最終回 卜伝見参 演出:福井光弘
大永2年 千日参籠を終えた新右衛門の剣名は鳴り響いていた。
それによって、大神宮の崇敬も増し
社造営遷座を執り行える事となった。
鹿島景幹の戦死で城主となった義幹は、戦争準備の為に鹿島城拡大を執る。
伊勢宋瑞が小田原城下を富ませ、勢力を拡大したのと逆を行く政策だった。
無理が見えた。
領地の逼迫を顧みない義幹を玉造常陸介のみが支持する。
義幹に退けられることとなった重臣連は、常陸介の暗殺を試みた。
*
新右衛門は 玉造常陸介が刺客に襲われる場面に出くわし、阻んだ。
数日後 その刺客が死体となって発見される。
新右衛門は その斬り口を見て 師、松本備前守の仕業と知った。
実父に相談しようとした新右衛門は、
玉造常陸介を排し義幹を隠居させる企てを伝えられる。
迷う新右衛門だった。
神宮拝殿の前で、國摩真人に賜った思念を反芻しているところへ
真尋がやって来る。
真尋】先の物忌様の最後のお言葉です
祖神が授けるのは、世を平らかに治める平法の剣なり
授かった者は、それを世に伝えねばならぬ
新右衛門は回国修行に出ることを決意
備前守に伝える。
新右衛門】・鹿島の剣は守りの剣 突き詰めればそれは 戦わずして勝つ事
和を貴ぶ平法の剣こそ 鹿島の太刀の祖國摩真人様の御心に適うものと存じます。
松本備前守】戦わずして勝つ方法などない。
そのようなものは、言葉巧みなまやかし
手を汚さぬ者の言い訳じゃ
力で決する以外 世を正す道なぞ無い。
そなた 此度の謀を知りながら鹿島を出られると思うてか
新右衛門】國摩真人様の様より一つ太刀を授かったのは
満願の明け方にございました。
松本備前守】自他合一 相手の心と一つになった剣を防ぐことのできる者はおるまい。新右衛門】 技ではなく息と間合いのものなれば
松本備前守】技を磨くだけでは身につかぬ 心の位あってこそだ
これを受け継ぐ者が果たしておるだろうか
新右衛門】見つけねばなりませぬ 鹿島の太刀を伝えるのが 某の役目なれば
松本備前守】
それがしは、先程そなたに斬られて死んだ、もうこの世には おらぬものと思え。
一つの太刀を見届け、思い残すことなぞ無い。
早々に旅立つがよい。
これから起こるかもしれぬ戦に、巻き込まれてはならぬ。
旅の途中で鹿島の異変を聞いても決して戻ってはならぬぞ。
戦で命を落とすことになってもそれは我らの天命
そなたには別の天命がある。
己の道を行くがよい。
卜伝が旅立って2年後
内乱で備前守戦死したが卜伝は、回国修行を続けた。
end
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇新右衛門が、備前守を大先生と呼び、
備前守が新右衛門の剣を新当流とすることを勧める。
新右衛門はそれを受け、名も塚原卜伝と革める事にした。
備前守は師として、伝えられる事を伝えた後は、即座に辞を低くした。
松本備前は 剣で優った弟子に対しても、与え尽くす師であった。
立会いの場面に迫るものはなかったけど、屋敷ではカッコいい二人でした。




