私が介護の仕事を始めて半年頃



Yさん(70代男性)がデイサービスに来る様になりました


大腸癌により人口肛門ですが、認知は全く無し


多少口は悪いし、ヘルパーからの介助を嫌がる方でした


私も苦手でしたが、利用者としての立場を教えて下さり、


「俺はハゲてるけど、髪の毛無い所もしっかり洗って欲しいんや」


「歩けるうちは、手を出すな

プライドもあるんやで」


なるほど…と思いながらも、会話が噛み合わず、返事なくても話し掛ける日々



しばらくして、11回目の申し込みでやっと府営住宅に当選


なんとYさんと同じ団地でした


初めて府営住宅に住むし、多少不安に思っていたら、送迎時にYさんからたくさん助言を頂き、自治会長も紹介して下さり、スムーズに引っ越す事が出来ました




「近いんやから、たまには遊びにおいで」


と何度も誘って下さり、奥さんからも


「2人だけで寂しいから、来て下さいね」


と仰って下さってましたが


会社からは、利用者さんとの個人的な付き合いは禁止されてました


「ありがとうございます

また、遊びに行きますよ」


と、毎回答えるだけでした



それからしばらくして、私は訪問介護で外回りになり、時間がある時だけデイに顔を出し、Yさんに挨拶する程度になりました




1年くらいして、やっと訪問に慣れた頃


Yさん、大腸癌再発


転移もあり、治療はしない


余命半年



本人には告知はしないと聞いていたけど、会う度に痩せて、歩行も介助が必要となり車椅子に


おそらく、ご本人も気付いてましたが、何事もないフリで声を掛けてました



ある時、送迎を頼まれて自宅へ送っている時


「まだまだ、かなここさんには教えたい事がいっぱいあるんや

でも、俺はもう無理かもしれんな」


と弱々しく言うので


何言ってるの?

教えてくれるの楽しみにしてるから、またデイで会おうね


と答えた



その後訪問の仕事が忙しく、デイに顔を出すのも難しかったのですが


Yさん、緊急入院


またデイに行く!と、頑張って体調を整えてました


何度かデイの管理者が連絡すると


「おう!元気やで!」


と、いつもの調子で話してたけど、毎回


「かなここさんに、俺の電話番号を教えておいてくれへんか?」


と話していたそうです




先週


余命半年を1年半まで延長して


Yさんは旅立たれました



Yさんが連絡取りたいと仰ってた事は、葬儀も終わってから聞きました



本当に、心が痛くなりました


私も会いたかった


お礼も、言いたかった


自治会長からも


「かなここさんの事を心配してた」


と聞きました




今まで、何人も施設へ見送ったり、入院後旅立たれたと聞く度に、心が痛む





明日もデイ勤務です


私が出来る事は、来て頂いてる利用者さんに、楽しく過ごして頂く事


頑張って行こうと思います