ヤンマガKCスペシャル『中間管理録トネガワ』

 

 

これこれ!これだよこういうことなんだよ!

 

ここのブログに書くのは、基本的にヤラれた!って思うくらい面白かった作品、映画、演劇、マンガ、書籍
もしくは、クソみたいにつまらなかった映画、演劇、マンガ、書籍もたまに・・・
面白いと感じたものの評価を書くことで、自分がどんな作品が好きなのか
その作品のどの部分が具体的に好きなのか、を自覚するのがこのブログの目的。
そうやってストックしておくと、自分でネタを作る時に役立つから。
だから基本は俺がすきなもの。たまーに俺が嫌いなものについて、書きます。自分自身の為だけに。

 

 

今回は『トネガワ』とにかくコイツは久しぶりにヤラレタ!って漫画だった。最高に好き
漫画はかさばるから基本買わないように、部屋に置かないようにしてるけど、これは迷ってる・・・買っちゃうかも

かねてから『バキ』シリーズと『カイジ』はシリアス漫画に見せかけた壮大なギャグマンガだと思っていたから(周囲もそう言ってるし)
そのギャグマンガたる要素だけを抜き出し純粋な結晶にしてしまった「トネガワ」最高にステキ。
正確に言えば、バキカイジはギャグ漫画ではない。でもやってることは俺が理想とするコントに近いものが満載につまっている作品なのだ
バキはまた改めて書くとして、ではなぜ「カイジ」がコントなのか、ちょっと探ってみたいと思う。

 

その最たる理由は
やりすぎ感にあると思う。
世の中には様々なものが存在するが、そのほぼすべてに「適量」というものがある。飲み薬なんかがいい例ね、
効果が出るには少なくても多すぎでもダメ。これは世の万物すべてに言える事であり、
カイジの場合もそう。いくらギャンブルが横行する闇世界の、裏世界の話っつったって
やりすぎなんですよ。すべてにおいて。

 

まず登場人物のキャラクター立ち過ぎ。志向の中でいちいちむつかしい言葉使いすぎ
拷問とかギャンブルに負けた際のリスクでかすぎ。ついでに勝った時の報酬もでかすぎ
苦悩するときのリアクションオーバー過ぎ、でも全てがギリギリありそう。

 

うん、そもそも漫画だからね、現実と比べんなよって話だけど、それにしたって誇張拡大させすぎでしょ


ってくらいに徹底的に独特な世界観を出してきている。
客をつけるなら無難にウマいラーメンより、味にクセのあるものを出せってこと。
万人にはウケないかもしれない。けど一部強烈なマニアたちが熱狂する。そこから徐々に全体に浸透してく作品ってわけだ。

 

ともかく、フィクションだからってやりすぎると、気づいた時にはコント作品一歩手前にきていた「カイジ」
ならばとそれをモロな「コント側」に引っ張りこんだ「トネガワ」ドンハマりである。

 

あとはギャップでしょうね。帝愛グループという庶民には計り知れない闇世界の会社を、一般会社員の価値感から切りとる。購入層を思いっきりサラリーマン層に偏らせた内容にしたのも

いい方に作用してるとおもう。
一晩で何百億というカネを動かす利根川が、たかが一人の部下の名前や服装に振り回される。そしてその利根川の思考は、なんてことない我々一般の小市民と考えてる事は大差ないのだ。

 福本先生は、いわずもがなギャンブルモノ漫画の大家だが、その陰で「黒沢」に代表される心理描写中心の作品も書いている。いや、ギャンブルという盾を使ってはいるが、どの漫画も本当に描かれているのは極限状態の人間の心理描写なのであって、そういう点ではこの「トネガワ」も一人の中間管理職が部下や上司に振り回される様を描いた、「普通の生活の中での心理描写」を書いたものとなっている。そりゃ共感できる要素も多いわけだよ。

 

「カイジ」で今まで作り上げてきたフォーマット、世界観

その上に「カイジ」では絶対出ないであろうフレーズを載せる

「ブンブン」だの「ハローユーチューブ」だの・・・www

「聖徳太子かっ!ワシはっ!」ww

「ワシの記憶ッ!脳みそにっ!ストライクゥゥゥゥ~~!」wwwww

 

なんだそれ

 

で、極め付け、何がすごいかってホントこれ「福本先生本人が書いてない」ってことだよね・・・・全然本家のカイジと遜色ないじゃん・・・話の展開もセリフの使い方も福本完コピじゃん・・・

 

・・・あと・・・よくこれ本家がオッケーだしたよね・・・・いやいやすげえ、いろいろすげえよこの漫画。