『ローエングリン』全曲 クーベリック&バイエルン放送響、キング、ヤノヴィッツ、他(3CD)


ワーグナー:ロマン的歌劇「ローエングリン」(全曲)

指揮:ラファエル・クーベリック

管弦楽:バイエルン放送交響楽団

合唱:バイエルン放送合唱団

ハインリヒ国王:カール・リーダーブッシュ

ローエングリン(白鳥の王子):ジェイムス・キング

エルザ(主役のプリンセス):グゥンデュラ・ヤノヴィッツ

オルトラウド(悪女):ギネス・ジョーンズ

(1971年ミュンヘンでのステレオ録音)


私の大好きなオペラ「ローエングリン」。


ドイツ版「鶴の恩返し」ですね(笑)

ここではもちろん鶴の女性はおらず、

その代わりが、白鳥の王子が主役です。


しかし、

その約束という堤防にさえ触れなければ、

そして聞かなければ(踏ん張れば)、

もっと幸せだったのに・・・。

でも聞いちゃった・・・(泣)

そして、あの時はもう取り返せない・・・(涙)

平たく言ってしまうとこの2作品のテーマは同じなわけです(笑)


しかし、それらはあくまでも「白鳥」や「鶴」というもので抽象化してドラマ仕立てにしているだけで、

現実の我々の世界でもそのようなことは、起こり得るのかもしれませんね。

だからこそ、洋の東西で同じような物語があるんだろうな、と。

結局、日本人とドイツ人の感性は同じなのでしょうか?(笑)


有名な「結婚行進曲」をはじめ、

チャイコフスキーの「白鳥の湖」の有名なテーマなんか、

明らかにワーグナーのこの作品から引用している等、

メロディメーカーのチャイコフスキーでさえ拝借しちゃうほどの

弦楽器が歌い上げる甘美な旋律とワーグナーらしい金管楽器の力強さが味わえる、

私が大好きな作品です。


ですから、この作品の全集は数種類もっていますし、

全曲盤をもっともよく聴く作品ではあるのですが、

残念ながら、決定盤に巡り合えません・・・。


昨年の3月に入手して、気分があまり高まらずに放っていたのですが、

ようやく聴くことができました。


けれども、こちらもそんな残念な演奏のひとつ。


まず、クーベリックのどっちにつかずな指揮が面白くありません。

例えば、有名なエルザの行進の場面なんか、

もっともっと弦楽器に甘みを与えて、

且つ、美しく磨きあげながら歌わせてほしいのですが、

なんか中途半端にもったいぶられたようなテンポの揺れが聴きにくく感じます。

そうです!歌心に欠けると言ったらいいのでしょうか?(笑)

また、金管の力強さや輝きも今一歩。


歌手については、正直、私はよくわからないのですが、

テノールのキングにはもう少し馬力があってもいいような気がしますが、立派。

黄金期のグラモフォン自慢の歌手を使い、

十分な歌声を聴かせてくれているのではないでしょうか。


それにしても、オケのサウンドが、どうしちゃったんでしょう。

バイロイト出演のオケマンも沢山いるはずなのに・・・。

彼らならもっとやれるのでないか、と残念に思いますが、

これはクーベリックと私の相性だけなのでしょうか?


暫定当作品のベスト盤である、

バイロイトのサヴァリッシュによるライヴであることに今回も変わりませんでした。

残念・・・(涙)



ということで、お口直しに「件の箇所」を

ケント・ナガノ指揮ベルリン・ドイツ交響楽団ほかの演奏の動画をご覧ください。

冒頭の木管楽器の美しさ、そして、透明感たっぷりに歌い上げる弦楽器・・・。

最高ですよ。

また、画像の黒い服をまとったマイヤーさんにも注目です。

貫禄ありすぎです!


http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=yO-yr0tZQn0