症病探偵R─第四話”悩ましいクビレ~最終回”  | よくある症状から難治性の病気への施術、美顔鍼・耳ツボ痩身もやっている奈良市の鍼灸とりゐ

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 Rは腕組みをしながらどこを見るでもなく

遠くの方を望む様にしながら続けた。

 

「その朱美さんがどういう気持ちで

 亡くならはったんか?また

 なんで何も言わんとあの世へ行かはったんか?

 ワシにはよう分かりまへん。

 せやけど、うちの妹と寺田はん、

 他の劇団員さん達の気持ちは

 よう分かります。

 あの二人はあんさんと同じように

 辛い気持ちをずーっと抱えてるハズやし、

 他のメンバーはそれを分かって

 あえて腫もんを触るようにあんさんと接するしかない。」

 

そして数分間、二人の間に沈黙が生まれた。

 

はり師ってのはそこまでお節介をしなきゃならねぇ仕事なのかい?

分かっていてもココがよ~コッココがよぉ」

哲男は右の拳で自分の胸を叩きながら俯いた。

 

「せや、お節介な仕事や。

って言うてもワシは特別や。

ワシは腹ん中や頭ん中でゴチャゴチャ

考えたり思ったりしてるクセに

涼しい顔してシラ~っとしてるヤツが

いっちゃん好かんねん。

そういうヤツには本音吐き出させて

少しでも腹ん中、頭ん中軽くなるように

したんねん。

ホンマは鍼する前にそうしたかったんやが・・・。

痛い痛いうるさいから順番逆にしたったわ。」

 

「ふっ。ホンマ、鬱陶しいオッサンヤデ。」

哲男は無表情な顔のまま下手クソな大阪弁で言った。

 

「気色悪い大阪弁使わんとってくれるかぁ~。」

Rは少し嬉しそうに毒づいた。

 

  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

 

「みんな!ここに集まってくれるか?」

哲男の呼びかけに応じて

劇団員たちが哲男を囲む様に集まった。

 

「え~っと、今日は新生かぎろひ座の

初舞台です。

今まで迷惑をかけた分

最終日まで

目一杯ぶっ飛ばして行きますんで

しっかり付いて来て下さい。

よろしくお願いします!」

 

澄み渡った空のような

表情の哲男の言葉に

「はい!!」

という天にも届きそうな声で

一同は答えた。

 

(完)

 

 

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