11月17日、福岡の住吉神社能楽殿において高鈴(こうりん)のライヴが行なわれました。

高鈴については「愛してる」という曲、そしてそのミュージックビデオがすごく好きで気にはしていたのですが、住吉神社能楽殿という場所でのライヴは見逃せない気がして、初高鈴、初能楽殿を体験すべく足を運びました。

高鈴はボーカルの山本タカネさん、ギターの山本アキヒサさんの2名によるユニットで、繊細に心に響く歌を届けてくれます。先に書いた「愛してる」のビデオは、曲と歌詞の素晴らしさに加えて映像があまりにも心に染みて涙が出ました。年をとると、人が生きる、笑顔になるというだけで感情が動かされてしまうようです。そのビデオは、幼い子どもたちが家族とともに成長していくホームビデオを、曲に合わせて編集したリアルな内容がズキューンとくるのです。愛するという意味が恋愛を超えた父や母、そのまた祖父や祖母…家族とつながる時点でグッときます。

さて、今回のライヴは新しいアルバム『新世界』のリリースに合わせて行なわれました。
能楽殿の厳かな雰囲気の中にタカネさんの声が染み入る素晴らしいライヴだったわけですが、何より響いたのは、ことばの節々、最後の一音が消えるまで丁寧に歌いきる彼女の姿勢でした。ボーカリストとしての姿勢というか、ことばを通して人をつなぐ強い意志というか。日本語だからこそ生まれる美しい発音を本当に隅々まで気を届かせて歌っていると感じたのです。

僕の仕事はカタチとして本やポスターなどグラフィックなデザインに着地することが多いのですが、人をつなぐことばの役割はとても大事に思っています。コピーの爽快さや文章のリズム感なども、全体を組み立てる大きな要素ですが、何よりことば使いに心を使います。状況を説明することば、単語としてどのことばが正しいのか、どのことばが心に届くのか。文章を仕事にすることが多い僕にとって、歌は他人事とは思えません。今回のライヴでアンコールで歌ってくれた「ただひたすらに」という曲はシンプルで、心にそのまま響くことばで作られていてこともあり、ことばを通した音の震えが空気を通して体に染みてくるかのような体験に震えました。ここまで丁寧に歌詞を唱い上げるボーカリストに会えて良かったと思えました。

高鈴は来年、オーケストラ編成で福岡に来たいと言っていましたので、それも楽しみに待ちたいと思っています。
ずっと本やページ制作に関わってきたから、取材するときはその見せ方を考えながら取材することがある。また逆に、思っていても想定以上の取材ができてしまうことがある。
今年2012年7月末に発行されたシティ情報ふくおかシニア向け別冊『ひまわり』で、編集をさせていただいた津屋崎特集。福岡と北九州の間、海が美しい田舎町に素敵な人がたくさん住み始めたということを「この人たちに会いにいこうよ」と案内した18ページは、まさに後者。話せば素敵な生き方が見えてくる方ばかりで、思わず力を込めてしまった。そのときの制作イメージ台割を手描きで作ってみたのがコレ。

編集家のクリエイティブノート

そして実際にできたページを比べるとこんな感じ。台割とそこに描き込んだイメージは、ざっくりとしてるけど「ここにこんな内容を紹介したい」と具体的に描いた設計図。デザイナーさんが、その意図を汲んで素敵に仕上げてもらった特集になった。

なぜ、そこまで入念にイメージしたかと言えば、取材した方々が皆さん素敵だったからに他ならない。津屋崎=海の紹介、食べ物屋さんの紹介にならないように、散歩しようというスタンスをとりながら、人の魅力を伝えたかったのだ。そこに必要な写真はコレで、こんなことを伝えたくて…と。だからそれぞれの文章もすごく考えた。というか自分なりに昇華させるまで、1週間くらい寝せることになった。そんな思いが文になって、カタチになって、店頭に並んで、読んでもらって。やっぱり編集はすごく素敵な仕事だと思うのだ。

編集家のクリエイティブノート
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