今朝もサンマルクカフェ千駄木店で珈琲をいただく。
今年3月に同じ文京区の小石川から、ここ千駄木に引っ越してきて、この街の良さを味わっている。
小石川の時、茗荷谷駅前にサンマルクカフェが開店したのだが、あまり好きではなかった。と言うか、むしろ嫌い。
お客への心配りができていないのは、こんなところにも表れる。
大きな店で、その真ん中辺に飲み終わった、食べ終わったものを返却するコーナーがある。そこに返却物が溢れ、さらにその奥には汚ならしい洗い場の様子が見えてしまう。人手不足とも思えない。注文を受けるカウンターには窮屈過ぎるほどのスタッフがいる。
返却口の隣は吸水場。毎回、そこを見なくてはならない。珈琲がさして旨いわけではない。
やっぱり珈琲はモスバーガー茗荷谷店の方が旨い。さらに言えば、珈琲はフレッシュネスバーガー大塚店の方が旨い。まあ、旨い順に価格も高いので、なるほどではある。
千駄木に来てから、何気にサンマルクカフェの利用が増えた。
ある時、こんな言葉を掛けられた。
「Sブラックでよろしいですか」と。
お主、僕のことを毎日見ていたな、と思いつつ顔を見ると、一番年長と思われる女性の笑顔があった。
「あ、はい」。僕も笑顔を返した。僕はいつも、最も安いSサイズのブラック珈琲を注文していたのだ。
正直のところ、それほど旨い珈琲でもないのに、僕は毎朝ここに来るようになっていた。
ふと返却口を見ると、そうだ、なぜかここはいつも綺麗だと気付く。その奥の洗い場も綺麗だ。
この店のスタッフはいつも、視線が、心がお客に向いていることに気付く。挨拶、会話の端々でもそれを感じるようになった。
珈琲も前より旨くなってくるから不思議だ。とりわけアイス珈琲は「いけるじゃん」という感じに。
なぜだろう。
この千駄木という街。
隣近所さんとのご挨拶が多い。朝から気持ちが良い。知り合いでもないのに、次第に知り合いになる。
小石川ではこんなことはなかった。
サンマルクカフェ千駄木店の年長彼女が、この店のスタッフをリードしているのは間違いないが。
その彼女が偉いのか。
この街が偉いのか。
その彼女がこの店を作っているとも言えるし、この街を作っているとも言える。
でも。
彼女がこの街を作っているのか。
それとも、この街が彼女を作っているのか。
伝統に支えられた下町は豊かだ。