前に演劇界の先輩が僕に教えてくれたことがある。それは、成功する演劇人(芸術家)の最も重要な要素であった。その方は、僕にクイズ形式で出してくれたため、僕は思いつく限りの答えを出してみた。


・運

・人脈

・経験値

・体力  などなど…


 しかし、どれも外れているらしい。最後にその方が言ってくれた答えに僕は心の底から納得した。それは、

「いい奥さん(パートナー)」

だというのだ。確かに歴代の芸術家たちを見ても、多かれ少なかれ奥さんがいてその人に色々とサポートをされている。


 ヒッチ・コックもあの有名な『サイコ』は奥さんの助言もあり今のような形になっているというし、井上ひさしも締切が間に合わず編集部の人間が自宅に原稿をとりにきた時は奥様が全ての対応をして編集者たちの怒りを鎮めていたという。私が好きな画家ダリだってあの見た目になったのは奥さんから「天才を演じなさい」と言われ、全て決められたと言うし…。


 まだまだ20歳を過ぎたばかりの子供ではあるが、凄く腑に落ちた秘訣だった。たしかに、自分でものを作り発表する時に楽しさとは別にストレスを感じる時もある。その時に、1人だと酒などに逃げたくなってしまうのだろうがパートナーがいれば生活も精神もある程度安定する。それに、自分やその作品のことも1番理解している存在でもあるから、作品に対する助言を求めた時にも冷静かつ的確なことが言えるはずである。


 だからといって、それに甘えたり利用したりするのはいけない事だとも思うが、一つの大事な要素だとは思う。まだ結婚をしているわけではないが、自分の近くにいるそういう存在には心から感謝をするべきだし、日頃からそれを伝えなくてはならないと改めて思った。