ボンジ ボ この前、みんなで映画見に行こうとなって、最大公約数で『踊る大捜査線N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ! 』を見に行ったんよね。


『踊る大捜査線N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ! 』


トレビ ト 『踊る大捜査線 THE MOVIE(1998年)』も劇場で見たわよね。28年前の映画で、フジテレビが一番勢いのあったころよね。主人公の青島刑事役の織田裕二とも年齢がそんなに変わらないはずだから、お互い年取ったって感じよね。



ボ あんときは、別の映画を見に行こうと思ってたんやけど、せっかくやからもう一本見ようということで、その映画の前に、朝からやってたんが「踊る大捜査線」やったんよね。

ト テレビでは流行ってるのは知ってたけど、全然テレビでは見てなかったのよね。当時、映画のCMで、小泉今日子がサイコぽい感じで出てたから、サスペンス調かなと思ってたのよね。

踊る大捜査線 THE MOVIE より


ボ よおー知らんまま見たんやけど、今回と同じく、面白かったよ。それまでの刑事もんは、『太陽にほえろ!』(1972年~)とか、『西部警察』(1979年~)とか、石原裕次郎とか、渡哲也がヤクザとドンパチやってる印象やった。それが、「踊る大捜査線」では、現場の意見が通らない、警察内部の問題で悩む主人公たちの姿に焦点が当てられとった。「どっちがヤクザか分かれへん」刑事やなくて、現場で悩む等身大の刑事が主人公で、共感した人も多かったんとちゃうかな。



ト 「事件は会議室で起こってるんじゃない。現場で起こってるんだ」って感じよね。当時、パソコンが普及して、そうした作業は主に現場の下っ端の若い人たちがやらされてたんだけど、上の人はあんまりパソコンもできず、のほほんとした感じにだったかもね。

ボ この組織の上と下の問題は、特に警察では顕著かもしれへんね。ようよう考えたら、映画でも出てきた「警察キャリア」。これは、他の省庁とおんなじで、国家公務員採用試験、国家1種受けてるはずなんよね。こういう人が他の省庁でも官僚になっていくんやけど、警察は「霞が関」って感じやないよね。

ト あえて言うと「警視庁」がある「桜田門」かしらね。警察は全国で約29万人もいるらしくて、その大半は都道府県の「警察官募集」で入ってくるのよね。そういう人が町のおまわりさんから始まって、刑事とかになっていくみたいね。

ボ キャリアの方は、試験に合格したら、    今回の映画の青島の役職とおんなじ警部補から始まるみたいや。研修目的以外は、ほとんど現場にも出えへんみたいやね。

ト 同じ官僚でもずいぶん雰囲気が違うわよね。他の省庁なら官僚としての最高役職は事務次官だけど、警察なら警察庁長官よね。それは29万人のトップだもんね。こんな省庁ないわよね。

ボ 統率が求められる、ある意味、軍隊的組織やからね。上下、役職も厳格やと思うよ。『突入せよ! あさま山荘事件』(2002年)って映画があって、あさま山荘事件で実際の指揮を執った佐々淳行を役所広司が演じてるんやけど、これが警察幹部の実情をよく描いてるかもしれへんね。ワシはこの映画が好きなんや。副題が「The Choice of Hercules」(ヘラクレスの選択)になってて、意味はあえて困難な道を選ぶちゅうことらしい。


ト この佐々淳行って言う人は「危機管理」って言う言葉の生みの親で、その後、初代内閣安全保障室長になるのよね。映画にもチラッと出てわよね。

佐々淳行氏


ボ 佐々(役所広司)は、藤田まこと演じる後藤田正晴警察庁長官に「君、ちょっと長野へ行って指揮してこいや」って言われて、長野に行って、えらい苦労することになるよね。能力はあるんやけど、役職は低かったんで大変やったみたいや。

ト 「鉄球」作戦で事態を打開しようとするんだけど、これも途中でなぜかバッテリーが上がっちゃうのよね。この「鉄球」作戦は、安田講堂事件でもやろうとしてたらしいんだけど、「文化遺産」ってことでやめになって、今度は「やろうやろう」って言う話になるのよね。

ボ 先見の明はあったみたいやね。あさま山荘事件で使われた「特型警備車」(装甲車)は、佐々が警備一課長時代にを作ることが決まるんやけど、その頃は「万里の長城、戦艦大和、特型警備車」と「三大無用の長物」と言われてたらしい。

「特型警備車」(装甲車)


ト 一番の苦労は、人質もいて「犯人を殉教者としない」と言うことで、銃器使用が認められなかったことじゃないかしら。結局、警官二人が撃たれて殉職することになるのよね。

ボ ベトナム戦争での「大尉の墓場」と同じように、ヘルメットの階級章のせいで、指揮官が真っ先に狙撃の的にならへんように、佐々は階級章をヘルメットから外すよう提案するんや。でも、後輩が「士気にかかわる」って反対して、そのままになる。その後輩が撃たれてまうんよ。

ト その後、佐々は階級章を外すことを改めて指示する。そして、自ら最前線に立って、指揮を執って事態を打開していくのよね。理想の上司像って感じかもしれないわね。

ボ 「踊る大捜査線」の室井さんが現場で指揮とってる感じやね。でも、キャラクターは青島の方に近いかもね。

ト 「踊る大捜査線」と一緒で、出てくる人が等身大で、そういう人が、困難に負けずに、一生懸命頑張ってるのが共感を呼ぶのかもしれないわね。

ボ そやね。