用事を済ませ、外を歩いていると、
〝お話ししませんか?〟
そんな風に誘われた気がして、
桜の花が終わりそうな葉桜の下へ。
もしかしたら、
私は満開の桜より、
少し散り残っている桜の花と、黄緑色の葉が出ている、
そんな時期の桜の方が好きなのかもしれないと思った。
あなたは少し濃いピンクなのね。
綺麗だね。
そんな風に桜の花に語りかける。
次は、
〝私も居るよ〟
そんな風に言われた気がして、
ハナミズキの下へ。
あなたは空に向かって咲くのね。
濃い赤紫の色が素敵ね。
そんな風に語りかけてみる。
ふと木の根元を見ると、
可愛いスミレが咲いている。
あら、あなたはここに居たのね。
紫と薄紫の小さく可愛いスミレにもご挨拶。
周りを見渡すと、
そんな風に木をじっくり見ている人はいなくて、
皆んな自分の仕事や、用事に夢中な様子。
植物は、いつも語りかけてくれている。
それを気に留めるか留めないか、
気付くか気付かないか。
私は植物達のお誘いに気付けて、
ちょっと嬉しかったな。