先日、僕の師匠である高橋いさをさんが以下のブログを上げていた。
詳しくは読んで頂ければわかるのだが、その中の一文だけ以下に抜粋する。
「人間は誰しも心の中に一匹の猛獣を飼っていて、それを鍵をかけた檻の中で飼っている。その猛獣とは、フロイト流に言えば、人間の無意識層に眠る邪な欲望や怒りの感情の暗喩である。」
本当にその通りだと思う。大人になる上で、また社会生活を送る上で、僕たちは絶対に「猛獣」を隠しておかなければならない。学校や社会は、そんな心の中の猛獣を隠しておく檻の作り方を教わる場所で、そこでほとんどの人は頑丈な檻を作らされる。しかし、ここからが大変なところで、僕のような演劇という芸術分野に進んだ人間はその檻を壊して猛獣を出さなければならない。塞げ塞げと散々言われていたものの開け方も分からない人はきっと多いはずである。
いさをさんのブログを読んで、改めて考えてみた。僕の中にも確かに危険な生物が潜んでいる。そして、自分はそれがどれだけ危険で、恐ろしい動物なのかを知っている。年に一度あるかないかのタイミングで、何かしらの出来事で檻が壊れてそれは外に出る。そして、人を傷つけてしまうのだ。僕はそんな自分が嫌で、更に蓋をしてきた。しかし、この世界に入ったときは、そんな猛獣を放てる場所があると思って入ったはずだった。それを唯一出せる場所、作品で出さないのは勿体無い。
この心の中の危険生物を全く出さなくなった時に、人は「丸くなった」などと言われるのだろう。20歳超えたばかりの自分にまだまだ制御は要らないはずである。次回作、自分でもやりたいことが見え、楽しみである。いさをさんはいつも、直接ではなく間接的に、生き様や姿で僕にこのようなことを教えてくれる。