくるようになるが、まあ、このアルバム自体が、そういうアルバムでもありますけれどもね。

そんな録音の中で、リンゴだけはとても貢献していて、決して劣数は多くないものの(むしろ控えめ)、囁くようなジョージのVoの合間に入るドラミングだけインパクトのある力強いドラミングにしているセンスは。さすがリンゴだな、と思わせる。

アイデアは、リンゴ本人か、ジョージなのかは分からないが、リンゴはこういうセンスがあるので、リンゴだと思いたい。

そうそう、オルガンはポールで、シンプルにコード弾きや単音で弾いているが、雰囲気を作っているという点では、ポールもまた良い仕事をしている。

 

驚くなかれ、このシンプルな楽曲は、67テイクも録音しているのだ。 

まあ、ポールのシンプルな”I Will“も同じ67テイクなので、驚くことはないかも知れないのだけれど。

 

驚くことと言えば、そのオルガンのラスト部分が、ノイズ風に聞こえるのは、そのオルガンの音に共鳴してしまったスタジオのワインボトルの音なのである。

これは、今となってはBEATLESの制作の有名な話ではありますが、こういう音を消すなり、再録するのが普通なのに、67テイクも撮りながら、敢えて、このノイズを音楽として使ってしまうのが彼等であり、彼等の凄いところでもあります。本当に音楽として聞こえますから。

ノイズの中での叫び声は、ジョージ自身。この振動に驚いて発した声だと言われています。

 

ジョージの曲の中で、最も過小評価された曲の1つであると個人的には思います。

 

 

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★150位

【Doctor Robert】

<REVOLVER>1966.8/5=2:13=

                                                                  

この時代のジョンにしては、珍しく人名…しかも、実在の人物を題材にした曲を歌っている。

ロバート医師は、ニューヨークで富裕層にドラッグを服用し治すという噂から歌詞は作られたもので、ジョンやポールも影響を受け、この後にLSDの虜になっていくのである。

しかし、歌詞は、ドラッグ万歳的な内容ではなく、さすがはジョンで、英国政府が推進していたマリファナ禁止政策を皮肉った内容なのである。

 

曲調が単調と感じていたのだろうか、ジョンはポールに相談し、サビのWell Well~の部分は、ポールが作り、この曲は、典型的なレノン/マッカートニーの共作となっている。

このサビのコーラスがまた凄いのである。むしろ異様と言っていい。

ジョンのダブルトラックのハーモニーに、ポールが独特なコーラスを付けている。

このコーラスは一筋縄ではいかない変化を見せるので、カヴァーをする人は相当に苦労するらしい。

ジョンにしてはやや単調な曲調が、ポールの作ったサビのメロディの良さで、不思議で、良い曲に昇華していると思う。

かつ、ジョンの書いたメロディとVoにエッジが増して際立ってくるのだから、ビートルズマジックであると言えよう。

 

基本は、コード進行が、A7→F#7→E7→F#7→B7なのだが、すべてのコードに4度の音が入ってる。いわゆるSus4だが、すべてに4度を押さえている、そのセンスが凄いのだ。

正に、こういう部分がBEATLESに誰もが届きそうで届かない才能なのである。

しかも、キーはAメジャーでA7で始まるが、Aメロの最後はB7で終わる。そのまま2回目のAメロに入る時、B7からA7で下がる形になり一瞬転調したかと思わせる感覚。

今度は逆で、Aメロからサビに行く時(同じようにA7→B7)から、サビはBなのでそのまま同じコードでスムーズに流れているようだが、実は一時的に転調しているという驚き。

この、裏技的な効果が、リスナーの耳にはマジックに聞こえるのである。POPでさり気ない曲に、これほどの凝ったことを“さり気なく”工夫しているセンスがもう堪らないのだ。

 

演奏は、ジョンのコードカッティングが断然良い。

ライブ活動を停止したばかりで、このドライブ感はライブを意識しているようにも感じてしまう。

ジョージはギターとマラカスを担当しているが、良く聴くと、要所で細かい技を使ったギターが聞かれます。

 

ポールは、サビのコードチェンジも、ずっとBを弾き続ける荒業だ。コードを離れることも多い、この偉大なベースプレイヤーは敢えて、ここでは逆のことをやっている。

曲を活かすことしか念頭にない感性は…これもまた天才の成せる業だ。

 

録音の作業は早く、1966年の4/17の第7テイクから音に重ね、2日後には完成に至っている。

 

 

 

 

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