読売日本交響楽団 第513回定期演奏会

ショスタコーヴィチ:交響曲第1番
ブルックナー:交響曲第3番
指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ

(2012.3.7、サントリーホール、2階Cブロックにて)
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先週の積雪はウソのような
首都圏エリアは一気に春日和で、
コートを持たずに出掛けた今日の演奏会。


私が大好きなブルックナー。
そして、現在、私の中で進行中の「ショスタコーヴィチ全交響曲ライヴ制覇」計画。
今日は一粒で2度美味しいプログラム。
さらに、指揮者は昨年聴き逃したミスターS。


さて、そんなプログラムについて。
ブルックナーをメインに据えた時、
前半はコンチェルト、またはモーツァルト、或いは「トリスタン~前奏曲と愛の死」、
てことが多いのですが、
今日はショスタコーヴィチ。
単なる大サービス?重量プログラム?
と思われがちですが、
本質的な意図は、ずばり「ワーグナー」、
それも「トリスタン」にあると思われます。

ブルックナーがワーグナーに献呈したことでも知られる第3番は、
ワーグナー賛歌として、
「トリスタン」「ワルキューレ」「タンホイザー」などからの引用がみられます。
そして、ショスタコーヴィチもこの1番第3楽章では「トリスタン」からの引用がみられます。
さらに、この秋には、スクロヴァチェフスキ=読響コンビで、
「トリスタン」管弦楽編曲版が取り上げられることからの
繋がり性も意識しているのでしょう。

ここからは、
読響ファン、或いは、スクロヴァチェフスキ・ファンのかたは読み飛ばしてください!(笑)

先ずは、ショスタコーヴィチ。
第1楽章の冒頭はかなり「恐る恐る」。
やっぱり今日も…

だったのですが、その後は持ち直し。
フルートの今日のトップの方、
イイですね~。
ヴィオラも鈴木部隊、さすが。
そして、チェロ!
第3楽章の「トリスタン」のテーマを見事に歌い上げくれましたし、
コンマスの小森谷さん率いる弦楽器が総じて良かった!
もう少しドンチャンなフィナーレを
期待していたのですが、
やや抑え気味でしたかね。
後半に期待が持てます。

そして、メインのブルックナー。
無駄のないきびきびした響き、
は悪くありません。
そして、キズも散見されましたが、
やや抑制され元気の良さは若干スポイルされていましたが、
その分、よくコントロールされ、
読響のパフォーマンスは発揮されていたと思います。

しかし、スクロヴァチェフスキ!!
一言でいうなら、「頼むからブルックナーでは普通にやってくれ!」。

速い部分と緩やかな部分のテンポの揺れも
気に入らなかったのですが、
どれだけ第3稿に手を入れていたことか!
これなら、第4稿、いや、スクロヴァチェフスキ改竄版!
もともとの作品がわからない。
恐らくは、
(第3稿-第2稿)×スクロヴァチェフスキ=今日
みたいな…。
原型をとどめていない、
というか違和感を感じました。

これを詰めると、
そもそもの作品に問題があり、
さらに、改訂癖のあるブルックナーという作曲家に起因する話かも知れませんが、
指揮者がむやみにいじくるのは頂けない…。

そもそも、色んな版があり
そのどれもが違って聴こえるので、
私の捉え方が間違えていたのかもしれませんね。
知ったかぶりならゴメンなさい。

しかし、私は、
つけ麺も太麺も食べたくない。
普通のラーメンが食べたい!
おでんには、
車麩は入れても、ちくわ麩なんか食べたくない。

て、ことで、スクロヴァチェフスキ。
以前にも大阪できいていますが、
やはり私とはあまり相性は良くないようです。
そして、読響もこれで3回目。
どれもが私の気持ちにピントが合わないようで。
たまたまなのか、そんなものなのか…(笑)

終演後、国内オケには珍しくソロカーテンコールまである程、
会場は熱狂につつまれていましたが、
私はほとんど拍手をすることもなく、
舞台上の経過だけ呆然と見つめていました。

普通のブルックナー。
国内オケでは、
昨年のブロムシュテット=N響なんかは
見事でした。
これが簡単で難しいのでしょうね。
4月のインバル=都響に期待です!