眩しいライト


壮大なパフォーマンスに


嵐のような大歓声


泣きながら声援を送る者


悲鳴にも似た歓喜の声が聞こえる


まるで現実ではないような空間の中


自分の感情を押し殺すのに精一杯で


私は動けなくなっていた。







〜〜〜





今日は初めてテヒョンのライブに来ている
ライブ自体初めてで緊張する。

周りの空気も緊張と期待に包まれていて余計にドキドキする

(ステージに立つテヒョンはもっと緊張しているだろうな)


なんて事を考えていると音楽が流れてきた


その瞬間、一斉に歓喜の声が上がった


壮大なパフォーマンスと共に出てくるメンバー達


緊張なんて微塵も感じさせない堂々とした姿のテヒョンに見惚れてしまう。


周りからテヒョンを呼ぶ声


(ああそうか、ここにはテヒョンの、BTSのファンがいっぱいいるんだ)


なんて、他人事のようにぼんやり考えながらステージを見つめる



パフォーマンスが進むごとに増していく熱気。
激しいダンスや歌声は圧巻で目が離せない


彼らのオーラに圧倒されどんどん引き込まれていく


何だか頭がフワフワして、ここが現実なのか夢なのかわからなくなっていく



そうか、ここは現実じゃないんだ
テヒョンが、BTSが作っている世界なんだ


この熱気と歓喜が渦巻いている空間


BTSとarmyが一つになっていくのがわかる


2つが混ざり合うこの空間は幸福感に溢れていて


ここが別世界だと言われても不思議ではない。


それほど感動的で


ただただ圧倒され


ただただ感動して


いつのまにか涙が流れおちていた




テヒョンのソロ曲へ入ると


息をの呑むほど美しい姿に悲鳴にも似た声が聞こえてくる。


その圧倒的な表現力に魅入ってしまう



今私の目に写ってる人は本当にテヒョンなの?


こんなテヒョン知らない

私の知ってるテヒョンじゃない

そうだ

今見てる人はテヒョンじゃない。


BTSのVだ。



ここまでくるのにきっと血の滲むような努力をしてきたのだろう



胸が締め付けられるように苦しい


有名になっていく彼を寂しいからと遠ざけた事もあった。


頑張っているテヒョンに向き合う事もせず。


たまに連絡をくれて、
帰ってくる時は会いたいと言ってくれる


それだけでいいと思っていた。


いや、そんな彼が離れていかない自信があったのかもしれない


テヒョンから安心をもらっている事に気づきもしないで、私は自分の見ていたいテヒョンだけをみていた。


そんな考えが浮かぶと私は立ちすくんでしまった


(ここにいる人達はきっと、私よりテヒョンを知っている) 

(彼らの苦労も喜びも一緒に分かち合ってきたのだろう)



私なんかが、何も知らない私なんかがテヒョンの苦労を理解できるわけがないと痛感する。


それほどまでに、そう思わせるほどに彼は完璧だった



何も知らない自分に羞恥心を感じたあと、孤独を感じ始める


周りに人が沢山いるのにまるで私だけ違う空間にいるようだ


この人達と私がいる場所は違う。
私はここにいてはいけない


ここは、彼等とarmy達の場所であって、何も知らない私がいていい場所じゃないんだ。


この湧き上がってくる居た堪れない感情は
夢に真剣な彼と向き合ってこなかった私へのバツなのだろうか


本来なら、『こんなに凄い人が彼氏だなんて嬉しい』と思うべきなのだろう。


でも私はこんなに凄い人の彼女でいる事が申し訳なくなっていた。

いや、何もない自分が恥ずかしいんだ。


いつだって待ってるばかりで
必死な彼を支えようともしていなかった事に気づいてしまったから



今にも泣き叫びそうな衝動を抑えるのに必死で


だんだん苦しくなってきて俯いてしまう


「大丈夫ですか?」


隣りにいる女性が心配して声をかけてくれた


「あ、、大丈夫です。ありがとうございます」

「凄く具合が悪そうですよ、少し休憩した方が・・わっ何?!」

女性が驚いたかと思うと、その声がかき消されるほどの歓声が上がった。


悲鳴にも似たざわめきに驚いて顔を上げると、目の前にペットボトルが差し出されていた


驚いて差し出し主を見るとそこにはテヒョンがいた


ビックリして目を見開いているうちに飲み物を渡され素早く戻っていく。


周りからの羨む声に今の状況が特別な事だと認識する


「具合が悪そうだから気遣ってくれたのね!優しい〜!貴女良かったわね!」

隣りの女性が興奮まじりに話してくるがそれどころじゃない。


(テヒョンを心配させてしまったのだろうか)
(私、邪魔しちゃったの?)


素直に喜べず、ネガティブな感情が深まるばかりで罪悪感がつのっていく









ライブが終わり、テヒョンのご両親は控室へ顔を見に行くという。

誘われたがさすがに遠慮した。週刊誌の事もあったばかりだし


それに合わせる顔がなかった


(このまま付き合っててもいいの?取り柄も何もないこんな平凡な女が彼女だなんてありえないよね)


そんな考えばかりが頭を駆け巡っていく。




〜♪〜


深夜を回った頃電話が鳴った


「はい、もしもし」

「ヌナ?!今日凄く具合悪そうだったけど大丈夫だった?」

「大丈夫だよ、心配かけてごめんなさい。お水ありがとうね」

「遅い時間に電話してごめんね、もう具合はいいの?」

「うん!もう元気だよ、熱気でのぼせちゃったみたい。それよりステージから降りて大丈夫だったの?怒られなかった?」

「大丈夫!まぁちょっと怒られちゃたけど」


何だか楽しそうに話すテヒョンにホッとする。


「今日の僕・・・どうだった?」

「すっごくカッコ良かったよ!見惚れちゃったもん」

「本当?嬉しいなぁ」
「いつも緊張するけど、ヌナがいると思うともっと緊張したよ。でも良いパフォーマンスが出来たと思う」


そう自信をもって話すテヒョンが知らない人のように感じる。









ライブ以降、私はテヒョンへ劣等感を抱くようになっていった。


彼女に相応しくないから別れようと思っても、テヒョンの声を聞くとその決意がゆらぐ


でも自分とテヒョンを比べてはその格差に悩んでしまう


そんな事ばかり考えている自分が嫌で嫌でたまらなかった













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ご覧頂き誠に有難うございます。
どうぞヒロインをご自分に当てはめてお楽しみ下さい


私もテテと付き合ってていいのか悩みたい!!


ついでにコメントなど貰えたら嬉しくてあなたの周りをクネクネしながらウロウロしだします。



※画像お借りしました
ありがとうございます。