平成22年9月3日放送「芸術劇場」より
ベートーヴェン:
交響曲第5番「運命」、6番「田園」、4番
(2010年、2009年、
ユニテル制作ウィーン・ムジークフェラインでのライヴ映像)
先日NHK教育でやった『ティーレマン、ウィーンフィルのベートーヴェン交響曲集』。
ベト5は96年録音のフィルハーモニア管弦楽団との録音(DG)があり、
7番はともかくとしても好きな演奏なのですが、
10年以上の歳月を経て、ティーレマンの音楽は確実に進化し、
作為さが薄れ自然な流れの中にタメやアゴーギグを取り入れ、
言い換えれば、こなれてきた感じがします。
そのあたりは、ウィーン・フィルによるところも多分にあるのでしょうね。
ティーレマンの音楽作りに対して賛否分かれるところかもしれませんが
僕はいいコンビだと思います。
一部では音楽が上滑りしているようなところも散見されましたが、
そんな細かいところは気にせず、半ば即興的要素も交えながら
音楽に大きなうねりを起こしてくれるのがティーレマン。
「運命」のフィナーレなんかは、
フルトヴェングラーを彷彿させる、
偉大なドイツ音楽賛歌のような昂揚感を感じました。
『田園』ではウィーンフィルだからこその響き(ホルン絶好調)を引き出しながら、
力の『抜き差し』加減が絶妙。
当夜のライウ゛を生で聴かれた方がうらやましい…(笑)
5番6番では私の知っている奏者でいえば、
コンマスのキュッヒル、その横は今月の音友登場者で首席の、名前が・・・・?、団長、和樹さん、
vc)バルトロメイ、ナジィ、 cb)マイヤー、ギュルトラー
ob)ガブリエル、cl)エルンスト・オッテンザマー、
fl)アウアー pic)BPOパユの対抗馬(?)フォーグルマイヤー
hrn)ストランスキーくらいで,
若手が目立っていましたが、
それでもウィーンフィルの響きは健在で、
とにかくホルンの伸びやかでまろやかな音、弦楽器の柔らかいサウンドにうっとり。
あ~、そうそう、トランペットトップは何という名前でしょうか?
ここでも若手の方ですが、P・シューを思わせる高音の吹きっぷり、いい感じです(笑)
ムジークフェラインザールの響きも理想的。
やっぱりココンチは、このホールがあってこその響きなのだな、と改めて実感。
いってみたーーい、そして、きいてみたーーい!!
と陶酔していたら、1時前。ヤバイと思い、消灯。
4番は次回じっくりと。
それにしても、ティーレマンの棒の振り方ですが、いつも思う事で、
下から大根を抜くような(笑)棒捌きで、
よくも音楽があわせられるな、と感心してしまいます。
そのため、アインザッツが揃わないところもあります。
しかし、却ってそれが、凄い鮮度の音楽になるのですよね~、
音楽って、不思議(笑)。
叩き重視の棒捌きですと
タテの線にばかり意識が要って、音楽自体の流れが淀んでしまうことを嫌って
わざとそういう指揮の仕方をしているのだと思うようになりました。
(だから日本では低評価?)
いずれにしましても、これは全集となって、CD、DVDともに
近い将来発売されるはずです。
願わくばSACD&BDで、ね(笑)
でも久しぶりです、べト全の発売が楽しみなのって。
ラトル以来でしょうか(爆)