「父」です。
妻が書いた通り、押し入れの半分を占めていたゲーム機等の箱をすべて捨てました。
主に結婚してから買い集めたものです。
ゲームキューブからプレステ5まで、かなりの量がありました。
なぜ捨てないの?と聞かれてもうまく答えられません。
捨てられないんです。
小さい頃に買ったゲーム等は箱が残っている方が少ないです。
自分では捨てないので、恐らく親に捨てられたんだと思います。
ネットフリマでレトロゲームを売り始めてから、やっぱり捨てさせなければよかったと後悔しています。
コレクターは完品を求める傾向にあります。
そのため、ブックオフ等のレトロゲームを扱っている店では、箱や説明書だけでも売りに出されています。
箱や説明書がついた完品だと、フリマで売る際にも高値で取引されているんです。
で、今回捨てたゲーム機の話に戻ります。
私はゲームソフトはフリマで売っていますが、ゲーム機は売るつもりはありません。
ならば完品でなくてもいいんじゃないかと思ったんです。
妻と娘たちが不要物を捨てている中、私だけ収納スペースを圧迫しているのも気が引けます。
捨てると決意したものの、実際にバラされている箱たちを見ていると、私の心は喪失感でいっぱいになりました。
そして今朝、近くの量販店の資源物回収コーナーへ、バラしてたたまれた箱たちを出しに行きました。
私の思い出の詰まった箱たちは、ほかの有象無象の箱たちと一緒くたにされたのです。
それをゲームに興味のない回収業者の人が、何も感じず回収していくのでしょう。
ここで喪失感はMAXに達しました。
「さようなら、箱」
後ろ髪(そんなものはありませんが)をひかれる思いで私はそこを立ち去りました。
瞳にキラリと流れるものがあったのを妻は気づかなかったでしょう。
「さようなら、箱」
私はもう一度そう言います。
しかし今度は振り返らずに……
『別れがあれば出会いもある』
私と箱の新たな出会いはもうすぐかもしれません。
- 完 -