ヴェルディ:歌劇《イル・トロヴァトーレ》全曲
マンリーコ:マリオ・デル・モナコ(T)
レオノーラ:レナータ・テバルディ(S)
アズチェーナ:ジュリエッタ・シミオナート(M)
ルーナ伯爵:ウーゴ・サヴァレーゼ(Br)
フェルランド:ジョルジョ・トッツィ(B)他
ジュネーヴ大劇場管弦楽団
フィレンツェ五月音楽祭合唱団
指揮:アルベルト・エレーデ
(1959年、ジュネーヴ大劇場、ステレオ録音)
唐突ですが、
私がオペラ全曲のCDを初めて買った作品が「トロヴァトーレ」。
いまから、15年ほど前。
時代は、不世出の名テナー「パヴァロッティ」が3大テノールの競演などで
最後の大活躍をして、イタリア・オペラ・ブーム。
ジス・イズ・イタリアオペラ的な、
明るく、そしてメリハリが効いて、メロディが最高に面白く、
コレでもか!と息も付かせぬ勢いで、
見せ場・聴き処が出てくるこの作品に魅了されました。
現在でも、たまーに取り出して聴いてみたり、
中古ショップでもチェックする作品でありまして、
今日のこの盤は、先日の東京遠征時の戦利品であります。
マンリーコ、レオノーラ、アズチューナ、伯爵、フェルランド、
この5人にそれぞれの名場面・アリアがありますので、どれも主役級。
どれかが駄目だと、この作品では致命的。
しかし、なかなか100%の演奏というのモノがないので、
そこが興味がわくところであります。
それこそ、世紀の名盤セラフィンやムーティの各スカラ盤などもいいですが、
イタリア・オペラの夢の競演盤となれば、
ここにみるエレーデ盤がおススメできます。
大歌手・モナコのマンリーコの英雄的な芯のくっきりしたテノール、
そして、嫌らしさ全快のアズチューナ役のシミオナートもさすが。
そして最も褒めたいのはテバルディ。
この絶叫、いえ、声量はすごいの一言です。
伴奏のエレーデも、
聞かせどころでテンポをぐっと落としてタメを作ったり、
ヴェルディにふさわしい輝かしい金管楽器の歌わせ方は
「ヴェルディはこうでなければ」と思わせてくれますし、
伯爵のフェルランドという低音男声2人にも隙がありません。
ジス・イズ・イタ・オペな作品の、
ジス・イズ・イタ・オペな演奏、
といってしまっても過言ではない、
往年の名歌手の歌の競演がここにあります。
しかし、残念なのは、録音。
歌手が強音で歌う箇所で、ことごとく音がビビリ、割れます。
もっと、テバルディ、シミオナートやデル・モナコの高音は
輝かしく伸び続けたのだろうな・・・と思いますが、
そこは半世紀前の録音ということで、
リマスタもいいのですが、
脳内補正をしておきます(笑)
また、現在、輸入盤も含め(恐らく)廃盤です。
どうしてこのような立派な演奏までを廃盤にしてしまっているのでしょうか。
この盤に限ったお話ではありませんが、
極めて残念な事です。