話題なので読んでみた2冊。
うーん……どちらも……なんかキャラクターが好きになれない。
特に「ライアー・ライアー」。

私は創作物を観る際、主人公の価値観に共感出来るか否かは重視しません。
むしろ自分とは正反対の性格の方が、追体験としては面白い事も多々。

ですがなんかこの漫画のキャラクター達は……
共感出来る出来ない以前に、まず常識からして私とは違う。


「4月は君の嘘」で気になったのは、思いっきり特定の人物を被写体にしておきながら「盗撮じゃない!」「濡れ衣で人を殴るなんて性格最低だ!」となる主人公の思考回路。

主人公の男子が楽器を演奏する女子(+子ども)に携帯カメラを向け(無断で)撮影したところ、
たまたま突風が吹き女子のスカートがめくれてしまった。
女子は「盗撮だ!」と怒り主人公を殴る。主人公は女子を「性格最低」(※作中表現)と認識する。

……私には、女子の反応が至極まっとうにしか思えない。
確かにスカートがめくれたのはたまたまだったけど、
それ以前に明らかに特定の人物を被写体にしているのに無断で撮っている時点で盗撮では?

ただでさえ近頃は盗撮=罪という意識を持たない層が増え、電車内の赤の他人を盗撮、ネットに乗せるなんて悪質な行為も多々起きている。
一度ネットに載せたものはデジタルタトゥーという言葉通り半永久的に消えない。
もし善意のつもりだったとしても、赤の他人が無許可に行って良い事ではない。
つーかなんで許可とらないの?
やましい事がないんだから、「お写真良いですか?」と一声かければ良いじゃないか。マナーだろう。

上記がギャグ的なワンシーンならまだしも、作中で重要かつインパクトに残るシーンなのである。……。
アニメ化するそうだが、盗撮は無問題という誤解が益々若い世代に広まりそうで不安。


「ライアー・ライアー」は、何かもう……。
主人公の女性(湊)が本当に好きになれない。ただの甘えたの自己中としか思えない。
突き詰めれば人間なんぞ皆自己中だし、甘えたの自己中でも魅力的なキャラクターも沢山いる。
でも湊は……何かもう……。

ひょんな事から湊は弟を騙す(?)事になるのだが、
その大義名分は「自分は弟から散々被害を被ってきた、これは弟を更正させるチャンスだ」というもの。
(騙し云々の詳細は割愛)

しかし湊の言い分は、正直手前勝手な逆ギレにしか思えないのである。

湊の弟はとてもモテて、異性関係が派手。
姉である湊は度々そのとばっちりを受けていた為、「自分は被害者だ」と主張するのだが……。

弟はモテるがワルではなく、むしろ大人しめの好青年。
本人が望まずとも顔がイイので勝手に女が寄ってくる。騙して貢がせたり、こっぴどくフッたりしている訳でもない。
何股もかけてはいるが、読む限り相手を騙しているというより、女性側も承知の上での性的なお友達関係に近く思える。
それでトラブルが起きたとして、第三者が一方的に弟が悪いと決められるものでもないだろう。

告白されれば受け入れちゃうような弟の恋愛スタイルは良いとは言い難いが、
寄ってくる女生徒も彼の評判くらい知っているだろうし、その上で飛び込むのならもう当人同士の問題。
第三者が首を突っ込むのも野暮だろう……。

と、私なら考えるのですが、湊は「女の敵!」(※作中表現)「私は散々弟のせいで迷惑被ってる被害者!」「姉として弟を更正させる義務がある!」といった感覚の人。
身内にいたら正直すごく鬱陶しいタイプ。

ただでさえ異性の姉弟関係で、難しいお年頃。
取り返しのつかない問題起こしてる訳でもないなら、恋愛なんて放っておいてやればいいじゃないか。
しかもこの弟、義理の弟。益々難しい関係。

弟の異性関係でのとばっちり被害は気の毒だが、それに関する描写がほぼ無いのでいまいち湊の苦労が伝わってこないし、そもそもとばっちり被害も弟じゃなく相手の女性の問題があるし。
(もちろん言いやすい立場の弟に改善を求めるのは気持ちとしてわかるけど)

更にイヤンなのが、湊は潔癖症で、湊の部屋がある2階に上がる時はウエットティッシュでピカピカにしろ等といった独自ルールを作っている。
家族で潔癖症なのは港だけなので、同じ階に暮らす弟には自分の都合で迷惑をかけている立場なのだ。
なのに湊は、いつも我こそ被害者ってスタンス。
後の方で一瞬、私の潔癖ルールで弟に面倒かけてるかも……なんて回想はしますが、基本的にオールウェイズ自分・自分・自分。

潔癖症に関しても(元々その気はあったようだが)、発症原因は自宅で弟のセクシーな場面に鉢合わせしてしまったからだとどこか被害者風を吹かせるが、
お年頃な時期に身内にイヤーンな場面を見られた弟も充分被害者である。
(しかし弟は文句言わない。基本的に何にも文句言わない。フツーにイイ子。それもあり湊が余計に身勝手に思える)


潔癖症そのものを悪いとは思わないが、潔癖でない人間からすれば不要な手間を増やされているに過ぎない。
建前でもしおらしく協力を要請するならまだしも、当然のように己の都合に付き合わせ、しかも被害者面……。
とかく共感以前に、湊には人としてどうなのって言動が多すぎるのである。


後の展開次第では見え方も変わるのかもしれないが、そもそも続きを読みたいと思えない。
2作品を読んで常識の違いに色々と衝撃を受けたんだけど、もはやこれはジェネレーションギャップなのだろうか。
こちらが受け入れるべき新しい価値観なのだろうか。(いや、そうではない)。
時代が変わっても不変である筈!……きっと。