ハワイ島ではゴルフシニアツアーの開幕戦 の三菱オープンを観戦しました。会場はフォーシーズンズ・フアラライCC。コナ空港から一番近いリゾートです。アメリカではシニアツアーは、往年の名選手が集まるのでチャンピオンズツアーと言われてます。その名の通りメジャーチャンピオンがたくさん参加しております。トム・ワトソン、フレディー・カプルス、へール・アーウィン、トム・カイト、マーク・オメーラ、トム・リーマン、ベルンハルト・ランガー等々。かつて一世を風靡した名手たちが、あちこちにいるのでゴルフファンなら興奮してしまうでしょう。レギュラーツアーだと知らない若手選手が多いけど、シニアは昔 テレビで見てたスーパースターばかり。ギャラリーの数もレギュラーツアーと違いガラガラなので、選手と気軽に話も出来ます。レギュラーツアーは賞金が高く、またハングリーな若手が参加しているのでピリピリした空気。一方のシニアの方は、ゆったりのんびり緩い雰囲気なのがいい。もっともかつてのチャンピオンたちだからおカネに困っていない。気軽に写真やサインにも応じてくれるのも嬉しい。ラウンド中の会話もユーモアに富んでいてこれも観戦の魅力の一つ。
 
僕はトーナメントでは、練習場でプレーヤーのショットを見るのが好きです。シニアは出場選手が少ないので午後からのスタートが多い。早朝に行けば、一通り選手の練習姿が見れます。1時間くらい色々な選手を見てたら、憧れのレジェンド トム ワトソンがやって来ました。ゴルフファンなら知らない人はいないマスターズを2回、全英オープンを5回も勝った名手。練習中だと話しかけられないので、始める前に思い切って声をかけた。「トム、記念に一枚いいかい?」そしたら、「もちろんだよ!中に入って来なよ!」と練習場の中に入れてくれた。彼がツアー屈指の人気者である理由は、常に笑顔でファンを大事にするからでしょう。

さて練習場で今年69歳のワトソンに一つだけ質問しました。「トム、あなたは50年近くも第一線で活躍し続けている。そのモチベーションを維持し続ける秘密は何ですか?」すると「私はゲームを楽しんでいる。そして常にそうするように心がけている。 ピンチの時もどう解決しようかと楽しんでいるんだよ」と答えてくれた。Enjoy というキーワードがたくさん出てきました。短いがとても含蓄のある言葉です。試合前の練習を邪魔してはいけないので、会話はわずか3分ほどでしたが、至福のときでした。そしてキャディーが撮ってくれた憧れの人との一枚・・・一生の宝物になりました。
 
トム・ワトソンの伝説は、1977年のマスターズと同年の全英オープンで誕生した。両大会とも当時最強だったジャック・ニクラウスを力でねじ伏せての勝利。とくに全英は、当時中学生だったが、リアルで最後までテレビの前で見てました。感動のあまり泣いてしまったのを今でも覚えています。これは負けてもニクラウスのすごさが伝わった、歴史に残る好試合でした。そしてもっとすごいのは、その32年後の全英オープン。59歳であわや優勝しそうになった。17番まで1打リードして迎えた最終ホールで、惜しくもボギーでプレーオフにもつれてしまった。プレーオフ4ホール目でついに老兵は力尽きる・・・これもリアルで見ていましたが、涙が止まらない感動の試合でした。ワトソンの功績は数字でも分かりますが、その素晴らしさはその人柄と人格です。歴史上、最も人気のあったプレーヤーはアーノルド・パーマーでしょう。でも最も尊敬されるゴルファーと言えば、トムはトップにランクされるでしょう。